閑話 奴隷エルフの奇跡
私の名はリングラット・ラブリカ。
金ランクの冒険者でアルバ王から「美強」という二つ名を頂いた元奴隷です。
現在はご主人様であるレイヌ様に仕えていて恐れながら相棒をしています。
金ランクは冒険者の中でも尊敬される立場であるのになぜこんな経歴なのか、それにはとてもとても深い事情があったのです。
当時私は金ランクの中でも一番水晶ランクに近い冒険者として名を馳せていたのですが、影では王様に身体を売って得た名声だとか他の人の手柄を横取りしたとか言われていてあまり評判はよくありませんでした。
もちろんそんなことは一切なくがんばって手に入れた結果で、そういう噂をする人はほとんどの人が他の国からきた人たちでした。
この国を活動拠点にしている冒険者たちとはよくチームを組んでいたのでそんな噂など関係なくよくしていただいたので辛くはなかったです。
そんなある日ゴブリンの集落を壊滅させる依頼を臨時パーティーを組んで受けた先で仲間に毒を盛られてしまいました。
どうやら水筒と食事に強力な麻痺毒と微量な毒を仕込んでいたらしいです。
おかしいと思ったんです。
いつもなら無傷で達成できるはずだったのに数回攻撃を受けてしまったのですから。
気づいたときにはすでに手遅れでした。
仮眠から目を覚ますと身体が動かず、眩暈や吐き気などもおきており、そんなを私を他の仲間が周りを囲んでニヤニヤと笑っていました。
「お、気が付いたか。やっと薬が効いてきたみたいだな。」
「あ・・・・あなたたち・・・・・・なに・・・を・・・。」
「アンタめっちゃ美人だから売ろうかと思ってな。別にいいだろ?男に股開くなんざいつものことなんだし。」
「そ・・・・・んなこ・・・と・・・・・やった・・・・・ことも・・・・・。」
「まぁそうだろうな。けっこう強力な毒持ったのに今頃になって効いてきたしあの戦いぶりだったからな。最初は噂の通りかと思って計画たててたのに失敗かと思ったわ。」
「なぁ、売る前に味見してみねぇ?」
「バカ、やめろ。価値が下がりそうだ。売った金で娼婦買えばいいだろ。」
「あなた・・・た・・ち・・・・・さい・・・て・・・いね・・・」
「勝手に言ってろ。お先真っ暗なんだからな。」
こうして私は非合法の奴隷商へ売られていきました。
奴隷紋を入れられて抵抗する力も奪われ、売られ返されを何回も繰り返しついに廃棄まで決まってあの冒険者の言った通りお先真っ暗になりました。
思い返せば私の人生は不幸な事ばかりでした。住んでいた里からは追い出され、冒険者になってからは下品目的でパーティーを組まされたり、かもにされたりと苦労してきました。
有名になりそういうこともなくなり私の人生もようやくよくなってきたと思ったのですが、どうやらこのまま終わりになりそうです。
そう諦めていた日々のなか、そんな私にも転機が訪れました。
地下の牢で絶望しているとこちらへ向かってくる足音が聞こえました。
このとき私はまた買われるのかと特に感情を働かせていませんでした。
そして入ってきた人物はまさに神のように美しい少年でした。
おもわずじっと見つめていると少年と奴隷商人はどんどんと会話を進めていきます。
「彼女は?」
「こいつは元冒険者です。仲間だという男たちが売ってきたのですがご覧のとおりの容姿でして二つ返事で買ったのですが、買い取り相手が次々と不幸な目にあって何度も帰ってくる厄介者です。こちらとしても勿体ないとは思いますが処分しようかと考えております。」
あぁ!そんなこと言ったら買われなくなるじゃないですか!
このままでは廃棄がいいなんて思っていましたが、こんな人なら買われたいです!
止めて!これ以上言わないで!
「彼女を頂こう。」
やった!私買われた!
少し前までとは正反対なことを考えていると奴隷商人が止めるように言っていましたがそれでも買っていただけました。
ですが引き渡しの時にいままでの買取主のことを思い出し、本当にいいのか考えてしまいました。
いままで買取主の人たちは家が潰れたり商会が潰れたり家庭崩壊や大きなけがなど次々と不幸になり、腹いせに殴られてと何回もされてきました。
この少年は優しそうなので殴られたりはされなさそうですが、不幸にはなって欲しくありません。
そんなことを考えていると何かを感じたのか、少年は優しく私の頭を撫でてくれました。
そのとき私は恋に落ちました。
見たところ人族のようなのでかなり年は離れていそうですがそんなこと関係ありません!
私はあなたに生涯ついていきます!
その後ご主人様は宿へ帰る途中で高級服店で服を買って下さりました。
しかも王女様とお知り合いみたいです。
一体ご主人様は何者なのでしょうか。
部屋に戻るとご主人様は私のすてーたす?とやらをみせていただきました。
そこには「創造紳の呪い」と記載されていました。
そのときショックも強かったですがともに納得もしました。
私は生まれてきてはいけない存在だったから創造紳様は早く私を排除しようとしていたと思い、そのことをご主人様に伝えると
「それは違う!生まれた意味はある!俺に出会うためだ!だから誰にも、おまえにもそんなことを言うのはゆるさない!」
と私を励ましてくれて聞いたこともない魔法を使い呪いを祝福に変えていただきました。
元々の状態に戻していただいらしいのですがもはや私にはご主人様が神様のように思えてなりません!
その後すばらしい武器や防具までいただきました。
奴隷紋も先ほどの魔法で消えたようなので以前よりも強くなった気がします。これならもしかしたら水晶ランクに届くかもしません!
装備も整い実力確認のために冒険者ギルドへいくとギルド長がすごい顔で私を揺さぶってきました。
どうやら私はあの3人に死んだと報告されていたようです。
本当に最低な人たちです!
事情を話していると職員の人が部屋へ飛び込んで魔物大行進が起きたと報告をしに来ました。
高ランクとご主人様が会議室へと集まり詳しい状況を聞きましたが過去例を見ないほどの大行進みたいです。
(あとご主人様の情報をゲットしました!)
出立までの残り日数は帝都周辺で狩りをして鈍った腕を戻していたのですが、やっぱり前より強くなっていました。
ご主人様は図書館に籠って結局出立日に合流しましたがなにをしていたのでしょう?
そしていざ大規模な魔物大行進を目の前にしてうろたえていた冒険者たちを鼓舞するご主人様はとてもかっこよかったです!
さて、戦闘を開始してかなりの時間が経ちましたがいまだに終わりは見えません。
前線にいる他の方々は息も上がりかなり消耗していたのですがご主人様は私より余裕そうでした。
本当に白ランクなのでしょうか?
そして見たことのない剣術と大規模魔法を使いたくさんの魔物を屠ったのですがもはやかっこよすぎてご主人様が直視できません!
しかも龍帝までもお知り合いらしく協力していただきました!
もっと近くで見たいと伝えるとウルスラ王子と私の二人を担いですごい速さで駆けていき龍帝を追い越していきました。
Sランクの色付き魔物も一撃で倒してしまい本当に白ランクとは思えません。
後ろでは龍帝も参加しているのでそろそろこの戦いも終わりかと思えたときどこからともなく魔忠が現れました。
ご主人様は初めから気づいていたようですがどこから出てきたのでしょう。
しかも魔忠次官らしくこんなの水晶ランクでも互角ほどの強さなのでここにいる人数では到底対処なんかできません。
私もここまでかとウルスラ王子と少しでも時間を稼ごうとしたのですがご主人様はあっけなく倒してしまいました。
私たちはよくわからない状況のまま帝都まで担がれていき理解した時にはすでに宴会になっていました。
一人大騒ぎしましたが周りはすでに騒ぎつくした後のようでそうだよね~と流されてしまいました。
納得できません!
三日後、前線にいた私たち7人は王城で褒美を貰いました。
それぞれ褒美を貰い、私は賞金と毒耐性が付与された指輪をいただきました。
そしてご主人様は賞金と水晶ランクへランクアップ、貴族の称号そしてお嫁さんを、しかもメイトラ王女をお嫁様にいただきました。
しかも承諾しました!
・・・・・とても複雑な気分です。
以上が私のこれまでのお話です。
他にもご主人様に秘密にしていることがあるのですがそれは時が来たら伝えようと思います。
いままでろくでもない人生でしたがこんな素敵なご主人様に出会え今はとても幸せです。
これも創造紳様と森の神ガリア様のお導きでしょう。
これからもこんな日々が毎日続きますよう毎夜祈っています。
ただ不満があります。
ご主人様がむず痒いから名前で呼んで欲しいらしく呼び方を変えるように言ってきたことです。
・・・・・・・・納得できません・・・・。
来週はここまでの主な登場人物をまとめます




