表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空から魔女がふってきた!  作者: 杉並よしひと
第四章
PR
48/80

 しかし。

「はッ」

 老女が手を一振り。その瞬間、立っていられない程の向かい風が正面から吹いた。

 俺はよろめき、そこへやって来た第二陣の風に、膝をつかされた。

「くそ……」

「お前は威勢がいい。ただ、死ぬと解っていてなお、向かってくるのは、賢いやり方ではないな」

 そう言って、高らかに老女は笑った。

「ヤマト。あの人はまずい」

 ハルの顔からは血の気が引いていた。ただ恐れだけを浮かべた蒼い瞳で、老女、カタリーナを見つめている。

「あの人は、風の魔法使いの中じゃ、一番『強い』魔法使い」

 俺に言い聞かせる様に、ハルは淡々と話した。

「あの人がその気になれば、あんたなんて一瞬で殺せる」

「……」

 俺は黙ったまま、ハルの言う事を聞いていた。確かに、ユリウスさんもそう言っていた。カタリーナ・クラウゼヴィッツは、恐ろしい魔法使いだと。

 でも、だ。

 ハルが魔法を使えず、俺も単なる高校生だ。

 ハルは間一髪の所で俺を助けてくれた。

 なら、俺も本気で何かをすべきなんじゃないか。諦めるのは、卑怯じゃないのか。

「小屋を破られるとは思っていなかったが、楽しませてくれたのだから、まあ良い。用が済んだのだから、私の手間を増やさないでおくれ」

「黙ればあさん」

 俺はカタリーナを睨みつけた。

「お前なんだろ」

「ああ、そうだよ」

 けろりとした口調とは裏腹に、分厚い瞼の奥の黒い瞳が、俺を串刺しにした。

「私がやったのさ」

「……っ、クソが」

 俺は小さく悪態をつき、そのまま走り出そうとした。しかし、またも激しい風が吹き、俺の脚は一歩も進まない。

「私は確かにあいつの魔力を奪った。だが、それを知って、お前らには何も出来んだろうが」

 俺には奥歯を噛み締める事しか出来なかった。

 その通りだ。信じたく無いけど、解りたくは無いけど、俺は何も出来ない。

 大きな力の前に、俺に出来る事は一つも残っていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ