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俺はそのまま目を逸らし、翠達の方へ視線を向ける。三人ともカタリーナから目を離せないのか、荒い息づかいになりながらも、鋭い視線でカタリーナを睨んでいる。ただ一度、ハルと視線がぶつかる。ただそれも一瞬で、またハルは怯えた様に、カタリーナを睨みつけた。
「まあ、簡単なのから潰しておく事に、変わりはないがな」
そう言うと、カタリーナは不意に右手の杖を振るった。
「っ!! 現れよ!!」
何が起きたのか、全く解らない。ただ、いつの間にか俺の目の前に土の壁が現れ、そしてそれが一瞬にしてくだけ散った事だけは解った。
「ほう、なかなかだな……」
低く、小さいカタリーナの呟きが聴こえる。翠は何も答えない。
つまり、今、俺は、奴に、狙われたんだな。遅れて理解がやってきた。
今ので均衡が崩れた。カタリーナの禍々しい声が響く。
「風邪の精霊よ! このカタリーナ・クラウゼヴィッツに、力を分け与えよ!」
「エメちゃん!」
翠も負けじと声を張り上げる。
「大和さん、こちらへ」
後ろから肩を叩かれる。なんだ、と振り向くと、渓が険しい顔で立っていた。
「マスターの命令です。出来るだけ、離れた所にいてください」
「……解った」
とりあえず、出来ないなら出来ないなりに、このやり合いを見届けよう。この場にやってきて、俺が出来る事と言ったらそれくらいだ。
翠達の後方二〇メートル程、結界のはじっこぎりぎりに、俺は座らされた。
「エメちゃん、やっちゃえ!」
「うあああああい」
もう見慣れてしまったゴーレムが、あの地響きの様な声で答える。同時に、地面がゴーレムの足踏みとともに、ゆさゆさと揺すられる。
「ふん。ただ質量があるだけじゃないか。決まりきったやり方なぞ、怖くはないわ!」
馬鹿にしきった様な声で、カタリーナが叫ぶ。また、さっきと同じ動きで、杖を一振り。と、それに続いて、ゴーレムの体が砕け散った。
さらに続く、崖崩れの様な音。大きな岩や小さな礫が、まとまりを無くし、飴の様に振ってくる。




