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創造主長様のお仕事  作者: 己龍
第2章 子供+仲間+迷宮=???
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終話 なんと嬉しい歓迎かー(棒)

ガラガラガラと馬車が走る音が聞こえる。


顔に当たる風、土と植物の香り、魔物ではない動物たちの鳴き声も驚くことに最近聞くようになってきた。


今までは、そこらかしこ蔓延っていた魔物によって、弱い生き物は次々と住処を無くしていき、一部とどまった強い生き物は数えきれないほどの新種が生まれ、それを上回る数が絶滅していった。


しかし近年‥‥というよりもここ数か月で状況は大きく変わっている。


数が多く、力はそこそこだが連携といった戦闘方法と学習によって増す能力をもつ「人間」が勢いを増しているからだ。


その後押しとなったのが、新しい加工法によって威力の上がった優秀な「武具」と、安価で生産量が増えたという回復薬、またの名を「ポーション」である。


この二つによって、技術はあれど攻撃力・防御力に難があった者は頭角を現し、死を目前にした者は惜しげもなく回復薬を使い生き長らえた。


人間が破竹の勢いで魔物を狩り続けているため、魔獣や動物などの生き物たちが戻ってきたり数が増えたりと、あるべき姿に戻りつつある。


その辺りは現地の生物に任せるので神は一切関知しない。


いや、できないといった方が正しいのか?




「どうしましたレイヌ様?」


「ボーっと外見てるが、なんか面白いもんでもあったか?」



少し考え事をしていると、俺の両隣に座るリンとディーが心配そうに話しかけてきた。


言い忘れていたが、俺達は今幾人かの騎士たちと共にアルバの帝都へと向かう馬車に乗っている。


迷宮制覇の宣言から丸一日経ち、お祭り騒ぎが落ち着き始めた頃を見計らい、帝都への報告の為にその場にいた騎士たちを証人として出立。


迷宮を管理する騎士と、その部下の兵があんなにはめを外していいのかとも思ったが、どうやらすでに上官には許可を取っていたそうだ。


コッチ方向でも仕事は早いらしいな。


予想してはいたが、立場が一番上であったライズは義兄さんと共に一足早く出ていったようだ。


そのため次官である副隊長の渋めのおっちゃんが我先にと、両手にエールを持って許可を出していた。


仕事が早い。


宴会のなかで冒険譚を何度も演説させられてうんざりもしたが、《死の魔物大行進(デス・パレード)》以降の人間たちとの宴は楽しかったよ。


だがそこは帝都を守り、迷宮を管理してきた騎士たちだ、入口の方も交代でしっかり見張っていた。


何人かの兵が実際に迷宮内へと入り調査を行っていたりと、抜けているようで抜かりはないようだ。


まぁ、結果的に魔物の強さが格段に落ちて採取物が増えたことにより、証人の元に迷宮制覇が証明されたわけだが。




「うぅ、揺れる、揺れるぜ~」


「ダメだ・・・・胃が、胃から何かが・・・・」


「俺はもうダメだ、かまわず先行ってくれ・・・」


「もう向かってんだよ・・・うっぷっ」


「・・・ディー・・・・お水を・・・・」



どうやら同乗者の騎士たちは酒酔いと馬車酔いで瀕死の状態だ。


なぜかダリエラも混ざっているが。



「もう三日も経ってんのにこいつらまだ死んでるぞ?大丈夫か?」


「元々酒に弱かったんだろ。それなのに大量に飲んだりするからこうなるんだ」


「お酒って怖いですね、私も気をつけます」



騎士どもの情けない姿に、リンが自らの戒めにしようとしていたが、こいつは意外と酒に強い。


彼女だけではなくエルフ族は総じて酒に強い者が多く、騎士と兵の中にいたエルフたちも翌朝には通常勤務に勤しんでいた。



「・・・まだ・・・つかないの?・・・あぁ・・・涅槃が聞こえて・・・」


「何言ってんだおまえ。そういやぁ今どの辺りなんだ?」


「クファリク草原の真ん中を過ぎたあたりだ。このまま行けば閉門前には帝都に着く、そうだなオンブル?」


「はい、ギリギリ間に合うかと」



御者を兼任していたオンブルも同意見のようだ。



「なるほど、よかったリーラ!あとその他!」


「・・・うん、うれしい」


『差別がひでぇ・・・』



ディーも清々しいほどの差別だな、いっそ気持ちがいい。



「うぷっ・・・・門前でテント張らないでいいのか。さすがに宿で寝たいぜ」


「あ、ちょっと待ってくれ!」



希望が見えてきた一人の騎士の言葉を遮り、ディーが正面に座り項垂れる騎士に詰め寄った。



「なぁ、定期便が帝都に来るのってもしかして・・・」


「・・・はっ!そうだ、日付で言えば今日が到着日だ!」



定期便か。


各国・各都市を定期的に移動する乗合馬車のことだが、問題はその移動人数だ。


住民を守る壁や兵が常駐していない野は死亡率が非常に高いため、一度に大勢が移動し、それを守る冒険者や傭兵たちも加わる。


そして人が多ければ検問にも時間がかかる。


それすなわち



「まずいぞ!閉門ギリギリなら間違いなく今日中に帝都に入れねぇ!」


「嘘だろ!・・・うぷ」


「勘弁してくれよ!・・・オポッ」


「おぉ神よ・・・ウック」


「お前たち、吐くなら外に行け。馬車を汚すな」


『ちょっと!なんか酸っぱい匂いがしてきたわよ!」


『おねえ様、あのゴテゴテした人族と獣人族を置いていきましょう』



カオスな状況に馬姉妹が加わり、もはや混沌を通り越して地獄絵図に近づいてきたな。



「あぁもう、お前ら全員窓から顔出しとけ!メララ、ユーユ、オンブル、今から全速力で帝都に戻れ。多少の揺れはかまうな!」


『あら、いいのかしら?遠慮なくやっちゃうわよ?』


『わたくしも久々に蹄がなりますわ、おねえ様』


「ふふっ二頭ともお手柔らかにお願いしますね」



オンブルが合図代わりにピシャンと手綱を打たせると、二頭の移動速度が上がる。


幸いなことに王族用の試作として作られた馬車には無駄な装飾がなく、馬車が大きく揺れても怪我はしなさそうだ。


土煙を巻き上げる馬車は魔物を跳ね飛ばしながらも一直線に帝都への進路を走っていった。


複数の悲鳴と吐瀉物を後に残しながら。



















結果的に言おう、混雑前には間に合った。



「い、いてぇ。ケツに感覚がねぇよ・・・」


「ディランさんはまだいいですよ。私なんか頭に瘤が出来てしまいました」


「・・・・・・・・」



無事な者はいないが。



「ダリエラはすでに屍状態か。ポーションでも回復できないとは相当なもんだな」


「レイヌさん、俺にもポーションを、ケツにかけてくれ」


「一人でできるだろ」



俺に人の尻を眺める趣味はない。


現在入門に並ぶ列の最後尾で傷だらけの俺達はポーションを配って暇を潰していた。


そもそもポーションという回復薬は外傷を癒す薬であるため、酔いには効かないが打ち身には十分だろう。


素朴ながらも品がある馬車が並列者の目を引いてはいるが、門は一つしかないためここにいるしかない。


ゆっくりと進む列を眺めていると門の方から二人の人間がこちらに向かって走ってきた。


一人は見るからに頑丈そうな重装備を着こんでいるから門番兵だな。


そしてもう一人は・・・・・。



『おねえ様、あのハゲが来ますわ』


『ま~たあのしょうもない雄どものいる小屋に入れる気ね!ブルルン、蹴り飛ばしてやりますわ!』


「止めなさい」



馬主のおっちゃんか。


てっぷりお腹を揺らしながら門番兵の後を必死になって走っているな。



「お前らいい加減起きろよ。どうやら迎えが来たらしい」



「迎え!?」っと慌てて外していた防具を付け直すが、果たして間に合うかな?


俺も窓から頭を引っ込め仕立てのいい貴族用の服ではなく冒険者としての軽装に着替える。


やがて足音が聞こえるほどまで近づいてくると馬車の扉をノックする音が聞こえた。



「ご休憩中のところ失礼します、この馬車の持ち主に御目通しいただきたい」


「少々お待ちを」



いつの間にか中へと入っていたオンブルが返事をし、扉を開け俺の通る道を作った。


後でその手に持った記録用の魔道具を渡してもらおうか。



「わざわざ手間取らせて悪いな。知らせは届いていると思うが水晶ランク冒険者のレイヌだ。馬主のおっちゃんも久しぶりだな」


「いえいえこちらこそ。ご無事で何よりです」



おっちゃんと軽く挨拶を交わしていたが、門番兵が「自分は何を話したらいいんだ!?」みたいな感じでそわそわこちらを窺っているので、とりあえず冒険者として扱ってくれと頼んでおく。



「え~と、ではレイヌ殿、先ほどこちらの方に言われてしまったが・・・・無事の帰還おめでとう。王様とギルド長が首を長くして待っているので早く顔をお見せしてくれ」


「わかったが・・・・王様?敬称が戻ったのか?」



やたらと「王様」呼びを強調してきたので言い間違いではなく意図的に変えたように思えた。



「つい先日ランバ皇子が紅蓮の迷宮からお戻りになられた際に・・・・・・」


「言いずらいなら言わなくていいぞ?」


「・・・いえ、すみません。ランバ皇子は「薄汚い成り上がりが広めたものなど汚らわしい!私の目が、耳が届くところで二度と奴に関わった物を近寄らせるな!」っと帝都中に厳命したために」


「俺の関わったって・・・・ポーションとかいろいろあったんだがそれは?」


「すべて処分と。ですが皆隠して持っているそうです、私もですが」



そういうと鎧の内側に隠してあった薬瓶をちらりと見せた。


洗脳の標的が広がるのを防ぐために義兄さんの治療を止めていたことが裏目に出たな。


このままだと住民の不満が爆発して内乱になるぞ。



「そうか、俺自身も注意しておくか」


「その方が良いかもしれません」


「まず先にギルドへ向かうか。預けていた物もあるし、なにより早めに姿を見せておかないとバリスやらがうるさそうだ」



俺達が帝都に入ったことは知っているから、今も手ぐすねを引いて待っているかもな。



「?なぁ、さっきの会話も思ってけどよ、先ぶれなんか出してねぇのになんでみんな迷宮のこと知ってんだ?」



先ほどの門番兵の行った事と、とギルドで待っているという言葉に疑問を浮かべるリンとディーがオズオズと馬車から降りてきた。



「おや、知らなかったのですか?頭―————————」


「おっとそこまで。あとはついてからのお楽しみだ」



真実を告げたときの反応が見たく、つい悪戯心がうずいて内緒にしてきたんだ。


ここでバラすには惜しい!



「はははっレイヌ殿にそう言われては、私からは何も言えませぬな。ただ言わせて頂くならば、私も随分と楽しませていただきましたとだけ伝えておきましょう」


「「楽しませた?」」



二人同時にコテンと首を傾げる姿で、もはやディーの乙女行動に違和感がなくなってきた。



「では王様からレイヌ殿たちがすぐに門を抜けられるよう窺っておりますので、今にでも・・・・・・何の騒ぎだ?」




門番兵が後ろを振り返りカチャリと腰のロングソードに手をかけた。


確かに門の辺りが騒がしいが・・・・・ん?なぜか武装に身を包んだ集団がこちらに向かってくるんだが。


なにか討伐命令でも出たか?


だが集団は通り過ぎるでもなく一直線に俺たちのところまで来ると俺たちごと馬車を囲んだ。


全員盾や剣を構え、即戦闘状態に移れるようにしながら。



「お前がレイヌ・イニスティアだな」


「馬鹿者!家名を読み上げるならば敬意を示さんか!」



代表としてなのか、俺の前に出てくるやたら実用性の薄い装飾を施した鎧を着た男は、貴族としての敬称も付けずに荒々しく問いかけてきた。


門番兵もさすがに見逃せないらしく、男に向かい怒鳴るがどこ吹く風と目を向けもしない。



「貴様、部隊名と役職を名乗れ!」


「黙っていろ、ただの門番兵の分際が」


「な!?」



おいおい、門番ってのは騎士団から派遣された者で構成されているはずだから役職としては上の方だったはずだ。


それを一蹴?こいつは何者だ?


だがそんな疑問をぶつける前に彼の出した言葉に俺たちは衝撃を受けた。



「レイヌ・イニスティア、貴様を王族であるランバ第一皇子様に対する強制搾取の罪で捕える。できれば抵抗して欲しいものだな」









『・・・・・・・・はぁ?』





この場にいた全員が呆れた声を出したのも無理はないだろう。


こうして俺は帰還早々に身に覚えのない罪で捕えられた。

ダリエラ 「・・・ウ~ン・・・おおぉ」

騎士A  「ダリエラ嬢?何やら外が騒がしいですが」

ダリエラ 「・・・知らない。・・・それよりもお水を。・・・ディー助けて」

騎士B  「いいのか?なんかさらに騒がしいけど」




これにて2章は終了です!

次回は2章の主な登場人物を紹介ですよ。

時間稼ぎとか言わないように・・・・

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