表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空から魔女がふってきた!  作者: 杉並よしひと
第二章
PR
25/80

「ねえ、もしかしてあんた、口軽い方なの?」

 駅の高架から、オレンジ色の電車が出て行く。駅前のバスロータリーから、赤いバスが出て行く。バスが行ってしまうと、人が道路を渡り始める。

 周りはそうやって動いているのに、俺はどうしてか、振り返る事が出来なかった。心臓だけが、胸を突き破ってしまうのではないかと思える程、高く跳ね上がっている。

「さっきだって、なに、あの子」

 油の切れたボルトの様に、ギギギ……、と軋ませながら首を無理矢理回す。背後には今俺が出て来た横町があって、外よりはかなり暗い横町の中から……。

 亡霊の様にハルが現れた。

「さも悩みがあります、みたいな感じでさ。ぽろっと言っちゃうんじゃないかと思って、ほんっと、心臓に悪いったら」

 心臓に悪いのはそっちの方だ。

「言っとくけど、ヤマトが誰かにこの事ばらしたら、ばらされた方の身の安全も保証出来ないから」

 考えてみればそうだよな、と俺は思いつつ、やっとの事で体ごとハルの方へ向かい合う。

「お前なあ、いるんだったらいるって言ってくれれば良かったのに」

「だって、お邪魔しちゃ悪いですし」

 心無しか、蒼い瞳が鈍く光った気がした。

「みっちゃんと仲良いくせに? 千種ちゃんとか言う妹キャラまでいて? モテ期は人生に三回までしかないみたいだから、大事にしないとね?」

「どうしてお前がいらついてるんだ」

「いらついてなんかないわよ。ただ、秘密を共有するのがヤマトだったのが、不運だったな、ってだけ」

「いやいや、お前が降って来たからだろうが。あと、これだけは否定しとくが、俺は決して口が軽い方じゃないからな」

「どうだかね」

 ハルの一言で、会話が一旦途切れる。俺は、明るい駅前の通りから、横町の中へと入った。ハルの横を通り過ぎ、横町の壁にもたれかかると、ハルもそれに倣った。

「お父さんから聞いたのよ」

 俺は何も聞いていないが、ハルは一人で話し始めた。

「私に、『魔法が使えなくなったみたいだが、本当か?』って。で、私がとぼけ続けたんだけど、あまりにも色々知ってる物だから、問いつめちゃったわけ。そしたらお父さん、『ヤマトくんが教えてくれた』って、あっさり吐いてくれたわ」

 ユリウスさん……、秘密にしてくれるって言ってたじゃないですか。なに速攻でばらしてくれてるんですか……。

 ハル、めちゃくちゃ怒ってるんだろうなあ。俺は内心びくびくしながら、目を地面に落とした。汚いアスファルトの地面に、埃が溜まっている。

「まあ、お父さんにバレるのも時間の問題だと思ってたし、そこまで騙しきれるとも思ってなかったし」

 溜め息をつきながら、ハルはそう言った。あれ、怒ってない……? 俺はおずおずと隣に経つハルの顔を覗き込んだ。

 般若の様なハルの顔が目に入った。ぎゃー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ