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「いや………………、ちょっとな…………」
言えるわけねええええええ。謝ろうと思っているのに、謝ろうとするともやもやしてたとか、言えるわけが無い。しどろもどろになる俺を見て、ハルは長い長い溜め息を吐いた。
「まあ、私も悪かったわ。とにかく、こんな状況で喧嘩してるわけにはいかないし」
「まあ、それは、そうだな」
「言いたい事があるなら、後で思いっきり言い合うってことで。それで良いよね?」
「いえっさー」
急なハルの変化に俺は戸惑ったが、結局これは俺に取って都合が良いんじゃないか? ハルはこの場を切り抜けようとしながらも、俺に謝る機会をくれている。
ハルはまた窓をつつき、俺のぶち当たったドアの結界も指で突いていた。そして、くるりと振り返ると、びし、と俺を指差し、
「ヤマト、あんた、この小屋の壁、破れる?」
と訊いて来た。
「え?」
いやいや、唐突に何を仰るんですか。
「だから、この壁を破壊出来るか、って訊いてるの?」
「うーん……、木の壁だし、道具があれば出来ない事もなさそうだけど……。なんで?」
俺はさっきまで頭を打ち付けていた壁を撫でてみた。住宅とは違って、ベニヤ板を組み合わせて作った様な小屋だから、スコップでもあれば破壊出来るかもしれない。
「この結界、窓とドアの枠にぴったり嵌る様に張ってあるでしょ? 普通はこう言う結界って建物ごとぐるっと包み込む様に張るものなんだけど、もしかしたら窓枠の部分だけにしか張ってないのかもしれないの。ちょうど窓ガラスみたいにね」
「ふーん。……ん?」
俺は頷きかけたが、すぐに疑問にぶち当たった。
「俺達を閉じ込める為の結界なんだろ? 何でそんなケチったはり方をするんだ?」
何でか知らないが、武蔵野の町中から、こんなどこにあるのかも解らない小屋まで俺達を連れて来たのだ。念には念を入れて閉じ込めておこうと思うのが、人情じゃないのか。
「結界を張るのって、意外と魔力を使うものなの。これくらいの小屋一軒をすっぽり覆う位の結界だって、一日張り続けるのはすごく疲れるもの」
それに、とハルは言葉を継いだ。
「もしこの結界が、私たちを閉じ込める為の物じゃなくて、私たちを監視しておく為の物だったら、丸ごと覆う必要なんて無いしね」




