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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第3章 貴族+家族+愛情=???
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13話 子猫と嗤われる獅子たち

年末まで連勤です!

果たして年始に投稿できるのでしょうか・・・



真っ暗な路地を埋め尽くす、鈍く光る銀の塊。


朽ちた建物や散らばる糞尿が主張するスラム街では見ない異様な光景が、現在スラムのあちらこちらで見られる。



「おらぁ!死ねや金持ちが!」


「フルプレートと女を置いてけや!」



その塊に時々飛び込む影はスラムの住人であり、そのたびに飛び散る臓物や悲鳴が場を支配していた。



「まったく、懲りない奴らだな。学習しないのか?」


「旦那様、こやつらは爺たちにも散々返り討ちにされた奴らでございます。間違いなく学んではいないでしょう」


「ふむ、襲撃は優に10を超え、捕縛者は僅か2人か。我々の装備を見ても動じずとはどのような強者かと思えば・・・・」


「おいおい団長さんよ、捕縛者っていっても子供を保護したからちょっと違うだろ?今んとこレイヌさん狙いが多いけど全員一刀切り捨て状態じゃねぇか」



ディーは何やら不満なようで団長殿に若干噛みつきながらシャドーボクシングで身体をほぐして出番を待つ。


俺はまたしても俺を狙って建物の屋根から飛び降りてきた男を切り捨ててため息をついた。


まだ続くのかと前方を見れば、近衛兵の一人が先頭で警告を出しながら傍にいる我が家のメイドを護衛している。


理解の早い奴なら警告や俺たちを見て襲ってはこないのだが、ここには無謀な奴が多い。


あ、また男が降ってきた。



「そういえば、いいのか?スラムの住人だけど一応帝国民だろ」


「そういえばイニスティア殿は新興貴族でしたな。貴族の方々では周知されておりますが、このスラムは国民が思うような貧民街ではなく犯罪者を監視できるよう作られた大きな監獄のような物なのです」



俺はあまり為政者として国に関わらないよう、そちら関係の情報を積極的に集めなかったので、初めて聞く帝都の形に「ほう」と感嘆をもらした。



「なぁ団長さん、ってことはスラムってわざと作られたってことか?」


「そうですな。この形態は遥か昔からあるので、我々が考え出したわけではありませんが。ですのでマクリアン殿、このことはあまり風潮しないようお願いいたします」



困ったように眉を下げる団長はディーに対して腰低くお願いしているが、国営に関わることだから彼には今後監視が付くかもしれないな。


いや、もしかしてしたら俺が監視役に選ばれるかもしれない。


あいつ我が家を宿代わりにしてるし。



「普段住んでる場所の近くに犯罪集団がいたり逃げ込んでくると対処が難しいだろ?だったらわざとうってつけの場所をつくってやれば国を守る立場としては好都合なんだよ」


「はぁ~、知らなかったぜ。地元に似たような場所あったけど、おんなじ理由だったのかな?」



ディーは遠い目をしながら呟く。


よそ見はするなと言いたいが、それでも襲い掛かる賊には反応しているので注意をしにくい。


それにしても襲撃が収まらないが、いったい何が彼らを駆り立てるのだろうか?


ああいった連中は危ない橋は渡らないことに関してだけは一流だ、命散らしてまで何が目的なのか。



「はぁっはぁっ、美少年の香りが・・・」


「小僧、尻を寄越せや!ギャハハハハ!」



ちらりと聞こえた言葉に思わずキュッと全身に力が入った。



「大人気だなレイヌ!お前を先頭にすればろくでなしがジャンジャン釣れそうだ」


「ギルド長殿、流石に貴族の当主様をお取りにする行為は褒められませんぞ?」



ニヤニヤわらうバリスを団長はピシャリと言い捨て、俺は無言で脛を蹴り上げた。


蹲ったバリスは脂汗を流し「やべぇよ、これ絶対折れたって・・・」っとブツブツ言っているが、失礼な事を言った報いだ。


大人しく折れていろ。


バリスはしばらく使えない状態にはなったが、運よく広けた場所に出たので一時停滞をして各種補給品や装備の点検となった。


こういった集団で補給部隊を待つのも惜しい場合は俺の《無限収納》が大変役立ち、剣や槍と言った重量のある武具に人を割く必要はないので受け渡しでの混乱がない。


まぁ今回は何人か剣先が欠けたと申告して新しいものを取り出しただけで、それほど役立っているという印象は少ないがな。


幾人かの兵が中継基地として陣営の設置をしている最中、受け取った剣の状態を確認していた俺の元へ、団長がディーと一人の兵を連れてきた。


見知らぬ兵の装備は他と比べ少なく、必要最低限の場所しか防具はない。


黒いベールのような布で顔を隠し、足音を立てない歩き方から偵察の役目を持った人物だとわかる。



「少々よろしいですかな?ご相談したいことがあるのですが」



俺は持っていた剣をしまい、団長へと向き直る。



「遅ればせながらご挨拶を。俺は第一近衛兵団偵察隊隊長を務めている者です、名前は無いので《影》とお呼びください」


「わかった。で、相談ってなんだ?」



どうやら彼はかなり上の立場だったようだ。


名前を捨てたではなく元から無いということは、一族で役職を務めているのだろうか。


それほど身を隠すことに重きを置いているのに普通にここにいていいのかと思っていると、説明は団長がするらしく一枚の羊皮紙を広げていた。


貴族間では紙が使われているが、やはり立場が下がると普段使いはできないのか。


価格調整は今後の課題だな。




「彼には先ほどから襲ってくる輩の大まかな身元を調べてもらったのですが、全員ただのチンピラのようでして、誰一人として闇ギルドの構成員がいないのです」


「持っていた武器とか身のこなしから言ってそうだとは思ってたけど、まさか全員とはな。誰かの指示とか報酬目的の自由参加だった可能性は?」


「投降してきたものや無抵抗だったものにいくらかの金銭を握らせ聞き出しましたが、そのような話はなかったようです。ただ単に我々から根こそぎ奪おうと蛮勇を沸かせただけのようですね」



団長の話を聞いて最初に思ったことは、どうも辻褄が合わないということだった。


各人への襲撃のやり方を見ても向こうはこちらを下に見ているはずだ。


それなのにここに来るまでになんの対策もしていないし抵抗もない。


舐めた上での無視だとしても監視が来るはずだがそんな気配もない。


なんともチグハグな行動だ。


俺は奴らの真意を探ろうと頭を働かせるが、どうにも人族の頭にも限界があるようで思考速度が遅く、一向に答えがでない。


団長も部下と共に羊皮紙を片手に持ちウンウンと唸り、バリスも地面へ横たわり先ほどから一言も喋らない。



「っとそういえば足が折れてんだったな。しかたない、ディー!ポーションをバリスに分けてやってくれ」



俺の言葉を受けて、ディーは物資の中から一瓶取り出すと、まさに光の速さでバリスにかすめ取られた。


なんだ、意外と余裕あるじゃないか。



「ゴクッゴクッ、プハーー!!生き返ったぜ、いろいろな意味で」


「生き返ったんならちょうどいい、ちっと相談事があるんだが—―――」


「―——なるほど、確かにおかしいな。でもこんな状態どっかで見覚えがあるんだよな」



まさか、バリスからヒントが出るだと!?



「ん~~、とっアレだアレ!いつだかの依頼ミスのときだ」


「ギルド長殿、それはどういった出来事だったのですかな?」


「実はうちの受付の奴が住民から相談事されて勝手に依頼書を作っちまったことがあったんだよ。達成してきた冒険者が別の受付の奴に報告に言ったら話が通じて無くてな、一時言い争いの大喧嘩だ」


「それのどこが同じなんだ?」


「よりにもよって緊急の依頼と紹介されたらしくてな、受けた側は「緊急事態になんでのんびりしてんだ!」と怒鳴っててよ。こっちとの温度差っつうか、対応のバラバラ加減が似てんなぁと」



つまり上司は知らずに部下が勝手に騒いでいたってことだな。


この話もどんな依頼内容かは知らないが、勝手に作った受付も悪気はなく善意でやったんだろうが報告もいにやってはいけないだろう。



「・・・・待てよ?つまり今回は闇ギルドじゃなくて部下、又は下位組織の独断先行ってことか?」


「あり得ますな。このスラムにある大規模な闇ギルドは一つしかなく、犯罪者共のまとめ役ではありますが、その下位組織は人数も少なく増えては消えてを繰り返し相当な数になります。いくらなんでも全ての動きを掌握するのは無理でしょう」


「俺は襲撃のとき直接見てはいねぇけどさ、話を聞く限りそれはそれでやばくねぇか?」


「どういうことですかな、マクリアン殿」



ディーはまさか自分の発言に周りが注目するとは思わなかったようで、団長の言葉を皮切りに集中する俺たちの視線にビクついている。



「だ、だってよぉ、一応部下がやられたんだぜ?上司だったら原因とか、誰がやったかとか気になったりするんじゃねのかなぁ・・・・て思ったりして」



自身がなくなってきたのか後半小さくなる声だったが、その発言に大きく目を見開いた人物がいた。


バリスと団長だ。



「まずいですな。マクリアン殿の言う通り・・・・いや、奴の事を失念しておりました」


「俺もだ。チッ、こんなことなら傭兵ギルドの奴を呼んで来ればよかったぜ」



二人の目には何が見えているのか、団長は顔をしかめ、バリスは天を仰いでいる。



「おい、いったい誰の事を言ってるんだ?要注意人物がいるならここに来る前に伝えてくれよ」


「わりぃな、俺たちのところに来たのがあまりにもお粗末だったからよ。あいつが関わってねぇのはわかってたんだ」


「なんだよ、ギルド長も団長のおっさんもそんな言いづらそうに。そんなにまずい奴なのか?」



歯切れの悪いバリスにディーは興味が出てきたようで、しきりにそいつの正体を聞きたがった。


ディーの詰問が次第に増し、俺の早く教えろという視線に耐え切れなくなった団長は、大きな体を震わせながらゆっくりと詳細を話してくれた。



「・・・・・・・《狂獣》、それが奴のあだ名です。名前はおろか、出身地もどんなスキルを持つかもわかりませんが、あだ名にふさわしい狂った獣ような男でした」


「おいおいそれだけじゃわからねぇぞ。いいかレイヌ、ディラン。奴は帝都一の犯罪者、最後の目撃情報は10年以上前だがそれまでに各地で散々悪逆の限りを尽くした大罪人だ」



そんな危険な奴が帝都にいたのか。


そもそも馬鹿をしている貴族共も、そんな奴がいる組織と手を組んでいるとは何を考えているんだよ。


どうやらこの事件、単なる貴族の陰謀ではないようだな。

皇帝  「実家に帰ってきても、娘は女たちとはしゃぐばかリ。なぜ余に甘えてくれない!」

ウル  「父上、それが女性という者ですよ」


王城に避難しているメイたちはきっとこんな感じでしょうね。


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