6
ワゴンカーはラインハルト家の物だった。後部座席には俺とハル、みど俺達が地上へ降りると、翠がゴーレムに何か指示を出すのを待ってから、すぐに出発となった。
「お前のゴーレム、なんか向こう行っちゃったけど、良いのか? あれで」
俺の疑問に、翠は面倒くさそうに答えた。
「連れて帰るわけにも行かないでしょ」
「いや……、まあ、そうだけどさ」
もう一度、深い溜め息をついて、翠は話し始めた。
「ゴーレムの記憶って言うのはさ、クレストに蓄積される物なの。クレストって知ってる?」
「ハルに聞いた」
「あ、そ。で、クレストに情報を蓄積するってことは、逆に、それさえあればゴーレムを形作るのはどこのどんな土でも良いわけ。だから、私はさっきの場所の適当な地面にクレストを出現させて、ヤマト達のいた所にゴーレムを召還したの」
「ふうん」
なるほどなあ。……あれ、ちょっと待て。
「質問は?」
「何で竜二がここにいるんだ?」
「ひどいな、ヤマト。俺とお前の付き合いだろ」
「お前は黙ってろ。なあ翠、なんでだ?」
「魔法使いだからに決まってるでしょ」
きっちり十秒、俺の脳みそはフリーズした。固まった脳みそが動き始めても、俺の脳の中身はまとまらず、ただ出てきた言葉は、
「はあ……?」
だけだった。情けない。
ただ確かに、そんな混沌の中でも、翠の言った様に、「竜二が魔法使いだから」と言うのは、合理的な説明の様に思える。ってか、そうじゃなかったら、翠はゴーレムの姿だってみせないはずだ。
「竜二、お前も魔法使いなのか……?」
「そうだよ。水の精霊を使役する魔法使いだ」
ようやく頭が痛くなってきた。ぐるぐると渦巻く頭のまま、俺は運転するユリウスさんに問いかけた。
「もしかして、俺も魔法使いなんですかね?」
「そんな事ないから、大丈夫」
バックミラーに、ユリウスさんの笑顔が移った。やっぱりそうだよな……。俺はなに馬鹿な事を訊いているのだ。




