第五十九話 魔人
朝は此れだけです
あれ?
この感覚は駄目神からの新たな追加特典かな?
意識の底から何かの知識が湧き出てくる。
そこに集中してたら、僕から見て遠方のシスター達の試合が終っていた。
卓球台が壊れてるよ~~。(泣く)
卓球台の惨劇から視線を逸らした先で、セリスとマリさんは何かを喋っていた。
湧き出てきた知識に集中すると、何らかのメッセージも添付されているようだ。(困惑)
何々……。
脳内のメッセージに集中する為に片手で右目を覆う。
右目を片手で覆うと瞼の裏を黒幕代わりに、映像が写しだされる感覚を受ける。
こうするとメッセージが文字として見やすくなるんだよね~~。
その内容は……と……。
『転生時に渡した特典の一番目の説明を間違っていた。
正しくは【経験値を二倍貰う事が出来る】だった。
此方の不備なので保障として追加に新たな特典を君に進呈する。
上手く活用するように』
う~~ん。
称号?
分かんないな~~。
何々……。
【魔人】の称号だって。
効果は……。
威圧。
『所持してるその時点のジョブ内で、総合レベルが最も高い物と組み合わせて使う。
その最も高いレベルを基準に、三倍相当の【威圧】を放てる』……らしい
例えば仮に、僕の最も高いジョブが暗殺者二十四レベルとする。
そして暗殺者に転職する為に必要な職業レベルやその他の職業のレベルを合算し総合六十四レベルになるとする。
すると、六四レベル✕3倍=192! 【魔人】の称号を保持するだけで何と百九十二レベル相当の威圧を相手に放てるのだ!
あれ?
気のせいかな~~。(冷汗)
なんか微妙すぎる能力だ。
【なお威圧レベルの強弱は自分で変えられる。
範囲は自己指定で設置型。
まさにはったり専用。
相手に自分を大きく見せ、口先三寸で乗り切り頑張れ♪
by 神様より】
……。
………。
…………。
意味ねええええええええええええっ!
役に立たないいいいいいいいいいっ!
ああああああっ!
くそっ!
外せないっ!
この特典捨てられないよおおおおっ!
これ使うと厄介事を招く予感しかないよ~~。(泣く)
役に立つのか……これ?
あの駄目神は~~。
もっと役に立つ特典くれよ~~。(泣く)
◇
などと言う事がありました。
それは横に一旦置いて……。
まあ~~はっきり言って人気はあったが卓球は少し失敗でした。
グルスにもククル商会にもお金が入らなかったし。
一定以上は売れた。
とはいえあまり儲けが無かった。
まあいいや。
帝都のグルス支店は宿泊客を増やすことでお金を落とす人を増やす事に成功しました。
結局、あの廃材小屋をカプセルホテルと同じ方式での運営に成功したからです。
提供できる食料は野菜類が少ないですが、冒険者を雇い魔物を狩れば肉はグルスにも周辺の村にも充分行き渡るようになりました。
一時は魔物を乱獲し過ぎて、イザという時に餓死者が周辺の村で出ないか危惧する程でしたが、今はバランスは取れているようです……。
ですが新たな問題が浮上しました。
グルスや周辺の村に滞在する人口の増加です。
それによって発生した治安の悪化と燃料消費の多さという新たな課題です。
この事はキキとキルから聞きました。
燃料は炭を買わせれば、ある程度解消するはずです。
ですが今まで通り無料で手に入る薪を使用する事が大半で問題が表面化しました。
仕方がないので炭の製法をシャルと相談して製法を情報開示しました。
ですがそれはあまり効果がありませんでした。
殆どの人が炭を作る時間そのものがないからです。
貧乏暇なし。
そんな言葉を実践してるような土地柄ですからね~~。
まあ朝から晩まで働いてようやく暮らしていける人が大半だから~~。
なので炭を作る時間が無いらしい。
それで薪を拾って燃料にしてるみたいです。
足りなければ木を伐採して薪にしているみたいです。
時間の掛かる他の二種類は兎も角として。
短時間で簡単に出来る『炭団』の製造方法も教えたのに……。
それすらやらないとは……。
本当に皆時間が無いのかな?
今まで伝統としてやってきた事を変えたくないだけじゃないのかな~~。
真相は分からないですね~~。
とはいえこのまま放置すれば森林破壊が進みます。
下手すれば住処を奪われた動物や魔物が人里に下りてくる可能性に発展します。
何とかしなければ。
王権という権力を使い薪ではなく炭を強制して皆に使わせるという手法は有る。
だけど為政者側としては強引にそれはやりたくない。
だから僕に何とかして欲しいと要望を受けました。
……目の前に居るキキとキルに。
全部丸投げかよ。
良いけどさ~~。
「というわけなの~~」
「なのなの」
「ほう。それがまだ朝日すら上がっていないのに僕を起こしにきた理由ですか……」
ククル商会の宿の中の安めの個室で目を覚ます僕。
僕は起きたばかりで視界が霞むので目を擦った。
但し視線を上に向けキキとキルからは外してる。
「ところで……」
「何なの~~」
「なのなの」
僕の言葉に首を捻るキキとキル。
「腐……う~ん」
とりあえず僕が寝ていたベットの右隣を見ないようにする。
僕のベットに右手に柔らかい……ゲフン、ゲフン。
焼いていない……パンの生地の感触だなこれは……。(至福)
はっ!
いけないっ!
キキとキルの要望を真剣に聞かなくては。
でもなあ~~。(恍惚)
まるで発酵しすぎて風船状になったパンの生地に触れてるかのような感触がする。
はっ!
いけないっ!
この手に当たる感触は気のせいだっ!
気のせいという事にしとこう。
本当に唯の気のせい。(言い訳)
因みにがっちり僕の右手は固定されてる。(鼻血が出そう)
それはそうと……。
おかしい……。
三人共どうやって部屋に入った?
確かに僕は部屋の鍵を掛けて寝たよな?
マスターキーは従業員が保管していてるはずだが?
なんで僕の隣にサキ姉さんが居る。
しかも下着姿……ゲフン、ゲフン。
童貞暦が長い人間には目の毒です。
まあ役得だが。
というか気持ち良いです。
この世の天国です。
評価をお願いします




