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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第3章 貴族+家族+愛情=???
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17話 獰猛な紳士

ボキュンッ


俺の繰り出した蹴りは音速を超え黒ローブの腹部を消し飛ばした。


その代償として圧縮された空気は建物の壁を破壊し、破片が兵たちに降り注ぎそうになったが、幸い木造の建物であったため《火魔法》で焼き払う。



「ちょっ、レイヌさん!あんま破壊力のでけぇ攻撃しないでくれよ」


「すまん、気をつける」



俺はディーに謝り、物陰からこちらを狙っていた狙撃手に向かい拾った小石を弾き飛ばした。


やはりこの場では存分に戦えない。


なにより先ほど《鑑定》した襲撃者のステータスが頭にこびり付き剥がれない。




―――――――



―ステータス―

名前 ヴぇろるgv

性別 おfm

年齢 1g5え

種族 hrggr

レベル 2¥-30

HP g41h5え9/れ5ごj。¥

MP h、5いお95-/h5b、r

攻撃力 h、rt5

防御力 t2h8

瞬発力 tlt5h@

魔力  gkrt4

知識  hrtk0458c

幸運  f5b0jへ45ふぉ


スキル


称号



―――――――




この表記は見たことがある。


まだ記憶も新しい《魔忠》と同じ読み取れないステータスだ。


《魔忠》に関しては《-のリソース》の塊ゆえに人間である俺の鑑定が聞かなかったのではないかと()()()()()


そもそも《魔忠》という存在は創った覚えはないし、ステータスが文字化けして読めないという現象も設定を許可した覚えもない。


《-のリソース》の大量投入によって世の理が歪んだ結果ではないかと説を論じていたのだが、ここでその考えが間違っていたことが分かった。


ステータスの文字化けが世の理の変質によるものなら、該当する《種》または《スキル》といった共通点が無ければならないが、比べるは《魔忠》と《襲撃者》。


《種》が違えば同じ熟練度を持つ《スキル》を持っている可能性も限りなく低い。


そして《襲撃者》は間違いなく《魂》を持った生命体、《-のリソース》が影響を及ぼすほど貯めれば死んでしまう。


ではなぜ今の奴は読み取れなかた?


俺の見落としているなにか共通点があるのか?



「旦那様、そろそろ例の広場でございます!」



俺の真後ろからのラミスの声に思考を隅に追いやる。


とにかく今は全員生き残らせることに集中しよう。



「ラミス、ディー!味方の状況報告を」


「イニスティア家使用人一同、怪我人はおりますが脱落者はおりません。これも近衛兵の方々のおかげです」


「団長とギルド長はしんがりをやってる。俺が行ったときは血だらけだったけど全部軽傷だとよ。兵隊共は2割が脱落、2割が重症、残りの半分は戦えるけど魔力も体力も危ういらしい」



このまま三手に別れても生き残るのはこちらだけになりそうな状況だ。


ならばとディーとラミスに抱えられるだけのポーションと食料を持たせ後方へと下がらせる。


その間も止まぬ攻防の中を器用にすり抜ける二人。


あぁ、やはりラミスもオンブルの訓練の影響を多大に受けてるんだなと実感する。


そしてとうとう広場に着くと、環境が変わったことで若干攻撃の手が緩む。



「作戦実行!検討を祈る!」



その言葉を合図にバラバラに逃げる俺達。


兵たちの動きは鈍いものの、血に染まった装備とは裏腹に素早い動きを見るにラミスとディーは短い時間でやってくれたようだ。


そこで俺はわざと速度を落とし全体に響くような声で襲撃者たちを挑発することにした。



「お前たちは《狂獣》とかいう小悪党の部下か?我が家に来た賊といい、随分とお粗末な実力だな。お前たちが直属の部下ならやはり《狂獣》も大したことはなさそうだ!」



どうにも安い挑発だが効果は抜群のようで、キシリと音を幻聴するほどの殺意がこちらに降り注ぐ。



「調子に乗るなよ愚物が!」



そして耐え切れなくなった襲撃者の一人が、使用人たちには目もくれず一直線に魔法を放つ。


使用人たちからは悲鳴と俺の身を案じる声が投げられたが、問題ないと微笑み返す。



「どちらが愚物かな?」



俺は腰の黒杖にそっと触れ囁く。


その瞬間、向かってきた魔法はその形を崩し、まるで溶けるかのように霧散していった。



「!?」



信じられないものを見たように魔法を放った体勢で固まる襲撃者。


ちょうどいいから小石でも投げてやろう。


あ、盛大に吹っ飛んでったが・・・・・まぁいいか。



「ほら見ろ、やはり大したことは無いな。魔法も満足に放てない輩だ」



そう言い捨て再び歩調を速めると、今度は投擲の量は増えたがメイドの一人の投げシルバーナイフ(曇りない)によって全て打ち下ろされた。



「ご主人様、飛び道具程度でしたらワタクシたちがお守りいたします。今は前へ」


「あ、あぁ。そうさせてもらおう・・・・・・」



おかしい、我が家はいったいどうなってしまったんだろう。


深く考えてもろくでもない結果しかないことはわかっているからとまた思考を放棄する。



「ハァッハァッ、レイヌさんなにしたんだよ・・・・。身体強化が切れちまったぜ」


「むぅ!?全力は老骨に響きますぞ・・・・」



ラミスを背負ったディーがようやく合流したところで本格的な逃げへと徹する。


ちなみに敵の魔法、ディーとラミスの《身体強化魔法》が解除された理由は、スキル《精密魔力操作》によってあの場所一体の空気中に漂う魔力を乱されたからだ。


この時代の人間は魔法を使うには体内外の双方の魔力を必要とすることを知らないようで、さっきの襲撃者もディーと同じような慌てた動きをしていたな。



「あれ、今度は使えるぞ?どうなってんだ?」


「使えるようにしたんだよ。ラミスも身体強化してたんならすぐに使え。他の者は・・・・」


「全員使用可能です。オンブル様からも鍛える際の最低条件だと言われましたので」


「・・・・そうか、ならば今から全速力で走るぞ。せっかくこちらに注意と敵愾心を煽ったんだ、出来るだけ遠くに引きつけるぞ!」


「「「「はっ!!」」」」























—―― バリス Side ———




「こっちに付いてきたのはあれだけか」


「イニスティア殿が敵を煽った結果でしょう。部下たちの事を考えての行動、本来我々がしなければならない事をやらせてしもうた!」



俺の少し前を走る団長は悔しそうに吐き出す。


大きく降る腕から血が飛んでくるが、さっきまでの怪我はディランの寄越したポーションのおかげで全快のはず。


たぶん悔しさのあまり拳に血が滲むほど握り締めてんだろうな。



「ところで気づきましたかなバリス殿」


「あたりめぇだ、俺だって元冒険者で傭兵ギルドにもいたんだぞ。あいつらはただのスラム住民でも闇ギルドの雑兵じゃねぇ、動きも違えば知恵も回りやがる。《ドブネズミ》の言ってた《狂獣》側の奴らだな」



地形を巧みに操るあの動きは明らかに訓練を受けたヤツのもんだ。


最初の襲撃のときに聞こえた上を促した声もたぶんやつらのもんだろうな。


あそこにいた全員に聞こえてたくせに静かな声、たぶん《先導》とか《声音》のスキルでも持ってたヤツがいたか。



「あそこまで戦いに慣れている者がいるとは思わんかった。こちらは殺傷力の高い剣と槍、そして儂の斧。狭い通路では満足に戦えん」


「だからこんなにこちらが減らされたんだろ。つか、そろそろ俺たちの分岐点に付くぜ」


「二段階に分散でしたかの。いつ、どれほどまで分散するかわからなければどちらに人数を割り振ればいいか多少混乱を出せますからな。我々にはこの場所はやりずらい、例え砂粒のように小さな動揺でもありがたい!」



団長はニタリと耳まで避けるかのように笑った。


俺はこいつとは冒険者時代からの知り合いだ。


いつだか傭兵ギルドの依頼で盗賊討伐に行ったとき国からの応援として来た当時一般兵の団長は、その時盗賊団の約半分を始末したことで出世の道が始まった。


俺はその始まりを近くで見ていたが、こいつの闘う姿はぶっちゃけ野蛮で無謀、そして獰猛だ。


巨人族特有の巨躯と尋常ではない筋力で繰り出す斬撃の破壊力はすごかった。


一振り振れば何人もが肉塊か地面の染みになったからな。


そういや、後片付けが大変だったと当時の傭兵ギルドの先輩が嘆いてたな。


あの共闘以来、何かと理由つけては酒場に集まるほどの酒ダチ(酒飲み友達)にまで仲が良くなって、俺がギルド長になっても、この進軍の参加に関しても、随分と世話になったもんだ。


思い返すと、近衛兵になってからか?


こいつが今みたいに紳士のようにふるまい始めたときは盛大に笑ったもんだ。


だが当時を知るヤツは忘れないだろうな。


返り血で身体中を赤く染めて声を出さずに笑うこいつの姿を。



「む!?敵の援軍だ、総員武器を取れ!」



場所は俺たちの分岐予定地、団長の号令が小さな広場に響いた。


レイヌ達と別れた場所とは違い、向こうは元集会場でここは朽ちた噴水があるから元庭園か。


このスラムだって何も最初からそうだったわけじゃねぇ、いたる所に過去の栄光らしき面影が見える。


ガイトウとかいう夜道を照らす柱、見る影もないが綺麗に均されていただろう石敷の地面、そして噴水。


噂では王城と国営農園に似たものがあるらしいが、ほとんど遺物扱いで構造がわからないらしいからな。


そうなるとこの場所も似た時代にあったと見るべきか。



「増援は10名前後、作戦は一時中断、応戦!」


「まぁ、ここで人数分けたらまずいからしょうがねぇか。団長よ、この場所はかなり古いぜ。下手したら埃被った罠が何かの拍子に・・・・てこともある」


「そうで‥‥いえ、あちらは無造作に歩いていますな。規則性も慎重性も無し。向こうがあそこまで無警戒なのですから広範囲な罠はありえないと思えますの」



確かに・・・・・・場合によっちゃ自分たちが巻き添えで、みたいな罠は仕掛けねか。



「で、団長が見るにどうよ?」


「バリス殿とおそらく同意見ですな。体捌きを見ても先ほどからの奴らよりは格下でしょう」


「質より量できたか。だがよ・・」


「えぇ、ここは広場で広さは十分あります。今までの我々を見ての人選であれば、敵の目は節穴ですな!」



スラリと斧を取り出すと、団長は地面を踏みしめる。


同時に斧に変化が起き、ミシミシと音を立ててその姿を変えていった。



「イニスティア殿の作戦とは違いますが、彼のおかげで追手はかなり少なくなりました」


「その言い方、元々ここで暴れるつもりだったな?」


「当然。馬鹿にされ続けていい加減頭に来ていましたからの」



血が上ると周りが見えなくなるのは昔から変わらねぇな。


そしてこいつの部下たちも同じような状態を見るに、良くも悪くも上司に影響受けてんな。



「久々に暴れましょうぞ!賊ども、舐めてかかったこと後悔しなされ!」



団長が掲げた斧は既に別の形へと変貌し、俺の身長までありそうなデカい戦斧となっている。


あいかわらずどんな原理してるのかわかんねぇが、とりあえずフォロー(後片付けも含む)してやるか。




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