閑話 神たちの日常
神界にあるとある城。
この城には全ての神を束ねる女王アラル・メリアが住まう場所であり全ての神は女王の元、もしくは創造主長レイヌ・アルスの元で働くことに憧れている。
その城の謁見室にて女王は部下から報告を受けていた。
「い、以上が今回の件の定時報告です!」
「ご苦労。それで当事者のルルリアは今なにをしているのですか?こういうことは本人がここへ来るべきでしょう。」
「はっ!ルル様‥‥ルルリア様はただいま創造主長様のカバーでコントロール室にて作業中でございます!創造主長様のご命令でサボらないよう、常に5柱の神の監視を付けております!」
「わかりました、下がりなさい。」
部下と一緒に世話係たちも下げさせた後部屋全体に防音壁を展開した。
しばらく女王は報告書を読み、空中へ投げ捨てると書類は一瞬のうちに燃え、灰は一ヵ所へと集まり消えた。
「ふふふふふ、あははははははは!」
女王は突然笑い出し机の上に足を乗せた。
普段の彼女を知る者がこの光景をみたら気がふれたのかとすぐに命をつかさどる生命神をかき集めただろう。
それほどこの部屋には異常に満ちていた。
いや、ただ一柱だけは心配などせず呆れた顔をして女王である彼女を怒鳴りつけたであろう。
「あははははは‥‥‥はぁ‥‥はぁ‥…。あ~笑った笑った~。」
彼女が読んだ報告書はルルによるミスで下界へと降りたレイヌの活動書であったが彼の行動や言葉の一言一言まで事細かに記載されており、どれほどめちゃくちゃな事をしているのかがどうやら彼女の笑いのツボに入ったらしい。
「いや~レーちゃんは相変わらずだね~。しっかっも!口調まで昔に戻ってるよ!苦労して変えたのに意味な~し!]
彼女は本棚へと向かい一冊の本を手に取った。
他に並べられている本よりも薄いが、出し入れがしやすい位置にあることからとても大切なものであろうことがわかる。
開かれた本は文字ではなく数枚の写真が張り付けてあり、数人の男女が笑いながらこちらへと手を振っていた(・・・・・・・)。
「あれからたくさんの年月を過ごしていろいろなことがおきたよね。あたいたちの中じゃレーちゃんが一番変わったと思ったけどどうやら勘違いみたいだったね。な~んも変わってないや!さっすが相棒!」
おそらくレイヌがこの場にいたら何がさすがなんだ!とツッコミをいれていただろう。
女王は大事そうに本棚へ戻すとワインセラーから一本のワインを取り出した。
このワインは‘’食の世界‘’の創造紳から献上された品でここ数万年のお気に入りだ。
神木で作られた蓋をあけると直接口をつけてラッパ飲みをしたが、いくら飲んでも中身が尽きる様子がない。
他の神でさえなかなか飲むことができないほど貴重なワインをひたすら飲み続けていく。
同じようにいくら飲んでも減らないこのワインと同じものをレイヌも持っている。
通常売られている物は見た目通りワインボトル1本分しかないので他の神に真似をすることはできない。
「ぷはぁ!あいかわらずうまいね!でも一人で飲むと寂しい‥…そうだ!運命神統括と報告書を肴に飲もう!あ、報告書燃やしちゃった。戻しとこ。」
女王が腕を一振りすると先ほどの逆再生をしたかのように報告書が元に戻った。
机へと戻り改めて報告書を読むと思案顔になった。
「ん~歪みが大きすぎていくらレーちゃんでもたった100年じゃ元には戻らなさそうだな~。誰か応援に向かわせたいけど誰にしようかな?ん~‥…そうだ、あのこにしよう!優秀だし問題ないね!レーちゃんはあのこのこと少し苦手そうにしてたけど、そっちのほうが面白そうだからいいよね!さっそく連絡しとこ。」
引出しから便箋を取り出し一筆したためて窓へと放り投げた。
手紙はしばらく風に流されていたがひとりでに形が変わっていき折り紙の馬のような形になるとどこかへと消えていった。
「さ~てやることは終わった!さっそく飲み会の準備だ!」
女王がどこからか取り出した一つのガラスように透明なベルを鳴らすと僅か数秒でドアをノックする音が聞こえた。
入る許可をだすとレイヌと同じように銀色の髪をオールバックにした老神が入ってきた。
彼の元々の髪は赤茶色なのだが実はレイヌの大ファンで同じ色にわざわざ色素を作り替えたのだ。
神界には『創造神主長ファンクラブ』と『女王様ファンクラブ』という大きな組織があり、ほとんどの神がどちらかに属している。
彼はもちろん『創造主長ファンクラブ』に属しており、中でも本人曰く名誉ある二桁ナンバーであるらしい。
「お呼びでしょうか。」
「うむ、これから運命紳統括と会議を行う。とは言っても少々酒精を交えながらの話し合いだ。同時に食事をとるので用意しなさい。」
「かしこまりました。」
「ところでおまえはこの報告書を読んだか?」
「いいえ、ですがコネを使って後程手元へと届く予定ですのでじっくりと読ませていただきます。そのあと永久保存術を使い熟読用と布教用、完全保存版と用意し自室に飾らせていただきます。もちろん映像のほうもどうにかして入手しファンクラブ内で大上映会を行う予定でございます。それから‥‥‥」
「い、いや、十分わかった。下がれ。」
「はっ失礼します。」
再びドアが閉められると改めて防音壁を貼った後盛大にため息をついた。
「はぁ~。なんで彼ここで働いてるんだろ。レーちゃんの所の方が絶対合ってると思うんだけど‥‥」
さきほどの彼の反応はファンクラブではよくあることでその彼らをまとめるファンクラブ会長は更に熱烈なファンで、自宅にはレイヌの写真を神具とした祭壇があり毎朝毎夜祈っているともっぱらの噂になっている。
神が祈るなよとは女王の呟きであったが自分のファンクラブ会長も似たようなことをしているので強く言えないでいる。
一度双方に止めるように命令したことがあったが、その反動で毎日毎日付き纏われて仕事中から家の中、果てはトイレにまで付いてくるのでレイヌと話し合い、命令を取り消した。
「下界ではあたい達神は清くて完璧な存在として認識されてるみたいだけど‥…とてもじゃないけど本物はみせられないな~。現状いろいろとひどい有様だよ。」
再びため息をつき自棄酒をしていると書斎中にリーンリーンと涼しげな音が鳴り響いた。
防音壁を一部解除して許可と念じると部屋の一角の空間が歪み、一人の少女が出てきた。
「いらっしゃい運命紳統括。あいかわらずすっごい巨乳だね!巨乳っていうか魔乳だね!」
「お褒めの言葉恐縮です。」
抑制のないその声はまわりからは感情がないのではと言われているがわかる神がみれば十分感情豊かで、ただ表にだすのが下手なだけなのだ。
「本日はお招きありがとうございます。」
「いいっていいって!今日は飲み会‥‥ん?あたいと君は女だから女子会なのかな?まぁとにかく始めよう!」
「正確にはわたしは性別がないのですが今回は女性ということにします。」
「それにしても今回はレーちゃんにとっては災難だったけどあたいらにとってはなかなかおもしろいことになりそうだね!」
「はい、わたしもレイヌ様のご活躍が楽しみです。」
「ルルちゃんには感謝だよ!こっそり褒美とらせようかな?最高品質のベットとか!」
「それは‥‥‥おそらくまたサボって女王様も怒られると思います。」
こうして二人の神による女子会は4日間行われた。
―とあるコントロール室―
「は!なんか今私に幸福が訪れる予感がした!」
「ルル様、いいから仕事してください。」
「でも本当にそんな気がしたんだよ!」
「創造主長様に報告しますよ?」
「うぅ‥‥わかったよぅ‥‥」
ありがとうございました
地球の様々な神話でも酒が原因で悪さして天から落とされた話もあるとおり
人間臭い神様にしてみました!
ちなみに動く写真は某魔法映画を参考にしました




