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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第3章 貴族+家族+愛情=???
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4話 誤算と過信が合わさると

二週間ぶりです


先々週は台風により、先週は風邪の為お休みでした

そして今は神経痛で手首が(´;ω;`)


「こりゃまずいな」



俺は目の前にいるランバを見て呟く。


最後に見たのは紅蓮の迷宮内だったが、たいして時間も経っていないというのに洗脳が深刻化しているようだ。


彼の眼は血走り、口泡を飛ばしながら、俺を中心に家族であるウルたちにまで暴言を吐き散らしている。


話している内容もめちゃくちゃで、要は俺が悪だとか、自身を崇めない者は皆殺しだとか、随分と自己中心的な内容だった。


牢に入れられたささやかな抵抗として《無限収納》に入れておいた自作の家具などを並べたのだが、やりすぎたようだ。


ガンガンと鉄格子に剣を叩きつける音を聞きながら後ろにいたウルたちを見ると、先ほどまでの楽しそうな顔は失せて目を見開き、ランバを信じられない者を見る目を向けている。


女王は更に涙を流し、小さくランバの名を呼び掛けていた。


俺は再びランバへと視線を戻し、反らさぬように注視しながらウルの隣へと下がる。



「なぁウル。俺は正常だったころの義兄さんは知らないんだが、元々はどういった人物だったんだ?」


「・・・・・少なくとも死に対してあのようなことは言わなかった。毎月魔物の被害報告を受け、表面上は毅然とした態度だが内情涙を流す。兄上なら皇帝になっても心配ないと思える生き様であった」


「そんな影は微塵も見えないな。すまないウル、予定を変更して今ここで義兄さんの洗脳を解くぞ」



予定では陛下と女王の指揮のもとに背後にいる組織の摘発と処理を行ってからの予定でだったランバの開放を、ウルだけでなくこの事を知っていた女王もどうしてかと詰め寄ってきた。


アリエルだけは何も聞かされていなかったので状況についてこれないようだ。



「レイ、予定の誤差範囲を逸脱した速さだぞ。兄上に何が、それほどまずい状況なのか?」


「魔道具による洗脳としてはありえない速さで深刻化が進んでいる。このままだと元の人格が消えて、あそこで喚く義兄さんが本来の姿に変わる」


「義息子・・・いえ、イニスティア郷。詳しく話してくださる?以前話していた洗脳の説明ではそのようなことは聞いていないわ」



もはや言語を忘れたかのように、意味をなさない言葉を発する息子を見た女王は怒りの目で俺を見つめる。


ランバは元に戻るといった前提で要観察の手段を取ってきたんだ、俺に騙されたと思っても仕方がない。



「それは洗脳が出来る魔道具の話しはあっても、洗脳を使()()()()がいるとは聞いていないからですよ」


「ちょっと待てレイ。お前の言い方だと、まるで人間が直接洗脳というスキルを使っているっと聞こえるのだが」


「聞こえるじゃなくて実際にそうなんだよ。迷宮から今日この時までの短期間で義兄さんのような変貌は魔道具ではあり得ない。所詮は道具、その効果も瞬時に影響が出るほど強くはないのは、ここにいる全員がしっているだろう?」



日常品として魔道具や魔具を使うこの世界の住人ならば、道具の限界だってわかっているはずだ。



「しかし、洗脳を使える人間など・・・。そうだ!恐らく大量の魔道具を集めればこのようになるのでは?」


「ウル、お前が言ったんだぞ?洗脳といった危険な魔道具、出土品は全て国庫で封印していると。それなのに大量に入手?そんな派手な動きを見せればすでにお前が捕まえてるよ」


「つまりイニスティア郷、原因は人間の可能性を真っ向から否定した我々王族にあると?」


「それに関しては女王陛下、確かに半分の原因はそうですが、私もしっかりとした調査と裏取りをしていませんでした。とりあえず責任の譲り合いは後にしましょう・・今何よりすべきは」



女王は再びランバに目を移し、これ以上無駄話していいのか?という俺の意図に、スッと怒りを収めた。


こういった切り替えの早さは、まさに王族と言えよう。



「・・・そうね、こうしている間にもランバは苦しみ続けているのですものね。お願いするわ義息子」



女王の許可も得て、さっそくランバを鉄格子越しに気絶させる。


下手に当て身で気絶させると、迷宮攻略時にまた上がった力のせいでそのまま首が物理的に飛ぶ可能性があるため殺気をぶち当てた。


興奮状態であった為に効かないかと思ったが、一度で成功し泡を吹いたランバを兵たちが支えている。


治療へと移るために鉄格子を引きちぎり、ランバの額へと向けてゆっくりと魔力を流し始めると、次第にランバの額からは汗が吹き出し呼吸も荒くなっていく。



「お、おいレイ。洗脳の治療とはこれでいいのか?兄上は苦しそうだが・・・」


「・・・思っていたより根付いてるからな。あと数日遅かったら手遅れになっていただろう」


「手遅れ、とは?お兄様はどうなっていたのですか!?」



俺の言葉にアリエルが詰め寄るが、ランバの治療中だと思い出し、伸ばした手を止めた。



「《精神汚染》によって弱まった抵抗力と《洗脳》によって生まれた一種の疑似人格。おそらく元の人格が消えてさっきの義兄さんが主人格となったでしょう」



先ほどはとは違い、今度はこの場にいる全員に聞こえるような声量で答える。


本来のランバが消えると聞いた周囲の人間はどよめき、アリエルも青ざめて俺から数歩下がった。


別に近くにいるからといっても、感染はしないんだがな・・・。


そうしている間にも治療は進み、魔力によって副次的にランバの身体は薄く光りながら回復していく。


それからさらに1時間ほどその光景が続いたが、誰一人この場を離れることはなく俺とランバを見届けた。


途中でウルがじれったそうにしていたが、精神なんて脆くて繊細なものをパパっと治せるわけがないだろ。


俺はランバに向けていた手をおろし治療は終わったと伝えると、皆喜び涙を流す者もいた。


彼らは洗脳については知らされていなかったがここでの会話で事情を把握していたために気が気でなかったのだろう。


アリエルは女王に抱き着き同じように涙を流し、ウルは泣きはしなかったが深く息を吐き天を見上げている。


そういえば王女は治療中一言も喋らず見つめるだけだったが、抱き着くアリエルを引きずりながらランバへと近づきそっと頬を撫でていた。



「イニスティア郷、此度は世話になりましたね。改めてお礼をするわ」


「いえ、家族になる者として当然です。それより義兄さんの件が解決しても、根本はまだ何も解決はしていません。警戒は緩めずに寧ろさらに厳重にすることを進言いたします」



分かっていますと一言言うと、母から女王の顔へと変わり次々と兵に指示を出していく。


その間にもウルとアリエルはランバの看病へと掛かり切っている。


やっと解放された兄を兵に任せたくないらしいが、そろそろ女王のこちらを見る目が鋭くなってきているから止めておいた方がいいんじゃないか?



「イニスティア郷、少しお話が」



女王は一通り作業を終えると牢屋内の一角へと俺の首元を掴み移動するが、あの王族二人は放っておいていいのか?


女王のステータスはまだ見ていないが、子供の身体とは言え軽々と俺を持ち上げる彼女はもしかしたら陛下よりもレベルが高いんじゃないだろうか。



「イニスティア郷、先ほどの暴言に謝罪を。そして我が子を救ったことに感謝を」



ゆっくりと俺をおろしての第一声に俺は慌てて周囲から見えぬよう死角となる位置へといどうする。



「女王陛下、兵が見ている前でむやみに頭を下げないでください。それからあれは暴言ではありません。義兄さんの件は先の通り私にも責任がありますので」


「いえ、一件を託した時点で十分な情報を提示しなかった私たちに責任があります。貴方の行動を制限した原因は、間違いなくこちらですから」



確かに、この世界の事情を把握しきれていない今は現地に実際に住んでいる彼らの情報に重きを置いていた。


だが俺もあそこまで自信を持って言われたからと言って信じ切ってしまった責任がある。


だがここでそんなことを言えば、今後王族のお言葉を信じ切れないと公言するようなもので今度は反逆罪で本当に捕まってしまう。



「・・・・・わかりました、謝罪と感謝を受け入れます。これでこの話は一旦終わらせましょう」


「ふふふっ、そうね。このままだと言い合いになりそうだわ」



責任の奪い合いで言い争うか。


平和な話題だが見方を変えれば人間同士の争いに楽観的過ぎるな。



「レイ、我からも礼を言おう」


「ウル、お前もか」


「近衛たちはすでに上へと戻った。この場にいるのは家族だけなのだから問題ないだろ?」



ケラケラと笑うウルは若干の影があったが、心の底から楽しそうだ。



「ところで、兄上の身体はいまだに光っているがまだ治療中なのか?」



ウルの言葉通り、治療中にランバを覆っていた魔力の光はいまだに収まる事はなく、傍から見てもまだ俺が何かをしているとわかる。



「あぁ、それはな「みなさん、お兄様が目を覚ましますわ!」―———その話はあとだな。今は義兄さんと本当の挨拶をしよう」


「今までの兄上を全否定か。まぁ我々もあの姿の兄上を兄上と認めていなかったからな、何も言わないさ」



うっかり失礼な事を言ったがギリギリ見逃してもらったようだ。


俺達は牢屋内から出てアリエルに膝枕をされるランバの傍に集まると、確かに彼の瞼が小刻みに動き出しておりもうすぐ目覚めそうだ。


さぁ皇子よ、目覚めのときだ!・・・なんてな。

レイヌ 「いい加減にしないと不敬罪になっても仕方ないな」

ウル  「お前の言葉遣いなどであった頃に諦めてる。気にするな!」


アリエル(そもそも彼には本気で怒れないのよね。なぜかしら?)

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