8話 二人目の問題児
今週もいっくぞー!
ギルド内が騒めく中(主にオンブルの性癖で)受付でギルド証を発行するために向かうが受付の女性は若干嫌そうに手続きをしていた。
そりゃあんだけ変態爆発させた相手だし関わりたくないだろう。
魔力確認の魔道具にオンブルが手を付けると俺ほどではないが真黒な大きな火柱が上がり慌てて受付の女性は魔道具を引っ込めた。
俺の後ろではバリスがまたかとこめかみに手を当てて唸っているのが申し訳ない。
「・・・・・レイヌ、とりあえず全員連れてギルド長室まで来い・・・・。」
「・・・・・悪い。」
一言謝るとお前も大変だなと同情されながらバリスの後ろへ付いていくがリンたちがオンブルへ近づこうとしない。
変態があれほど魔力持っているなんて危険きまわりないとはいえこれから共に行動するからにはわだかまりは無くして欲しいんだが。
ギルド長室で出身地や年齢、得意魔術、主な役回りなど本人の情報を書いていると未記録のギルド証を職員が持ってきてくれたのでこの場で登録する。
ちなみに出身地は隣の大陸と記載させておいた。
細かい国や村の名前書いても確認できないだろうと言っておいたのでこの大雑把な回答でも問題はないみたいだ。
なぜ確認ができないのかというと大陸を挟む海は高ランクの魔物の巣窟で尚且つ海上という普段戦い慣れない場所の為に運が良くて年に1度しかたどり着けないせいである。
オンブルが血を一滴ギルド証に垂らし書類の情報を書き込んでこれで登録は終了だ。
「はぁ。こんな短期間にレベル5000が二人・・・・・お前の故郷はどうなってんだよ。」
助っ人なのに低レベルじゃ役に立たないとそれなりに力を残して封印してきたので彼女のレベルも高いのだがバリスにとっては悩みの種でしかないようだ。
「魔道具の炎もよくわからねぇのに・・・・・また残業かよ・・・・。」
「そうなのか?黒い炎なら闇魔法だから悩むことないだろ。」
「濃さが問題なんだよ、あんなに濃い色はみたことねぇ。ギルド証貸してみろ、スキルの確認する。」
オンブルは素直に手渡すがバリスには馴れ馴れしい!とか言わないんだな。
ギルド証を隅々まで確認するとバリスは頭を押さえながら机の上へ突っ伏した。
「また聞いたことねぇスキル・・・・・・記録付けなきゃならん・・・・・あぁ、また家に帰れねぇよ。」
さめざめと泣くバリスをディランとリンが慰めている間に俺はオンブルのステータスを確認する。
―ステータス―
名前 オンブル・サンティエ
性別 女
年齢 216
種族 ダークエルフ
職業 秘書
レベル 5000
HP 58200/679000
MP 725000/725000
攻撃力 20500
防御力 18200
瞬発力 27490
魔力 27600
知識 290600
幸運 18270
変態力 ∞ (レイヌに対してのみ)
スキル
・無限収納・神格念話・偽装SS・深淵魔法SS・神流短刀術A・気配遮断A・千里眼A・千里聴A
称号
降り立ったもの
追跡者
レイヌファンクラブ会長
闇に紛れる者
重度変態患者
―――――――
・・・・・・いろいろと言いたいことがある。
スキルのラインナップだが見事に暗殺者向きのようだがお前はこの世界でなにがしたいんだろう。
深淵魔法は俺も初見でどういった魔法なのかわからないがなんとなくこいつに持たせてはいけないものだとはわかる。
それからこれが一番気になることだが、変態力ってなんだよ!
いままでこんな項目なかったぞ!?しかも数値が∞(無限)ってどういうことだ!なにしても無駄ってことなのか!?
冷めた目でオンブルを見ていると「ゾクゾクします!」と身悶え始めたので傍観者と化したダリエラに料理のストックをあげて無視した。
それでも「これもまたこれで・・・・。」と懲りていない、これが変態力∞の力なのか・・・・・。
バリスから「お前らもう帰れ、俺を一人にしてくれ。」と追い出されたので4人には屋敷へと戻らせ俺はパーティーにディランとダリエラ、それから嫌々オンブルの加入の手続きをしたが周りから大丈夫かとか相談に乗るぞと励まされてしまった。
優しさが染みてくるなぁ。
依頼書を手に俺は屋敷の扉の前で立ち止まっている。
正直に言って入りたくない。
オンブルがいるこの中では現在どれほどカオスな状態になっているかと思うとどうしても入る勇気がなくなっていく。
昨日まで心地よく暖かい我が家が今では前の幽霊屋敷以上の魔窟にしか見えない。
学園にいるメイになんて詫びたらいいんだろう。
複雑な心情で立っているとそんなことは知らないと言わんばかりに無情にも屋敷の方から扉は開かれてメイドの一人が出てきた。
「それではいってきます。あら、御当主様。このようなところでいかがなさいましたか?」
「・・・・・・なんでもない。ただいま。」
まだ心の準備は整っていないが後には引けない。
恐る恐る屋敷内へ入るとそこにはいつもと変わらず床を掃除するメイドとラミスが出迎えてくれた。
「おかえりなさいませレイヌ様。先に御着きの皆様は執務室にてお待ちです。」
「あぁ、ありがとう。・・・・・・ところで問題はないか?」
「問題、でございますか?特にこれといったことは起こっておりません。」
変なことを言ってすまないとラミスに伝えて俺は重い足取りで執務室まで向かった。
部屋に入ると意外なことに4人とも笑顔で赤茶を飲みながら談笑していた。
さっきまで避けていたのにどういうことだ?
「レイヌ様、おかえりなさいませ。出迎えもせずに申し訳ございません。」
「いや、それはいいんだが。ずいぶんと仲がいいな。」
「オンブルさんの話はおもしろいですよ!レイヌさんの話もたくさん聞けてよかったです!」
「・・・・・・・この人の魔法理論は独特でおもしろい。」
「皆様の我が主への想いは本物です。これならばファンクラブ入会を許可しようとおもいます。」
三人とも餌に釣られたみたいだ。
特にリンの前には紙が束になって置いてあるから散々メモをしたんだろう。
もちろん全部没収してリンは肩を落としたが個人情報は死守する主義なので妥協はしない。
「仲良くなれたならいいよ。オンブルも加わったことだしクエストを追加で1つ受けてきた。確認してくれ。」
机の上に三枚の依頼書を広げて内容を確認させるがディランとダリエラは渋い顔をしていたので意見を聞いてみた。
「これ本当に受けるんですか?ランクS3体を5人で倒すのは無謀としか思えませんよ?」
「誰がここにいる全員でやると言った?」
「あ、じゃぁ他にも臨時でパーティー募集するんですか。」
「新加入の3人は1人1体相手にしてもらう。」
「・・・・・・・え?」
ディランは口を開けて呆けてダリエラは顔を青くさせてガタガタ震えている。
「無理無理無理無理無理です!ランクSを単独撃破なんて水晶ランクしかできませんよ!せめてランクAに落としましょうよ!」
「・・・・・・・・私まだ死にたくない。」
「いざとなったら助けてやるから安心しろ。それからディラン、俺はお前らの癖や技の全てが見たいんだ。ランクA相手にしたら全てぶつける前に終わるだろ。」
それはそうだけどとごねる二人をなんとか説得しているあいだにオンブルは部屋にあった俺が図書館にあった本を模写して実際に戦った感想を書き記した魔物図鑑を手に早速情報収集をしていた。
これでも創造神NO.2だからな、事前準備は当たり前の行動だな。
お前たちも読めと進めると3人で図鑑を挟んで話し合いを始めた。
ディランとダリエラは経験からの意見を出し、オンブルはその提案をまとめて簡略化させたりとなかなかにチームワークは問題なさそうだ。途中から俺とリンも参加して熱い討論を交わしながらいるとすでに外は暗くなっていたので食事を取ったら泊っていくように勧めたら一度宿に帰って荷物を取ってくると一時帰宅した。
オンブルは今日帝都へ着いたばかりで宿を決めていないとここに泊めてくれと言ってきたのでリンが2つ返事で了承した。
ここの主俺なんだけどな・・・・。
食事を取ってから再び意見交換をしたが気づけば深夜を回っていたので今日のところはこれで終わらせてそれぞれの部屋に戻らせた。
余談だが寝室でベットに入ったところで違和感に気づきベットの下を覗くとオンブルが隠れていたので庭へ放り出し巨大な氷を落として物理的に封印したが、翌朝には何事もなかったかのように朝食を取っていた。
早いところこいつの行動を制限できるような魔法を覚えなくては。
ディラン 「リンさん、もう諦めようぜ。」
リン 「私の・・・私の宝物が・・・・・。」
リンのメモ帳を燃やすレイヌの背後でそんな会話があったとかなかったとか
――――今回の取得称号――――
追われる者
非情者




