第五十話。 罰
六話目ですこれで今日は最後です
『今回の我が妻や愚息による大失態を見逃して頂ける条件とは。カイル殿……』
「そうですね……」
豚王子を放置して話を進める僕達。
そこで僕のが出したアガス王への条件は四つ。
今回の一件でアガス王家として迷惑を掛けた方々への丁寧な謝罪。
及び充分な保障と慰謝料。
首謀者達の最低一年の禁固による幽閉。
幽閉中は此方の指定した食事のみを出す事。
これだけだ。
「……」
予想外に僕の提案した条件の緩さに呆ける豚王子。
『あ~~此方から寛大な処遇をお願いしておいて何だか、それでは甘くないかね』
「僕としては同伴してきた関係者が誰も傷ついてはいませんからね」
手を広げおどける僕。
『ココロ村では死人が出たそうだが?』
「それがどうかしました?」
僕は首を傾げる。
アガス王の言っている意味が分からない。
『君の新しい妻達の故郷と聞いているが?』
「将来の妻候補ですよ。お父さん」
溜息を付く僕。
「それはそれ、これはこれですね」
『本当にそれで良いのかね?』
「脅迫されていたとはいえ、僕を含めた皆を殺そうとした連中です。助けた貸ししかありませんし」
『ふむ』
「むしろ新しい僕の将来の妻の存在がなければ、彼等には何らかの報復措置を考えてました」
底冷えのする笑顔でニヤリと笑う僕。
だけど仮面を被ってるから表情の変化までは分からないだろうけど。
さらに言えば通信機ごしだから絶対に伝わらないだろうけど。
『恐ろしいな君は。本当にそれで四歳かね』
「四才児ですよ~♪」
僕は笑う。
但しその目だけは笑ってない。
『まるで何度も死線を潜り抜けてきた歴戦の兵士と比べてもなんら遜色が無く感じる』
「僕を買いかぶりすぎですよ。身内は無条件で守り敵対者には必罰をという教えを実践してるだけです」
僕の言葉に豚王子は沈黙する。
『ならばクリスが君の将来の妻になってなければ私達を決して許さなかったと?』
「かもしれなかったとという、可能性の話をここで幾らしても互いに意味がないと思うんですけど?」
『そうだな……』
実はそうでした。
とは言わないけど示唆だけはしておきました。
クリスの存在がなければ王様でも僕に敵対するなら暗殺してました。
まあかなり苦労はしますが。
『いや失礼、そうだな。この話は此れまでにしよう』
その事を察したのか王は話を切り上げる。
うん。
理解の早い人は好きです。
「ええ。話を戻しますが、僕を信用しこの提案を呑んでくれるなら今回も見逃します」
「俺様は先程までお前に殺されそうになってたのだが? どこを信用しろと……」
ああこの豚王子は煩いね。
ここで息を止めてやろうか?
「上辺だけでも信用してくれないと困りますね」
「まあ俺様が信用してやるとしても、母上は絶対に貴様に従わないと思うが?」
はあ~~。
いい加減イライラしてきた。
「お父さん」
『何だね。婿殿』
僕の呼びかけに打てば響くように返事が返ってきた。
「もし王妃が僕が提案した条件に乗る気と守る気が無いのなら、その枕元に毎晩様々な粗品を置いておくとでも言っておいて下さい」
「貴様あああああああああっ! たかが一度王宮に潜入出来ただけで、そう何度も出来ると思ってるのかっ!」
僕の王に対する通告に怒り、絶叫する豚王子。
ああ~~もう煩いな。
本当に今すぐ殺してやろうか。
『やめんか』
「ですが父上っ!」
父王に反論する豚王子。
『三回だ』
「はい?」
父親の言葉に戸惑う豚王子。
『今月になって婿殿が王宮に潜入した回数だ。それがどんな意味を持っているかお前でも分かるな』
重々しく語る王。
「ま……まさか……警備の増員も罠の増設もやったはずでは……」
『全ては婿殿の前では無意味だったんだよ』
恐る恐る父親に尋ね、その回答に絶句する豚王子。
「そ……そんな」
この世の終わりとばかりに顔が青ざめる豚王子。
父親の言葉の意味する所を理解したからだ。
この世界に存在する全てのジョブには共通の弱点が存在する。
完全な睡眠中にはその能力を発揮できないという当たり前の弱点が。
例えどんな高レベルの持ち主でもだ。
理論上は歴代最強と言われた元魔王リリスでも寝込みを襲われれば僕でも殺せる。
やらないけどね。
それに殆どの者は必ず事前に何らかの対策を打ってるし。
だけど僕の前には無力だ。
と思わせるよう相手の思考を誘導してる。
実際にやろうとしたら暗殺者のレベルを、まだかなり上げないといけない。
因みにだが現在僕の暗殺者レベルは今、二十四。
総合では六十四レベル。
これはキキと豚王子を撃退した事でここまで上がりました。
王族クラスは経験値が美味しかったです。
殺してはいないけど。
僕のこのレベルなら警備厳重な王宮でも潜入するのは簡単です。
まあ暗殺はまだ無理ですが。
だから暗殺まで出来ると相手に思わせるための誘導です。
様々なお土産を置く事で。
だから術王達は僕に対し敬意を表す。
否。
この場合は畏怖と恐怖ですか。
まあ本当に王宮に忍び込む事は出来る。
だが暗殺は別問題なんだよね。
僅かな殺気でも反応する人も居るからね。
ここでは誰か言わないでおこう。
あえてね。
『分かったな。貴様らが敵にまわした婿殿の本当の恐ろしさが……馬鹿共が虎の尾を踏みおって……』
「もっ……申し訳ありません」
ようやく父王の言ってる意味が分かったんだろう。
震える豚王子。
恐らく自身が忍び込まれ、喉を掻っ切られる未来図でも想像したんだろう。
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