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とにかく。
お釈迦様、じゃなかったゴーレムの手のひらに乗っかった俺達は、意外と快適な乗り心地に戸惑っていた。
何しろ、揺れないのだ。一歩が大きいゴーレムだから、多少の風は仕方ないとしても、学校の校舎よりもずっと高い所にいながら、ほぼ揺れが無いのはありがたかった。
ふと振り返れば、もうカタリーナの姿はすっかり見えなくなっていた。
「でさ。結局脱出出来たわけだけど」
俺はハルに言葉をかける。
「これって、大丈夫なのか?」
「何が?」
何が、じゃないよ。それをお前が言っちゃおしまいだろう。
「このゴーレム、見られちゃまずい物なんじゃないのか?」
「ああ、それなら」
ハルはそう言うと、ゴーレムの手首の方を指差した。手首、といっても、手のひらが家の一部屋より大きいから、それなりに遠くにある。
そこまで行ってみると、そこには、どこかで見た丸い印が彫られていた。ただ、さっきのとは、丸の中の模様が違う。
「このゴーレム、遠隔操作用なんだよ。エメちゃんが来てくれたって事は、みっちゃんが助けにきてくれたんじゃないのかな。みっちゃん、いつもゴーレムに『見えなくなる』クレストくっつけてるし、多分これがそれ」
つまり、俺達の安全は一応確保されたって言う事か。俺はこっそりと&のため息を吐いた。
安心したら、急に気になり出した事がある。
「ってか、何でこのゴーレムが翠のだって解るんだよ」
「え? 何でって……」
ハルはなぜか絶句し、俺の顔をまじまじと見た。なんなんだ。
「だって、エメちゃんと同じ顔してるじゃん」
顔……? 俺は空を見上げた。ゴーレムの顔には鼻らしい出っ張りと、口の様なくぼみがある。だが、俺が見ている事に気付いたのか、大きな顔を俯けて、俺の顔を覗き込んだ。
俺は人生でこのゴーレム以外のゴーレムを見た事が無い。だから、この顔のどこに特徴があるのか、全く以て解らなかった。ただ、逆光の中に黒ずむゴーレムの顔は、少々恐ろしかった。
「おーい!」
微かな声が聞こえる。手のひらの縁から見下ろすと、ゴーレムの歩く道の先に、一台のワゴンカーが見える。
翠と竜二とユリウスさんの姿が見える。翠が、ちぎれんばかりに手を振った。




