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結局、それからしばらく経っても、小屋の中に異常は無かった。一晩ここへ寝かせておいてくれた事からしても、俺達はここへ閉じ込められて、すぐに何かをされるわけじゃないらしい。いや、ハルの方にはもしかしたら何かが起きているのかもしれないが、あんな言い合いをしてしまった手前、そんな事を訊ける雰囲気ではなかった。よっぽどこっちの方が重要な事なのに、どうしてかそれを言い出せなかった。
もしかしたら、地球が滅亡する時になったって、全人類は一つにならないのかもしれない。
俺は窓から外を見る振りをして、ちらりと奥のハルの様子を窺った。
ハルは埃を被った道具達に囲まれて、膝を抱えていた。膝小僧の間に顔を埋めて、さっきからずっと動いていない。まるで、ハルの上にまで埃が降り積もってしまっているようだ。
確かに、俺は言い過ぎたかもしれない。でも、元はと言えばハルの方からあんな事を言って来たのだ。
そりゃ嫌な事だろうけどさ、何もあんな大げさに否定する事も無いじゃないか。俺はさっきのハルの言葉を思い出した。うーん、何かもやもやする。
もしかして、俺はハルの言葉に傷ついたんだろうか?
そう思ってから、ハルの言葉に傷つくと言う事が何を意味するのかに思い至ってしまい、あわてて頭を振った。忘れろ、忘れろ! うあああああ!
とにかく、ハルと仲直りをする事が先決だ。このままここから出られないんじゃ、両方に得が無い。俺は魔法の事をまだよく知らないし、俺一人で考えるより、ハルが一緒にいてくれた方が、いくらか安心だ。
でも、だ。あれだけ激しく物を言ってた奴が、今はあんなに落ち込んでいるのだ。どうやったらあれを立ち直らせられるんだろう? ただ話し掛けて謝るだけじゃ、話が進まない気がする。そもそも、ハルの求めているものは、俺の謝罪なのだろうか。
確かに、俺は謝らなければ行けない。考えてみれば、ハルが先に怒り始めたとはいえ、俺もひどい事を言ってしまったと思う。あいつが怒ったからって俺までそう言う事を言ってしまっては、収まりがつかなくなってしまう。
「はあ」
知らず知らずのうちに溜め息が漏れてしまう。
いっその事、何か凄い事件でも起きてくれないものか。そうしたら、こんなちっぽけな事を忘れて、ハルとも仲直りを……。
「うあああああ」ガンガンガン!
なんなんだ! 俺はハルと仲直りをしたい。ひどい事を言ってしまった事を謝りたい。なのに、そう思う度にやって来るこの訳分からない感覚はなんなんだ!
あれか? 自分から謝ると負けだとか、そう言う事を思ってるのか、俺は!
「うあああああ!」ドンドンドンドン!
「なにしてるの?」
気付けば倉庫の壁に頭を打ち付けていた俺は、背後から聴こえる醒めきった声に振り返った。熱くなった様な痛みに額をさすりながら、俺は後ろを振り返る。
ハルが立っていた。目元がちょっと赤くなっているが、蒼い目はかわいそうな目を見る様な表情を湛えている。




