第四十九話。 本当の黒幕 後半。
五話目です
とはいえクリスの王位継承権は物凄く上がった。
今までクリスを蔑んでいた兄弟達を追い抜いて。
「本当に不本意ながらね」
「何か言ったか?」
「いえ」
僕はそう言いながら手を広げる。
視界には高価な調度品が目に入るが今はどうでも良い。
溜息を付きながら手を組み高い絨毯を敷いた床を見ながら自分の考えに没頭する。
まあ足元の豚王子は今は気にしないとしよう。
まあ第一王位継承者は今まで様々な方法で国に貢献していた。
だからその地位を脅かされる事は本来無かったんだけどねえ~~。
此処までは良かった。
本当に。
問題は母親のクララ王妃。
身分の低い女に王が産ませたクリスが脅威に写ったらしい。
そこで今度はグルスを支配し僕達を誘き出して無実の罪を着せようとしてたらしい。
殺すか若しくは社会的信用を失墜させようとして。
豚王子を手駒に使ってだ。
そう目論んでたらしい。
うん。
馬鹿だろう。
何百人死ぬか分かってるのか?
というかそんな事したら孤児院のメンバーを怒らせるだけだぞ!
下手すれば泥沼の戦争になってたし。
クリスはどうなってたかな?
祖国のためだ。
僕らの敵になってたかも知れない。
本当に自分の都合の良い事しか考えてない。
妄想力はあっても想像力の欠如というやつか……。
失敗した時の悲惨な末路を一切想像してないんだろうなあ~~。
全て自分の都合のいい方向に事が進むとしか思っていない。
アホが。
殺意が湧いてくる。
今度第一王妃を忍び込んで殺してたやろうか?
僕は兎も角。
他の皆を殺そうとするなんて。
王様はこの件に気が付いてなかったらしい。
豚王子のジョブの所為で。
ガチで。
はた迷惑な王妃だ。
『……という訳だ』
「はあ……」
『今回の穏便な対処は心から感謝する』
「はあ」
僕は頬を掻く。
『やはりクリスの男を見る目は確かだったよ。流石千年に一度の神童だ』
「それはクリスの勘違いです」
僕は手を振る。
『またまた謙遜を。婿殿』
「王が今更僕を必要以上に持ち上げるのは何故ですか?」
『……気が付かれてましたかな』
「わかるでしょう。普通」
溜息を付く僕。
『ふむ……今回も息子と王妃を見逃してくださらんかね』
「それ本気で言ってます?」
『婿殿の気持ちは分かる。だがここは何とか穏便に……』
「すでに死人が出てるんですよ」
『頼むこの通りだ。あれとて儂が愛した后だ。死なせたくはない』
ふん。
良いでしょう。
「父上っ! なぜこんな平民如きに下手にでられる!」
おい。
お前自分の立場分かってるの?
君ら母子の運命と命は、今僕一人が握っているんだが。
『馬鹿者っ! 御主等が仕出かした事の重大性をまるで理解しておらんっ!』
「しっ……しかし、いえ申し訳ありませんでした」
通信機越しとはいえ王の怒気に怯える豚王子。
『ならば今は控えよ』
「しかし……こやつが私達を許す筈がありません」
あ……反論するみたいだね。
アホですね。
というか自分の寿命を縮めてるのが分かんないかな~~。
「お忘れですか。我々はこの幼子だけではなくグルスやククル村の者達を害したんですぞ」
『だからこうして儂が謝罪しておるっ! それに他の者達にも正式に何らかの賠償を行なうつもりだ!』
わが子の発言に激高する王様。
まあ~~外交問題ですからね。
アホな身内を持つと苦労しますね。
「いいや、父上は分かってません。此奴が許すはずが無い。俺様には分かる」
豚王子に何が分かるのやら。
『それは……』
ふむ。
ここら辺が潮時かな。
「良いですよ」
僕は王に助け舟として間髪居れずに割り込む。
『「へっ?」』
異口同音で戸惑いの声が上げる。
「だから特別に許すと言ってるんですよ。但し条件は付けますがね」
「貴様あああああああああああああああっ! 我々を謀る気だろう」
おい。
君らのやった事を考えろよ。
普通に死罪で全く不思議でないんだが。
クリスの家族でなければ誰がこんな奴らを許すか。
僕は両手を広げつつ溜息を付く。
「条件さえ呑めば良いんですよと、言ってるんですがね~~やはり殺しましょうか。二人共」
「本性を現したか! 此の悪魔っ!」
おい。
いい加減に切れるぞ。
『黙らんかっ!』
「し……しかし父上」
父親の怒声に萎縮する豚王子。
『主の命も掛かってるのだ! 黙らんかっ!』
「し……しかし父上」
なおも食い下がる豚王子。
『それに貴様達はこの婿殿の事を良く知らんからそんなに強がれるんだ』
「それはどういう意味です?」
戸惑う豚王子。
「簡単な話ですよ」
「は?」
「ついこの間も王宮に遊びに行ったんですよ。お土産を持ってね」
僕は茶目っ気たっぷりに話す。
「は? 何を言っておる。王宮は屈強な警備兵に守られ猫の子一匹入れんぞ」
『事実だ』
「は?」
父親の言葉に目を丸くする豚王子。
ぽかんと口を開ける豚王子だった。
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