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空から魔女がふってきた!  作者: 杉並よしひと
第三章
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10

「いや、でも、こんなホウキで、壁破れんのかなあ」

「いまさら!?」

 いざこうやって構えてみると、ホウキはただのホウキだった。いくら掘建て小屋みたいな小屋の壁だって、ホウキじゃそう簡単には穴なんて開きそうに無いじゃん。たまに、壁を殴って穴開けちゃった、とか言う話も訊くけどさ、壁を殴って腕が向こう側に突き抜けちゃった、とか言う話は訊いた事が無い。

「そんな事気にしたって仕方ないよ。とりあえず、今は出来る事をしなきゃいけないんだし」

 それはそうなんだけどさ。

 俺はとりあえずホウキを構え直し、窓のついている側の壁に向かい合って、槍の様に何度か柄を突き出してみた。やっぱり妙な格好だ。

 やるしかないか。

 俺は息を止め、後ろ足を蹴って、前の足を踏み込んだ。体のひねりを使ってホウキを押し出して。

 そのまま壁を突くッ!

「ッ……!」

 ホウキが壁に接する、その瞬間。

 

 クレストから、風が吹いた。

 

 クレストが光ったかと思うと、風邪にホウキを押し戻される感覚がやって来た。しかし、思う間頃には、もう次の感覚がやって来ていた。

 耳に思い切り水を流し込まれたかの様な音が俺達を包む。

 風は渦巻きながら壁をぶち破ると、さっきまで壁だった木屑を連れて、小屋の外へと飛んで行った。途端、小屋の中に、弱々しい冬の光が飛び込んで来た。

 一瞬の事だった。

 あまりにも短い時間で全てが終わったから、俺達はあんぐり口を開けて、見ている事しか出来なかった。

 なんじゃこりゃ。

「お母さん……」

 ハルが小さく呟いたのを聞いて、俺は我に帰った。

「おい……、俺って、魔法使えたんだっけ……?」

「なにバカな事言ってんの?」

 ハルの冷たい視線が突き刺さる。

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