7話 変態光臨
オラオラオラオラ!
いきます!
「来るの早くないか?副主長第2席。」
俺の影から這い出して来るエルフの女性に向かい声をかけた。
そう、こいつは創造神副主長第2席という地位についている創造紳のNO.2だ。
女王が選んだと聞いてたから嫌な予感はしてたんだがまさかこいつが来るとは、勘弁してくれよ!
「なんだこいつ・・・・・床から出てきたぞ!?」
「・・・・・・・・摩訶不思議。」
「レイヌ様?この方は?」
他のテーブルでもこっちを見て驚いてるがなぜかリンは不倫現場を見た妻みたいな迫力で迫ってきた。
なぜだろう、今のリンには逆らってはいけない気がする。
「あ~。こいつはオンブルといって故郷にいた頃の部下だ。」
「どうも、オンブル・サンティエと申します。」
オンブルは短く揃えた黒髪を揺らしながら三人に深々とお辞儀をした。
こうしていると礼儀正しいやつなんだがな、このままこの調子で接して欲しい。
「部下って。レイヌさんってまだ15歳ですよね?」
「・・・・・・どこかの大商人の息子?」
「だからいろいろな知識があるんですね。」
辻褄が合ってないのを無理やり繋げた話だからしょうがないよな。
来るのはもっと後だと思って後回しにしてたのが裏目にでたか。
なんとか誤魔化そうとしているとリンが首をコテンと傾げて
「あれ?サンティエなんて部族ありましたか?」
と確信を突いてきた。
エルフは名前の最後に自分の部族を名乗る習慣があり、リンの言った通りこの世界にはサンティエなんて部族はいない。
既存の部族名を名乗って実際に出会ったら嘘がバレる可能性があるのでしょうがないとは思うが、ならエルフの身体を用意するなよ。
オンブルはどう返すのか気になっていたが彼女は特に悩んでいる様子もなくいた。
「私は隣の大陸から来たので存じ上げないのも無理はありません。レイヌ様がお屋敷から飛び出してしまい、私がこうして追いかけてきたのです。」
なるほど、それなら俺も含めてちゃんとした理由になる。
などと感心していたがなぜか他のやつらはドン引きしていた。
「隣の大陸から追いかけてきたって・・・・。」
「・・・・・・・それ、ストーカーって言わない?」
「レイヌ様大丈夫なんですか?彼女ここにいていいんですか?」
そうだった、いままでのこいつの奇行慣れすぎて違和感なかった!
けどこれはまだかわいい方でもっと身の毛もよだつようなこと散々やってたからなぁ。
「問題ない、どうに「ちょっとそこの貴女。」でも、どうしたオンブル?」
大丈夫だと説明しようとしたらオンブルに遮られた。
まさかこれ以上ややこしくしないだろうなと心配になったが第一印象が大切だ、ここはこいつにまかせてみよう。
「な、なんでしょう?」
「さっきから貴女は我が主様に対して馴れ馴れしくないですか?聞いたところによるとまだ出会って一か月程しか経っていないと聞きます。それなのにあんなに気安く話しかけられては困ります、えぇ困りますとも!そういう態度はファンクラブ会長であり長くそばで仕えているこのわ・た・しに許可を取りなさい!」
「ふぁ、ファンクラブ?許可?」
あああああああ!こいつ何言ってんだ!
これ以上話を続けては不味いと思い止めようとしたがディランとダリエラに両腕を掴まれて阻止された。
振りほどいてもいいがここでやると怪我しそうで(主にダリエラが)躊躇した。
「そうです!私は我が主様を影から見守るための「レイヌ様ファンクラブ」会長をしています。その会員数は故郷の人口の約半分を占めています。ここで貴女を見逃すと他のものたちに示しがつきません!ですからまず私に許可を取りなさい!まぁ許すかどうかはわかりませんが。」
「な、なにを言っているんですか!なぜレイヌ様との接し方一つを貴女に許しを得なければならないのですか!」
「それは私が会長だからです。我が主のことをなにも知らない貴女が口を挟まないように。」
「!?じゃぁ貴女は知っているというのですか!」
やばい!こいつらテンションが上がりすぎてる。
このままじゃオンブルがなにを言い出すかわからない!
「いいでしょう、お教えしましょう。」
「馬鹿!いい加減に・・・・。」
「まず我が主様は朝起きると最初にお庭の花壇に向かい水やりをします。その際元気のない花には話しかけて気づかいをするとてもお優しい方なのです。」
やめろぉぉぉぉぉぉ!
神界の花は意識があって喋るから普通だけどこの世界じゃ単に痛い奴でしかねぇんだよ!
「・・・・・・花に話しかける?」
「なんというか、レイヌさんかわいいですね。」
やめろ、そんな目で俺を見るな!
「その後身支度をして仕事場に向かうと部下である私たちよりも何十倍という量の仕事を軽々とこなしながらペットを戯れるのです。私はその光景を映像で残し劇場で公開したりしています。」
「ペットいるんですか?」
「・・・・・・・そういえばさっきギルド前で野良ウサギに餌あげてた。」
頼むから止めてくれ・・・・・・・・・。
「それから昼食は食堂で食べます。比率的にはライスが3割パン系が5割、麺類が2割です。たまに我が主様がキッチンに立つこともありますがその場合食堂に長蛇の列ができるのでその整理に私やファンクラブの幹部たちが駆り出されます。」
「食べるものまで記録してんのかよ・・・・。」
「・・・・・・・ここまでくると怖い。」
俺もそれは初めて知ったよ。
「それから夜まで仕事をし、その日の分が終わると行きつけのbarに寄り比較的度数の低いカクテルを飲み疲れを癒します。ちなみにおつまみは木の実の類が多いですね。」
「・・・・・・バ-ってなに?」
「知らねぇけど酒飲むところじゃぁねぇのか?」
そうだけどあの店にはこいついなかったぞ!どこから見てたんだよ!
「その後ご自宅に帰宅すると自家製の果実酒を飲みながらさらに仕事を片付けます。」
「家に帰っても仕事か。レイヌさんは働き者だな!」
「・・・・・・・朝の場面から思ってたけどなんで家の中の様子まで知ってるの?」
それはほぼ毎日忍び込んでくるからだよ。
来るたびに結界を改良してるのに効果ないんだよ。
「その後お風呂に入ります。そのとき洗う順番ですがまず頭を洗いそれから「おらぁぁぁぁぁ!」ブホッ!」
とうとう耐えきれなくなり二人の拘束をスルンと抜け出すと全力でオンブルを殴った。
オンブルは壁を突き抜けて解体所まで飛んでいったが心配はしない、しても無駄だからだ。
「おおお!?あの人ぶっ飛んでってたぞ!?」
「・・・・・あれ生きてるのかな?・・・・・たしかランクAの魔物を素手で倒してたよね?」
「あぁ!まだメモが取れてません!」
あんなんで死んでたら俺はこんなに苦労してない。
というかリン、今まで静かだったと思ったらオンブルの言ってたことメモしてたのか。
後で没収だ。
「おい、何の騒ぎだ?っておい!壁に穴空いてるぞ!?ここの壁は斧使っても壊れねぇのに!おまえの仕業かレイヌ!」
バリスが顔を真っ赤にして怒っているがちゃんと弁償すると宥めるとしぶしぶと了承した、しかし止めなかったリンたちも含め説教された。
しばらくするとボロボロになったオンブルが壊れた壁から戻ってきたがその顔は恍惚としていたのでもはや打つ手はない。
「あんたレイヌさんの拳食らってよくそれだけですんだな?」
「・・・・・・・手当てするからこっち来て。」
ディランとダリエラが治療しようと手持ちのポーションをかけようとしたがその手を制して止められた。
なにかあったかと二人して顔を覗き込むとオンブルは突如顔を上げて叫んだ。
「止めてほしい!この傷は我が主様がつけてくださった名誉あるものだ!これを消すなどもったいない!あぁ、この身体の奥にまで響く痛みがあればあと数百年はがんばれます!」
変態全開の言葉にさっきまで怒り心頭だったバリスも含めてギルド内の全員が引いた。
「なぁレイヌ、このおかしいやつはおまえの知り合いか?頼むから連れて帰ってくれ。」
「できればこいつを屋敷に入れたくない。中が穢れそうだ。」
こいつならそこら辺でも十分生きていけると確信があるがそうもいかない。
こいつ一人になったらなにをするかわからないからな。
常に監視するために冒険者ギルドへ加入させてパーティーに加えるしか方法がないのが本当に辛い・・・・・・。
頼むから神員交代して欲しい。
リン 「そ、それでレイヌ様はどこから洗うんですか?(ボソボソ)」
オンブル 「まずですね・・・・。」
レイヌ オンブルの背後で拳を握り振りかぶる




