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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第3章 貴族+家族+愛情=???
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19話 子供たちは強いんです

私生活が忙しく、中途半端に・・・。


今回は王城に行ったメイトラたちの話(前編)です

「ねぇおねぇちゃん、綺麗なお兄ちゃんはどこ?」


「ごめんね、お兄ちゃんはお仕事してるの。だから帰ってきたら褒めてもらえるようにお勉強しようね」


「うん!帰ってきたらご褒美で魔法教えてもらうの!」



勉強に飽きたのか、足をばたつかせながら愚痴る幼女をメイトラはやんわりと椅子に座り直させた。


場所は王城の一室、他国からの使者用の大部屋であるが今回は装備に身を包んだ大人たちではなく、10歳以下の子供たちであふれている。


子供たちは部屋を訪れた当初、初めて見る高級品や飲み物、食べ物に大興奮していたが、何分幼いために価値が分からずすぐに飽きてしまった。


暇になった子供たちはすさまじく、行動を抑えるためにレイヌが予め渡していた問題集を配布した結果見事に大人しくさせることにメイトラは成功したのだ。



「も、申し訳ありませんメイトラ姫殿下。子供たちが失礼を・・・」


「いいんですよ、私だってこの子たちとあまり歳はかわりません。飽きてしまうのもわかりますから」



先ほどのメイトラを「おねぇちゃん」と言った幼女の言動は、見方を変えれば王族への無礼に当たるため、子供たちの保護者でもあるミテラは先ほどから緊張が解けない。



「ほら、ミテラさんもお茶を飲んで落ち着いてください」


「えっと、ありがとうリングラットさん」


「ではこちらの焼き菓子もどうぞ」


「あ、ありがとうごさいます、オンブルさん」



両者とも彼女の緊張をほぐそうと世話を焼くが、帝都でもトップクラス冒険者のリングラットと変態なオンブルに挟まれたミテラは、逆にどんどん萎縮してしまう。


焼き菓子を持つ手が震えて何回か手から離れてしまうが、下で待ち構えるレックルによって回収済みだ。



「モグモグモグ‥‥‥甘い。お砂糖は高いのにこの量、何を使ったのかな」



こんな時でも彼女の料理研究は尽きないようだ。


そんな彼女にオンブルは彼女用の焼き菓子を持ってくるが、ミテラの元から動こうとしなかった。



「あの、なぜ私たちはお城に連れてこられたのでしょう。いえ!決して不満があるとかではなくてですね・・・」


「え?リンさん、お話してないの?」


「すみません、この子の食べっぷりがすごくてついつい」



リンはリスのように頬を膨らませ口を動かすレックルをニコニコと楽しそうに眺める。


では他の人はと周りを見渡しても、事情を知る者はみななにかと忙しそうにしている。


オンブルは焼き菓子をテーブルに置いた後、子供たちの勉強を見に行き、ダリエラは子供たちの中で一番大柄なテルアエラと大食い勝負をしていた。



「なぁなぁ、ねぇちゃんが説明してくれよ。本を読んでくれた時みたいにさ」


「こら、ムート!また貴方は・・・」


「そうね、ムート君ならこの話を理解できるからミテラさんと一緒に聞いてね」


「メイトラ姫殿下!?」


いち早く問題集を終えた子供たちのリーダーでもあるムートは、最近大人に憧れているらしく難しそうな話があると聞きたがる癖がではじめている。


その内容も多岐にわたり、中にはあまり子供に聞かせられないような話でも聞いてくるので、ミテラも周りの大人も困り果てているのだが、今回もその癖が発揮されたようだ。


この一連の行動、ムートのような年頃の子ならば困りはするが珍しい行動ではなく、困り果てるほど問題視はしないだろう。


ではなぜここまでミテラが慌てるのか。


その理由はメイトラの言った通り話を理解することができるからだ。


ムートは剣の腕もさることながら、レイヌも感心するほど頭が回る。


具体的に言えば面白半分で教えた《山岳地での籠城戦》をテーマにした戦術を一度聞いただけで理解できるほどだ。



「姫殿下、私たちが王城に連れてこられただけでも大事だと分かりますが、それをこの子に教えるのは・・・」


「大丈夫ですよ。この子は頭も良いですし、何より()()の意味で理解が出来るでしょう」


「本当の意味・・・・ですか?本当に?」


「私も問題ないと思いますよ。彼ならば、いえ、彼でなければ聞かせられないでしょうが」



首を傾げるミテラも無理はないだろう。


メイトラが言う《本当の意味》とは、話の内容の重要性を知るということだからだ。


そこで一通り見回りの終えたオンブルがこちらに会話に参加してきたのでミテラは助けを求めるが、意外なことにオンブルはムートに聞かせることに賛同した。



「貴女までそんなことを」


「とにかくメイトラ様の話を聞いてからですよ。そうすれば彼が大丈夫だということも理解できるでしょう」


「ちょ、近いですよ!?わかりました、わかりましたから!」



息が触れるほど近づき力説するオンブルにミテラは慌てるが、確かに肝心の内容をまだ聞いていないことを思い出す。


相手の話を聞かずに断るのも失礼かと、不安は大きいがムートを含めて話を聞くことにした。



「ありがとうございます、オンブルさん。では、まず現状なにが帝都で起こっているかの説明から・・・」



メイトラから語られた内容は、やはりミテラの思った通りとんでもない物だった。


生活基盤を固めている各ギルドの長たちへの襲撃、先の《死の魔物大行進(デス・パレード)》にて活躍と《紅蓮の迷宮》改め《迷宮》の初なる走破者であるレイヌ・イニスティア名誉侯爵への直接的な襲撃。


素の内容だけでも一般人たる彼女には荷が重い話だが、メイトラからは計画的な同時攻撃だったという事実まで語られる。


襲撃者が愚かだったのか、それとも下す自信があったのかはわからないが、そのような重要事件がすぐ近くで起こったことに、彼女は身が震える。


と、同時にやはりムートには聞かせるべきではなかったと、すでに遅いが彼の耳を塞いだ。



「お母さん、耳を塞いでも少しは聞こえるよ。それに僕は分かる、これ他の人に話しちゃいけないやつだ」


「ムート?」



ゆっくりとミテラの手を掴み耳から話したムートに、彼女は戸惑った。


ほんの少し前までは他の子供たちと一緒に走り回っていた少年が、今この時はしっかりと状況を把握したまさに大人の表情をしていたのだから。



「レイヌ兄ちゃんから聞いたんだ、情報は命だって。強くなるには知りたいことを知れるような力も必要だって前に言われてたから、俺がんばって勉強したんだ」



戸惑うミテラの手をムートは優しく握り返す。



「ミテラさん、貴方は我が主様を、そして子供たちを甘く見ています。私はサポートしていたに過ぎませんが、彼は自ら望んで我が主様に教えを乞うたんですよ」


「ムートが、ですか?」



オンブルはミテラの僅かな心の変化にチクりと釘を刺す。


ミテラはレイヌに対して憤っていたからだ。


大事に育てていた子供たちに知らなくていいことを教えた、学ばなくていい術を教えたと、子供たちを大事に思うあまりの憤り。



「うん、俺がお願いしたんだ。どうして強くなりたいんだって兄ちゃんに聞かれてさ、その時皆を守りたいからって言ったらいろいろ教えてくれた」


「・・・・・だからと言って、幼い子供に」


「俺は幼くない!本当の父ちゃんが何をしてたかも、あの大きな壁の向こうは危険がいっぱいってことも知ってるよ!」



愕然とした。


ミテラが管理する孤児院は、みな親が犯罪者であり、逮捕後身寄りのない彼らを隔離・保護する場所でもあった。


一般の孤児院では、偏った知識によって同じ孤児たちに虐げられたりと辛い目に合うこともあるので出来た孤児院だが、彼女は子供たちが院を卒業するまで親の事は隠し、十分に事実を受け入れられる年齢になってから明かすという体制を取っていた。


だがムートは知っていた。


受け止められるはずがない、まだ幼く未熟な彼らは守らなくてはいけないと思っていたムートは、辛い現実をしっかりと受け止めていた。


それどころか、強くなって自分たちを守ろうと考えていた。



「ミテラさん、子供たちは強いですよ。貴方が思っているよりもずっと」


「メイトラ姫殿下・・・・しかし、それでもこの子は」


「確かに守るべき対象です。しかしいつまでも守られている立場でもない。私のような王族並みに覚悟を決めろなどとは言いませんが、それでも闘う覚悟は持ち合わせています」


「そうですね。ミテラさん、この世界は危険が満ちています。ならば無事に育てることも大事ですが、危険を教えることも、抗える力を付けることも同じように大切なことだと私は考えます」



最後のオンブルの発言は、ある意味神らしい上位者の発言でもあった。


守られているだけでは、進まないままでは生物はあっという間に滅んでしまう。


この考えは神界にてレイヌが説いていたものだが、現地に住む者にとっても真意でもある。


自身の今までを振り返り、オンブルの言葉を反芻するミテラだが、メイトラの話しは終わっていない。


寧ろここからが本題である。

ダリエラ  (モグモグモグモグ・・・・・・・・・・)

テルアエラ (モグモグモグモグ・・・・・・・・・・)


リン    「ダリエラさんはともかく、この子もよく食べますね」

メイトラ  (ま、真面目な話してるんだけど。向こうが気になります・・・)

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