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空から魔女がふってきた!  作者: 杉並よしひと
第四章
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 どうにか俺の肩からハルをどけ、反対側の窓に寄りかからせた所で、俺はとうとうこの話題を口にした。

「ハルの魔法の樹、どうやって取り戻すんだよ」

 どうしても少しつっけんどんな感じになってしまう。しまった、と思うが、今更言い直す事も出来ない。

 俺は翠に話し掛けたつもりだったのだが、答えたのは竜二の方だった。

「相手がカタリーナさんって言うのが、色々厄介だよなあ」

 どうやら、もう誰がハルの魔法の樹を奪ったのかは解っている風だ。

「お前もあいつの事知ってるのか」

「まあ、有名人だからね」

 前にも翠が同じ様な事を言っていた。そして、さっき目の当たりにした彼女の魔法も、噂に違わなかった。見たもの聞いたものすべてが、これからやろうとする事を難しく見せている。いや、確かに難しい事に変わりはないんだけど。

「正直、私たちの魔法だけじゃどうしようもない」

 翠の一言は静かだが、苛烈なまでに辛辣だ。

「私のエメちゃんが二人を助け出せたのだって、土の魔法を使って不意打ちしたからだし。今回の事があったから、多分あのばあさんは、今までよりもっと注意深くなってるはず。真っ正面から行ったんじゃ、絶対に勝ち目は無いよ」

 静かなまま、翠は続ける。いつの間にか高速道路に入っていたワゴン車が、ごう、と音を立ててトンネルへ入った。オレンジ色の水銀燈が、絶え間なく室内をちらちらと照らして行く。

「そもそも、解ってない事が多すぎるんじゃないのかな。クラウゼヴィッツのばあさんが魔法の樹を奪ったのは解った。でもね。

 どうやって奪ったのか、どうして奪ったのか。どっちも解らなかったら、私たちは魔法で片をつけるしか無いの」

 俺は今、確かに魔法使いの言葉を聞いている。そんな事は解っていた。なのに。どうしてか、それを信じられない俺も、確かにいるのだ。

 トンネルが一瞬途切れ、冬の広い空が窓ガラスを埋める。トンネルとトンネルに切り取られた空は、やがて訪れた暗闇に、すぐにぬぐい去られた。

「言葉が通じる相手かどうかも解らないけどね」

 竜二の言葉の調子は変わらない。元から、あまり感情の起伏が大きい奴ではないが、こいつはこいつなりに思う所があるんだろう、と言う事位は解る。

 俺はちらりとユリウスさんの方を見やった。ユリウスさんはさっきからこちらの会話に関わってこない。俺達の会話は聴こえているんだろうし、何か考えている事もあるはずだ。何しろ、自分の娘の事だ。それでも話に加わらないと言う事は、まあ、ユリウスさんなりの理由があるのだろう。


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