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「もしかしてお前ら、ずっと俺の事騙してたのか?」
「騙してたって言うのは違うな。魔法使いに生まれたからって、魔法だけが生きる道じゃないって事だよ。これ以上言わせるなよ、恥ずかしい」
飄々とした竜二の声が聴こえる。俺はすぐにはその言葉の意味を理解出来なかった。一拍遅れて、理解とも言いがたいもやもやがやってくる。
とん、と肩にかわいらしい重みを感じた。見ると、ハルが微かな寝息を立てて、俺の肩に頭を預けている。なんてこった。
「ハル、寝ちゃったんだけど。どうすれば良いかな?」
「とりあえず、その場所代わりなさい、私と」
翠が勢い込んでそんなことを言う。そんな会話を聞きながら、ユリウスさんは笑って、
「まあ、疲れたんだろうな。悪いけどヤマトくん、しばらく寝させてやってくれないか?」
と言うのだった。
「羨ましくてねたましいわ」
「翠がそう言うと、本当にヤバく聴こえるね」
竜二と翠の気楽な言葉が後ろから聴こえてくる。一方俺は、正体不明の緊張に、身が固くなって行くのを感じていた。今更、肩に全神経が集まって行くかの様な感じがする。
眼球だけを動かしてハルの寝顔を盗み見る。こいつめ、世界が幸せに満ちているかの様な顔で寝てやがる。
また静かに眼球だけを動かして、ハルの寝顔から目をどける。ちらりと覗き込んだルームミラーで、ユリウスさんと目が合った。彼は何も言わず、ただ悪そうな笑みを浮かべただけだった。しまった。
結局、誰もが不自然に、一番大事な話題を避けていた。そして、誰もがそれに気付いていたに違いない。
しかし、誰もそれを指摘しなかった。結局、遅かれ早かれ話さなければいけない事くらい、誰もが解っていたからだ。




