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空から魔女がふってきた!  作者: 杉並よしひと
第四章
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22

 と、その瞬間、舞い散った土ぼこりが、まるで意志を持ったかの様に一カ所に集まり、また人の形を作り上げた。

「魔力は使うけど、どーよ? クラウゼヴィッツのばあさん?」

 ここからだと背中しか見えないが、多分今、翠は得意げな笑みを浮かべているに違いない。

「エメちゃん! あいつを捕まえて!」

「うあああああい」

「なるほど、この短い間にクレストを書き換えたと言うわけか……」

 カタリーナの推察に、翠は苦しげな声で答えた。

「あたりですよ」

 途切れ途切れの翠の声を聴いて、よっぽど疲れてるんだろうな、と想像する。

「エメちゃん! 行けえ!」

「うああああああおおおおおお」 

 ゴーレムがこれまでよりも力強い雄叫びをあげ、のしのしと走って行く。

「ふん、頭の悪い奴め」

 カタリーナは余裕しゃくしゃくでそう言うと、さっきまでと同じ様に、腕を振るう。俺の所まで嵐の様な風が届き、来てきた服がはたはたと靡く。

 やっぱりそれまでと同じ様に、ゴーレムが粉々になる。俺は本来応援するべき立場なんだけど、やっぱり翠は頭に血が上ると、細かい事は考えられなくなるんだろうか? まあそう言う所もあるのが翠だし、仕方ないんだろうか。

 そもそも、さっきからゴーレムだけを破壊し続けている事が、カタリーナの余裕を表していた。ゴーレムを生み出す魔力を供給しているのは、まぎれもなく翠だ。その翠を攻撃せずにゴーレムを壊し続けると言う事は、やっぱり彼女の余裕の現れなんだろう。

 いや、これは不自然にも見える。

 わざわざ戦いを長引かせる必要は、無いんじゃないか?

 俺の取り留めの無い思考を、凛とした翠の声が打ち破る。

「集えよ! 砂礫ども!」

 同時に、舞い散っていた土ぼこりや小石が、まるで磁石に引き寄せられる様に、カタリーナの周りへ集まって行く。

 カタリーナが声を上げる暇もなく、彼女の姿はちょっとした小山の中へと隠れてしまった。

「やったか?」

 竜二の声が聞こえる。小さな土の山へ駆け寄って行こうとしたのか、竜二の足は小さく浮いていた。

 まだだ。何故だか、俺にそんな予感が降りてくる。

 果たして、土の山はまるで綿菓子かなにかの様に、一瞬で霧散した。

「少しは頭も使えるようだな」

 カタリーナはそう言うと、マントの内側に手を差し入れた。

「さて……、こっちも新しい手を出してみるかね」

「何よ、それ」

 苛立ちを隠さない翠の声が聞こえる。

 あ、それは。その動きを、俺はつい昨日見たぞ。

 そして、俺の予感通り、マントの内側からは、猫が出てきた。見覚えのある、黒い毛並みの猫。


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