十二話-記録
私は、少し先の未来から、時空移動ゲートを使ってこの時代に戻ってきました。……ああ、いや、お恥ずかしい。私の書き置きは役に立ったようですね。誰かが読み解いてくれるだろうと思っていました。
宇宙人の知り合いがたまたまいまして。あれは宇宙人の技術ですからね。恒星フレアと磁場エネルギーと座標指定の音響機器で……まぁ、それは置いておきましょう。
私が戻ってくる前と今では、世の中が随分変わっているようです。時空外来種も、ヒーローもいなかった。他にも、色々と。
そうですか……妖精類が、人魚に。私がここに戻ってくる前は、人魚という存在も、"人魚を食べると不老不死になる"という伝説もなかったんです。もしかしたら、アマビエや神社姫といった類も人魚の可能性が……。
その様子ですと、人魚たちは歌うことで時空移動ゲートの座標指定をしているようですね。ただの音の並びでいいのに、メロディーにするなんて、人魚たちの遊び心は美しいですね。さすが、妖精類から進化しただけのことはある。
……なにか?
ええ、そうです。あの子が妖精類に殺されて、私はそれをきっかけにこの時代へ戻りました。おや、"妖精類暴走事件"の起きた年が私の記憶と違いますね。
いえいえ、妖精類を止めようだとか、私にそんな大層な理由はありませんよ。ただもう一度、妖精類が美しく生きていて、あの子が元気に生きていた綺麗な時代に、もう一度生きたかっただけです。
さて。
なぜ妖精類が暴走したか、お分かりですか?この資料……自然発生だと?妖精類の養殖、その養殖方法ですよ。当時、私は仲間と共に、養殖は止めたほうがいいと問題提起しました。記録がない?揉み消されたようですね。妖精類は、感情そのものが生命力の生き物です。感情の受容体だ。科学でコントロールして生産しようなんて、そんなことをするから異常が起きたのでしょう。人魚へ進化するのも分かるような気がしますよ。厳しい環境に対応できるようにしただけでしょうね。
……私の話はお役に立ちましたでしょうか。




