5話 本当の死
さぁ!最新話、発進!
後半少し暗いかも・・・・。
え?別にそんなことない?
OTZ
ベリアルの店に着いたときはすでに朝だった。
薬の調合は集中するので思っているより時間が過ぎてるんだよなぁ。
俺は平気だがリンは半分以上寝ていたので屋敷に帰らせた。
しかしリン、寝ながら歩くとはなかなかできるやつだな。
とりあえず朝市で食材を買ってベリアルの店まで向かった。
「おはようベリアル。」
「ようレイヌ。その様子だと薬はできたようだな。」
接着剤を見せるとニヤリと笑い鍛冶場へ向かおうとしたがこいつの恰好を見るにまた徹夜で鉄を打っていたのは明白なので休ませることにした。
「別にこのまま作業してもいいんだがな。」
「相棒の装備を強化してもらうんだ、万全の状態でやってくれよ。」
「たった3日間の徹夜じゃまだまだ万全だ。しかしレイヌ、お前は料理も作れるのか。」
今俺とベリアルはキッチンで雑談に花を咲かせている。
まぁ俺は料理しているから背中越しだけどな。
貴族になったのに相変わらずわけがわからん奴だとベリアルが呟くが聞かなかったことにしよう。
「そういえばおまえ口調変わったよな。」
「お、気づいたか。進化してから体に力がみなぎってきてな、まるで若返ったようだ!だから思い切って若い頃に戻してみた。」
「確かに違和感ないよな。それぐらいの気迫が出てるよ。」
そうかと笑っているが今のこいつが爺さん言葉喋ってたら違和感あるな。
あれからほんの数週間でまるで別人だな。
「そうだ、あの新しい従業員はおまえの甥っ子なんだよな?」
「姉貴の息子だ。村では一番の腕らしいがそれで天狗になってるからへし折ってくれと頼まれてな。本当は俺を見せて成れの果てはこんなだぞと言いたかったらしいが実際に久しぶりに会って考えが変わったんだとよ。」
「まぁ勝気な子だとは思うよ。」
「いやいや、おまえより何倍も年上だぞ。」
しまった!今15歳だった!
笑ってごまかしながらできあがった料理をテーブルに置いて話を打ち切った。
「これはスープとパンか?これじゃぁ腹は膨れんぞ?」
「いいから食え。」
できあがったのは《野菜ゴロゴロさっぱりスープ》と自家製のパンだ。
こいつ家の食糧庫は肉ばっかだから野菜食えと単に言いたいんだがな。
ベリアルはがっかりしながら一口飲むと目を見開き、涼しそうな顔をしてムフーと息を吐いた。
「はぁ、まさか冷たいスープとはな。初めて飲んだがさわやかな気分だ。」
「熱いところにいたからなおさらそうだろ。」
実はこのスープには少しだけ異世界の食材を入れてみた。
ピケの実という爽快感のある果実を擦って混ぜてあるので身体全体がスース―するだろう。
ベリアルは結局4杯もおかわりをしたがパンも食えと止めた。
用意したパンを一口で口に放り込むとまたカッと目を開いた。
「なんだこれは・・・・・・甘くて柔らかいぞ。」
「お手製のパンだ。欲しかったら冒険者ギルド近くにあるパン屋に作り方教えたから行けば食えるぞ。」
「そうか・・・・・・。あのもそもそしたパンがこんな風になるとはな。」
既存のパンは固くておいしくないから作ったのだがパン屋の亭主はどこで聞きつけたのかわざわざ屋敷まで来て作り方を教えてくれと土下座してきたので酵母菌を分けてやった。
素人がいきなり菌を培養なんかできるわけがないので店が閉まるころに翌日の分の酵母を渡し勉強会を開いている。
そんな苦労を知らないベリアルは何個もおかわりを要求してきたでさすがに10個で止めた。
こちらも迷宮探索に向けて食料は貯めておきたいんだよ。
しっかり寝てから強化してくれと俺の防具も預けて部屋を出ると甥っ子ドワーフが腹を鳴らしながらこちらを見つめていたのでまだあるから食べてこいとだけ伝え店を出た。
屋敷に戻り3時間ほど寝てからリンと共に冒険者ギルドへ仲間を探しに行った。
「ということでバリス、誰かいないか?」
「来ていきなりそれかよ。まぁ必要なのはわかるがお前たちと釣り合うやつがいるか・・・・・・。」
たまたま受付にいたバリスに相談したがいかにもめんどくさい、呆れたという対応にごめんごめんと謝った。
「伸びしろがありそうなやつでいいさ。俺たちが鍛えるからな。」
「だったらそこで掲示板見てる二人はどうだ?実力は知ってるだろ?」
後ろを振り返るとそこにはディランとダリエラがあーでもないこーでもないと依頼書見ながら相談していた。
「あいつらはクランのリーダーだろ?長期間の拘束はできねぇよ。」
「それに関しちゃ問題ない、今はフリーだ。」
どういうことだ?解散でもしたか?
俺の顔をみたバリスは暗い顔をしてさっさと行けと手を払ったのでとりあえず声をかけることにした。
「よぉ、久しぶりだな。」
「レイヌさん!久しぶりです!」
「‥‥…たった数日だけどね。」
あいかわらずの暑苦しさと涼しげな顔を見たところで声をかけた理由を話した。
「迷宮攻略に向けて仲間を探してんだが協力してくれないか?期間は攻略終了までなんだが・・・・・・。」
「本当ですか!ぜひお願いします!」
「・・・・・・・・いいけどそのかわり魔法教えて。」
二人とも快く了承してくれたのでこれからのことを話し合う為に屋敷に連れて行った。
ラミスたちの無駄のない動きには驚いていたが無理やり書斎に詰め込んでようやく話し合いを始めた。
「それじゃぁ会議を始めるが・・・・・・。」
「あの、その、ここまできて申し訳ないんですがやっぱりこの話辞退させてもらってもいいですか?」
「・・・・・・・・私も。」
土壇場で抜けると言ってきた二人だがその顔には喪失感が滲み出ていた。
「それは解散したクランのことでか?」
「知っていたんですね。はい、俺もダリエラのクランも所属してたほとんどのメンバーがこの前の戦いで死んでしまって。」
「・・・・・・・・私のところは全滅。」
あの戦いの犠牲者は意外にも少なかったが二つのクランに被害が集中するとは、なんとも不幸なことだ。
「逝った仲間に申し訳たたない、ということか。」
「はい、あいつらが死んで俺一人がこんな名を売れるチャンスをつかむなんて申し訳ないんです。」
「・・・・・・・・・私も今後はソロでやっていくつもり。」
こいつらは自分を追い込むことで許しを請うつもりか。
見ようによってはそれは自己満足だ。
ようは自分は今こんなに辛いんだ、こんなに償ってるんだと周りにアピールしているんだからな。
だが本人には必要なことなんだ。
満足することで自分を保ってるんだからな。
それをまわりが非難したり無理に止めさせようとしたらきっと彼らはそのどうしようもない気持ちを向ける先がなくなり壊れてしまうだろう。
「・・・・・君たちの仲間は死んでない。」
「いえ、きちんと死体をこの目で確認しました。」
「死んでない。」
「ですから・・・・・。」
「もう一度言う、死んでない。」
「・・・・・・・・いい加減にして。・・・・一体なんなの?・・・・・・あの子たちは死んだの。死んだんだよ!私を残して死んだの!それを生きてるなんてわたしを!あの子たちを馬鹿にしてるの!」
「お、おいダリエラ・・・・・。」
普段口数も少なく涼しい顔のダリエラは珍しく涙を流し大声で叫んだ。
怒り、悲しみ、後悔が混じり吐き出したその声にディランも困惑が隠せないようだ。
「馬鹿になんかしてない。生きているさ、お前たちの心の中に。」
「そんな月並みな言葉いらないのよ!」
「知っているか?人は二度死ぬんだ。」
突然の言葉に彼女は何を言ってるんだこいつはという顔をした。
「あなた何言ってんの?」
あ、実際に言った。
「一度目は魂がこの世からいなくなったとき。二度目は・・・・・・忘れられた時だ。」
二人はわけがわからないと言っているがどうやらリンは理解したようで胸に手を当てて目をつぶった。
おそらく彼女も大切な人を亡くしたんだろう。
「確かに死んだらもう言葉を交わすことはできない。だが彼らと過ごした日々、冒険、たしかにこの世界にいた証はおまえたちの中にある。だがその証がなくなったとき、彼らがいたという証拠は無くなってしまう。それが二度目の死だ。」
ここでようやく理解した二人は下を向き涙を零した。
辛いだろうがしっかりと受け取って欲しい。
「おまえたちは忘れないだろう。しかし周りはどうだ?お前たちが死んだら彼らを覚えているものは誰がいる?だからこそ一緒に来てくれ。そして名を後世に残そう。攻略メンバーであるおまえたちにはそれまで支えてくれた彼らの影があったと。」
ここまで話し終えるとしばらく考えてほしいと伝え、リンと二人で部屋を出て一階へと降りた。
「彼らは共に戦ってくれますでしょうか・・・・・。」
リンは心配そうに尋ねてきた。
頻繁に上を見てはそわそわとしているので彼らのことが心配なんだろう。
「それはあいつらが決めることだ。もし来なかったとしてもきっとこれからは無茶なことはしないだろう。」
ギルドで声をかけたときに見ていた依頼書はかなり危険なクエストだった。
二人で挑むには自殺行為としか思えなかったので彼らが追い詰められているのはわかっていた。
だからああ言ったんだがあの様子だと受け止めてくれてるみたいだから問題ないだろう。
さて、どんな決断をするんだろうな。
どんな結果であれ二人にはこれからも生きていてもらいたいものだ。
レイヌ「自己満足を否定はしないが、せめて命だけは大切にしてほしい。死んだらそこで終わり、未来は無いのだから。」
――――今回の取得スキル――――
説得A
――――今回の取得称号――――
命を尊ぶ者




