44/80
14
結局、一休みしてから山頂までは、そこまで時間がかからなかった。
天から降ってくる光が徐々に強くなり、斜面の終わりを感じたと同時に、森が途切れた。
斜面にはまだ続きがあった。だが、それよりも。
そこには道路があったのだ。山の斜面の等高線に沿う様な道路があったのだ。
「おお……!」
俺が言葉にならない感動を感じていると、後からやって来たハルは、
「まだここから何キロか歩かなきゃ行けないから」
と、非情な現実を突きつけた。
「良いじゃないか。誰が連れて来たのかわかんねーけど、道路何て見たのほぼ一日ぶりだぞ?
人工物バンザイ!!」
「はあ……、疲れた」
ハルがそう漏らしたのと、同時だった。
「ダメじゃない。逃げたら」
老いた女性の声が聴こえた。嗄れて、そこまで大きい声でも無い。だが、声から滲み出る老獪さが、俺に絡み付いた。
なんか、まずそうな気がする。
持っていたホウキを握りしめる。振り返ると、黒いマントを着て、腰がくの字に折れ曲がったばあさんが立っていた。皺が刻み込まれ、ひからびてしまった様な手には、禍々しく所々折れ曲がった杖が握られている。老女の目が、俺を捉える。
見るからに魔法使いだった。
「カタリーナさん……」
後ろでハルが、小さく呟いた。




