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結局、それから数日、俺は平穏な日々を過ごしていた。
いや、それは嘘で、ずっとヒヤヒヤしながら日々を過ごしていた。今だって、一時間目が始まろうと言う時に、机に突っ伏している。
だって、お父さんにとはいえ、ハルの秘密を喋ってしまったのだ。それも、策を弄され、それにまんまとハマってしまった形で、だ。あぁあ、バレたらハル怒るだろうなあ。あいつと知り合ってからまだ全然長く無いが、少し理不尽な怒り方をする事がある、って言う事位は気付いている。でも、ユリウスさんは、誰にもばらさないって言ってたしなあ。
「おい、朝からどうしたんだよ」
うぅん。俺から誤りに行くべきだろうか。いや、でも、ユリウスさんに話した事がバレなければそれでいいし、そもそも翠にはハルの目の前でばらしてしまった。あの時ハルは怒らなかったから、翠にバレる分には、別に良いと思っていたのかもしれない。
「おーい、ヤマトくーん?」
でもなあ。一応、ああやってなし崩し的に決まった物だとしても、約束は約束だし、大きな得も無いのにそれを破るのは、やっぱり気分がいい物じゃない。
「おきてますかぁ?」
むう。一体どうすりゃ良いんだ……。
「いい加減起きさらせ!」
「うっわ、ビビった!!」
いきなり肩をガタガタと揺らされ、うだうだとした無駄な考え事がどこかへ飛んで行った。俺は首だけ回して上を見る。竜二がいた。
「お前、朝からどうしたんだよ。ずーっと何かぶつぶつ言ってるしさあ。正直言って気味悪い」
遠慮がねえな。俺だってかくかくしかじかで悩んでるんだよ! なんて、言えないし、俺は言われるがままにした。
「いいんだよ。たまにはそんな日があったって」
「いーや、気になる」
今日に限って頑固な竜二は、その場でくるりと後ろを向き、背後へ叫んだ。
「おーい、翠。ヤマトのお悩み相談に乗ってやってくれないか?」
よりにもよってあいつかよ。
俺は机に突っ伏した格好のまま、翠の方を向いた。翠と目が合う。奴は俺に向かって「いーっ!」と憎たらしい顔をしてみせると、
「いーやーだー」
と返事をした。ここで相談に乗ってくれる流れになっても、俺の悩みは深まるばかりだし、むしろこれでも良かったのかもしれない。ただ、何で翠が怒っているのか、考え始めてしまうと、かえって一つの謎を増やしてしまったみたいで、もっともやもやする。
「だってさ。残念だったな」
「何がだ」
「秘密があるなら、俺に喋っちゃった方が楽だぜ? 一人で悩むよりさ どうせ大した事じゃないんだし」
竜二はそう失礼な事を言うと、俺の肩を叩き、机から離れて行った。こいつはなあ。時たま相談事を持ちかけると、その度に珍奇な答えをはじき出すからなあ。
結局、奴は何がしたかったんだろう?




