第五十八話 残念な子
これで今日は終わりです
「はうううううううう」
空を仰ぎ僕は泣きたくなった。
ふとセリスとマリさんを見ると灰になってた。
……別に物理的にではないよ。
精神的なダメージを負ったと思ってください。
まあ将来的には物理的になるかも……。(視線を逸らす)
「ククル村の住人は化け物って聞いてたけど此れほどとは……」
セリス~~失敬だよ。
「あらあら」
マリさん。
眼が死んでますよ。
「「……」」
白目になってますよ~~二人共。
この光景を見て二人はククル村に来て共同生活をする未来を想像したんだろう。
というか想像しない方がおかしい。
そのがこの有り様だ。
実は二人は急遽ククル村に移住する事になった。
表向きは将来僕の嫁になる為に。
だが本当は違う。
セリスは僕達への償いとして奴隷として引き渡され。
マリさんはあの村の風習で純潔でなくなったので追い出された。
だけど此れは幾らなんでもあんまりだよね~~。
酷すぎる。
マリさんの場合は昔からの村の風習により追い出されるのだ。
病気を男達から性病を移されてたら、万が一の場合村に病気が蔓延するからね~~。
セリスは単純に村に賠償金を支払う能力が無いからという事だろう。
後は奴隷として売るなり煮るなりどうでもしろと言う意味だ。
……しないけど。
人としてどうかと思うが、村の存続を第一に考えると仕方ないんだろう。
気に食わないが。
まあ良い。
まあ、僕の嫁にするのは確実なんで、彼等の裏の意図は無視する事になりました。
此れは僕達全員の総意での決定です。
とは言え二人にとって此れからの毎日がデンジャランスだね~~。(虚ろな目)
ククル村は最近住み易くなったとはいえ、孤児院の皆我が強い。
というかワガママ。
というかトラブルメーカー。
主に振り回されるのは僕担当だし~~。
なので二人共苦労するだろう。
例えば戦闘訓練という名の拷問とか。(視線を逸らす)
あれは最近全員強制参加になりました。
なので二人も当然参加させられるでしょう。
合唱。
二人の未来に幸運と幸あれ。(遠い目)
僕は自分の手を見ながらそう思った。
というか僕は赤ん坊の時からそんな所で育ったんだ~~。
良く今まで生きてたな僕。
ははは……はあ。(乾いた笑み)
どうしょう~~。
やっぱり二人が死にそうになったら僕が助けないと駄目だよね~~。
僕にそれが勤まるかな。(虚ろな目)
というか助けようと割り込むと僕が確実に死ぬ。
「ねえ?」
おう。
セリスが復活した。
「何でしょうか?」
「マリ姉さんに聞いた事があるんだけど……」
「はい?」
セリスの質問の意図が分からず聞き返す僕。
「貴方達七人が法王国を蹂躙したんでしょう?」
「まあそうですね~~他の人には内緒ですよ」
「という事は貴方達が【七人の魔人】ねっ!」
僕の言葉に物凄い興奮した様子で喋るセリス。
はい?
何ですか?
その痛いネーミングは?
異世界にも中二病があるんですか?
「あ~~セリスちゃん。何それ?」
「マリ姉さん知らないのっ!」
「あの~~もしもし? 何ですそれは?」
興奮してるセリスに僕は話しかけるが聞こえてないよ。此の人。
「単独で漆黒の大鎌を片手に法王国の精鋭をなぎ倒した【漆黒の死神】」
あ~~それシスターだ。(遠い目)
いつも農作業に使っている鍬が大鎌に見えたんだな。
というかセリス~~そんな噂どこから仕入れたの?
「光り輝く無数の槍で法王国の千を超える兵を貫いた【無限槍の怪人】」
槍って。
あれはサラが適当に拾って使い捨てにしているただの木の枝なんだが……。
それを同時に放つ事で無数の投擲武器になっているだけなんだが……。
多分だけど、木の枝でやられたのが情けなくて情報操作でもしたんだろう。
流石に同情するな。
敵だったとは言え法王国に。
「砦や兵舎、それに王宮を破壊しつくした【双剣の破壊者】」
クリスがやり過ぎてたな~~。
彼方此方を破壊しまくって後始末は大変だったろうな~~。
残党狩りが。
瓦礫に隠れて応戦してたし。
「法王国に違法に捕まっていた人々を解放した二人の戦士【闇の解放者】」
まて。(頭を押さえる)
凄い突っ込みたい。
解放者は分かる。
なんだ闇の解放者は。(激しい頭痛)
誰が付けた。
キキとキル可哀想に~~。
溜息が出た。
「ホワイトドラゴン部隊を壊滅させた【大賢者】サキ」
「セリスちゃん。名前を出して正体まで語ったら駄目よ」
「大丈夫!私しか知らないから!」
ばれてるよっ! サキ姉さんんんんんっ!
というか他の人も多分知ってるよねっ!
まあ~~。
あれだけの高位魔術を使える者は限られてるからな~~。
知性が低いので魔術を使えないが、魔術抵抗の高いホワイトドラゴンを殲滅してたし。
一国の部隊を一瞬。
ピーと指先を振っただけで魔術が出てたな。
その後爆散で汚い花火が上がりましたね。(虚ろな目)
ワンターン・キル。
久しぶりに見ました。(冷汗)
うん。
昔はそれでシスターの怪生物軍団を殲滅してたっけ……。(遠い目)
サキ姉さんが居なかったらあの時、ククル村は怪生物により全滅してたろう。
まさかシスターの料理の失敗による脅威の怪生物が簡単に負けるとは……。
というかその後、食材の無駄なので全員で説教しました。
シスターを。
なのにだ。
その後でもシスターは怪生物を懲りずに作り続けるし~~。
何ゆえに?
迷惑だ。
溜息を付く僕。
「そして最後に法王国に一番深刻な影響を及ぼした魔人」
「そうなの?」
はい?
僕を指差すセリスに首を傾げる僕。
そんなに影響を与えてました?
「一夜にしてペストを流行らせた最悪の魔人!」
「うわ~~」
「その二つ名は【悪夢】っ!」
「ぎやああああああああああああああっ!」
自分の番が来ると僕は悶絶した。
というか何っ!
【悪夢】って!
いやああああああああああっ!
幸い他の人達は卓球に夢中で僕達に気が付いてない。
違うっ!
違うんだっ!
作戦は電撃戦を考えてました。
だから万が一篭城されたらヤバイので策を使ったんです。
二日前に強力な下剤を井戸に投げ込んで下準備。
そんで夜になってから潜入してペスト特有の斑点を住民に判子付けただけなのっ!
僕は裏方仕事をしただけなのです。
そして法王国内にペストが蔓延したと誤情報を流しただけなんだ。
「やはり最後の【悪夢】はカイルなのね」
「目をキラキラさせないで下さい。セリス」
僕は脱力した。
「ふっふっふ」
「なにセリス」
「この事を他の人にばらされたくなかったらあ~~」
「なに?」
お金か、それとも僕に何かをやらせたいのか……。
そんな悪意に染まったような顔をするセリス。
あ――……こんな子だったのか~~。
はあああああああ~~。
軽蔑するぞ。
たく……。
あれ?
否。
違う。
そんな感じではない。
なにか悪戯っ子のようなそんな笑みを浮かべてる。
「他の人にばらされたくなかったら、私を性奴隷ではなく格上げして妾にしなさいっ!」
ズルリ。
ズルリ。
僕とマリさんは盛大に滑った。
「マリさん……」
僕は物凄く疲れた顔でマリさんに言葉をかける。
「あらあらな~~に~~」
「実はセリスって残念な子?」
「……」
無言で目を逸らさないで下さい。
しかも嫌な汗を掻いてません?
「「は――……っ!」」
僕とマリさんは二人して溜息を付く。
ワザとらしく。
「どうしたの?」
「いえ」
不思議そうな顔をして僕に話しかけるセリス。
新事実。
セリスは残念な子。
それはそうとこの世界では性奴隷は存在しないんですが……。
頭痛い。
「セリスちゃん~~もうその辺にしときなさい」
「は~~い」
マリさんの嗜める声に口を膨らませるセリスだった。
……なんかもう疲れた。
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