6話 二人の決断と悩みの種
さぁ、今週もいきますよー!
食堂でリンとおやつタイムをしているとノック音が聞こえたので許可を出すとメイドに連れられたディランとダリエラがそこにはいた。
「レイヌさん!俺たち・・・・・。」
「まぁ落ち着け。散々悩んだ後だ、今話しても会話が成り立つとは思えん。まずはこっちに来て一緒にこれを食べよう。」
二人を席に座らせてコック長に俺たちが食べているものと持ってこさせるとダリエラがそれに釘付けになって動かなかったので改めて食べるよう勧めた。
「甘い・・・・以前食べたケーキよりも甘くないけど俺はこっちの方が好きだな。」
「・・・・・・・・・・・黙って。・・・・・・・・・・食べることに集中したい。」
ディランは出てきたケーキに驚き、ダリエラはまるで餓死寸前だったかのように貪り食べていた。
今回の新作は新しい料理・・・・ではなくすでにあるものを改良したものだ。
この世界、というよりこの国では砂糖は高価なものらしく甘味などはなかなか食べることはできない。
南にあるスッカルという植物から砂糖はできているのだがこの大陸の正反対の位置にあるアルバ帝国にはそこまでの量が輸入されてこないし、なにより少量でものすごく甘い!
こんなもの食べ続けたら病気になると思いこの近くのもので砂糖を作れないか時折植物を調べていたのだが、つい先日森の中にあった薬草を煮てみたところ砂糖ができあがった。
甘さは低いが十分料理には使えるので今回ケーキを作ってみたがどうやら成功したようだ。
食べ終わると二人とも落ち着いたようなので食後の赤茶を飲みながらこれからどうするのかを聞いてみた。
「コロコロ意見変えて申し訳ないんですけど、俺は是非着いていきたいと思います。いえ、ぜひ固定パーティーとして仲間に入れてください。」
「モグモグ、私は。」
「食べるか喋るかどちらかにしなさい。」
リンが注意するとダリエラは食べる方を選び2ホール目のケーキに手を出そうとしてディランに頭を叩かれた。
「・・・・・・・・痛い。・・・・・・・私もディーと同意見。・・・・・・・・でも魔法は教えて。」
「ぶれねぇな。」
とにかく二人とも了承してくれたならまずは実力を検討する必要があるな。
おっとその前にもう一つやることがあった。
「じゃぁまずはおまえたちの力や癖をみたいからギルドへ行ってクエストを受けよう。ディランとリンは先に行って見繕っておいてくれ。ダリエラは話があるから残れ。」
二人を送り出して俺とダリエラは執務室へと移動して気になっていたことを伝えた。
「・・・・・・・・私だけに話って何?」
「う~ん。もしかしたら知られたくないことかと思ってな。けどパーティーを組むからにはこのことを話し合う必要があったし。」
「・・・・・・一体なにを。」
「どうして正体を隠してるんだ?」
始めて会ったとき俺には彼女の姿が二重に見えていた。
耳の長いまさにエルフという姿と青い肌と赤い瞳、そして突き出た一本の角を持つ姿が見え、本人がエルフを名乗っていることから本当の姿がどちらかはわかっていた。
おそらく魔族であろうがこの世界ではべつに忌むべき存在でもないのになぜ姿を隠すのか気になったが別に追及することもないだろうと思い放っておいたのだが。
「・・・・・・・・なんでわかったの?」
そういうとエルフの姿は消えてこの場に魔族が現れた。
「俺に隠ぺいは効かないぞ。言いずらいなら言わなくていいが理由を聞いていいか?」
「・・・・・・・別にいい。・・・・・・でも内緒にして。・・・・・・・私は魔族の中でも希少な幻鬼種。・・・・・・・・見つかったら変な人たちが研究させてくれってしつこいから隠れてただけ。」
幻鬼種か・・・・・懐かしいな。
この世界では一番亜神が生まれた種で当時期待していたんだよな。
ルルから定期報告がなかったから現在どうなったかわからなかったが希少種になっていたか。
まったくあいつは・・・・・・。
この種は気に掛けるよう言ってたんだが。
また減給だな。
「たしかにそれは迷惑だな。だが姿を変え続けるのは辛くないか?」
「・・・・・・・正直辛い。・・・・・・魔力を消費続けるから全力で戦えない。」
やっぱりな、話している間もMPが減り続けていたからそうだとは思った。
戦闘前、戦闘中も減り続けて戦闘後も正体がバレないようMPを残しておく必要があるから使い切らないように闘っていたらそりゃ全力は出せないだろう。
「じゃぁ魔法を教えろとは少ない魔力で戦えるようにしろってことか?」
「・・・・・・・そう。」
「それより隠ぺいをやめたらどうだ?一応貴族である俺がバックに付くんだからそうそうそんなやつらは近づいてこないだろう?」
「・・・・・・たしかに。・・・・・・・・予想外な効果が。」
「人を健康食品扱いするな。」
迷宮を攻略するのに手加減なんてされたらかなわないからこっちとしても助かっていいんだがな。
さて、あらためて彼女のステータスを見るか。
―ステータス―
名前 ダリエラ
性別 女
年齢 73
種族 魔族 幻鬼種
レベル 168
HP 7800/7800
MP 23400/56000
攻撃力 350
防御力 290
瞬発力 370
魔力 10500
知識 6700
幸運 260
スキル
・風魔法B・闇魔法C・幻影魔法A・消化強化・魔力変換・魔力視・魔耐性A
称号
・研究対象者
・大食い女王
・料理人の天敵
・もやしっ子
―――――――
典型的な魔法職だが攻撃力と防御力、瞬発力が低すぎる。
称号にすら認められるほど貧弱だ。
この種族は元々魔法に秀でているがそれなりに身体も丈夫なはずなんだけどな。
つか食堂で薄々感じていたが普段からよく食うんだな。
あれだけ食えばそりゃ料理人の天敵にもなるだろう、どれほど作っても終わらないんだからな。
「問題も解決したようだし俺たちもギルドへ行くか。」
「・・・・・・・・うん、でもお腹減った。」
「さっき食ったじゃないか・・・・・。」
攻略の為に作り置きしていた料理を無限収納から取り出して渡しておいた。
こいつ今までどうやって生活してたんだ?
「・・・・・・・・・おかわり。」
「勘弁しろよ。もう着くんだからやめてくれ。これから戦闘するのに腹いっぱいで動けなくなったどうすんだ。」
「・・・・・・・大丈夫、限界にはほど遠い。」
こいつの身体どうなってんだよ・・・・・・・。
見落としがなかったかもう一度ステータスをみるとMPが保有限界値を大きく超えていた。
どうやら「消化強化」と「魔力変換」で食物を魔力に変えているらしいが本当に止めてほしい。
迷宮攻略の為に用意してた料理の5分の3は食べてるぞ・・・・・・・。
追加の料理を歩きながら渡すがギルド目前になったので早く食えと言うと一瞬で皿から料理が消えた。
だからどうなってんだよ・・・・・・・。
中に入り二人を探すと奥のテーブルで何枚かの依頼書を手にディランとリンが話していたのでそこまで向かうが途中何人かの魔族がこちらをチラチラ見てきたからとりあえず手を振ってみた。
みんな顔押さえて悶えてる・・・・・あ、尻尾振り回してたやつが掲示板破壊した。
おぉ、バリスがすごい形相で走ってきたぞ・・・・おい、あの魔族バリスの拳骨食らっても耐えてる、けっこう丈夫なんだな。
よそ見しながらも人を避けて二人のところまで行くがダリエラにどうなってるの?言われてしまった。
さっきと立場が逆転したな。
「またせたな。」
「わ!レイヌ様ですか。お願いしますから気配を消して背後に立たないでください。心臓に悪いです。」
「時間かかりましたねレイヌさんと・・・・・・・・誰?」
「・・・・・・・・・・・ダリエラ。」
「「はぁ!?」」
驚いてる驚いてる。
こんな顔見ると癖になってきそうだ。
現にダリエラの口角もわずかに上がっている。
とりあえず簡単に説明をしながら並べられた依頼書に目を通して中から二枚選んだ。
「とまぁそんなわけで姿を隠してたわけらしい。」
「ろくでもねぇやつもいたもんですね。」
「そうですね。人の迷惑を考えないなんて最低です!」
「見たこともないやつのことはほっといてこのクエストを受けようか。ダリエラ、いい加減食べるのを止めろ。」
「・・・・・・・・・・・・・・もぐもぐ。」
いつまでも食べ続けてるのでもう放っておくことにしよう。
「このクエストですか・・・・・・・・。」
「参考までにもってきたもんだが、これ受けんのか・・・・・。」
「俺がいるから受注条件はクリアしてる、問題ない。」
「ですがもしもの時私たち五体満足でいられるでしょうか?」
「それは・・・・・・・・。」
「それこそ問題ありませんね。我が主様が負けるなぞありえません。」
「「「!!!」」」
突然の背後からの声に振り替えるとそこには全身黒ずくめのエルフが俺の影から上半身を出していた。
その姿をみて背筋がゾワゾワと嫌な感覚が襲ってきた。
だがここで取り乱してはリンたちに示しがつかない、あわてて平常心に戻るとその人物に向かって重い口を開いた。
「お前がきたのか、第2席。」
レイヌ 「頼むから飯くらい自分で買ってくれ・・・・。」
ダリエラ「・・・・すっからかん。」
ディラン(まさか王からの報酬全部食費に消えたんじゃ・・・・・。)
ディラン大正解!
莫大な報酬は4日で使い切りました。




