21話 使用人の確保
「おうガキ。有り金全部置いてけよ。」
「あと隣の女もな、ギャハハハハ。」
「まぁどちらにしろおめぇには死んでもらうけどな!」
こちらレイヌ、ただいまスラム街にてチンピラに絡まれております、オーバー。
なんてふざけてる場合じゃないのはわかってるんだけどね。一応困ってはいる。
別にこいつらが危険だからではなく、隣にいるリンがもう大層お怒りで今にも目の前のやつらを切り刻みそうだからそれを押さえるのに苦労しているだけだが。
~数時間前~
「さて、そろそろスラム街へ行こうか。」
「使用人の確保ですね!」
昨日話にあったとおり義兄さんに捨てられた元王宮務めの人たちを救出&雇うためにスラム街へ行くわけだが、メイはついてこなかった。
俺の方はまだ貴族になって日が浅いのでまだ顔は広まってないから妨害も少ないであろうとのこと。
万が一の為にウルから門番を派遣してもらって家に待機していてもらうことにした(ちなみに昨晩門番がいなかったのは俺がいたからだ)。
移動の途中で服と食料を買ったが、なぜかというとおそらく十分な食事も服も持っていないであろうから助けた後渡すためだ。
真っすぐ向かうはずが猫を助けたり迷子を親の所へと案内していたりとしていたらだいぶ時間を消費してしまった。
リンはやはりレイヌ様はお優しいですねと暖かい目で見てきたからそんなんじゃないと今度こそスラム街へと向かった。
ここで冒頭に戻る。
スラム街へと入ってすぐに絡まれてしまった。
が、リンには殺さないようにと命じて処理をさせた。
「お、自分からやってくるたぁよくわか‥…ウボァ!」
「触るな下種が!」
「調子に乗んッギャァァァ!」
終わるまで暇だな。あ、武器の破片が飛んできた。拾っておくか。
「こ、こいつつぇガハッ!」
お、薬草みっけ。こんなところにもあるんだな。
「たっ助けガァァァ!」
「ふんっ、弱いのなら鍛えなさい!」
あ、終わったようだ。だがまだまだ詰めがあまいな。
他人からは消えたように見えるくらいの速度で物陰に隠れていたローブ姿の背後へとそっと立ち、とりあえずあいさつをしておいた。
「やぁこんにちは。ところでその姿勢腰が痛くならないか?」
「!?」
おどろいた男は一瞬硬直したがすぐに距離をとりナイフを投げてきた。
この判断力はなかなかいいな、かなり腕がたつとみえる。
投げられたナイフを一つ一つ受け止めて地面に並べたらまたしても男は硬直し、逃げに徹した。
俺は先廻りして鳩尾へ拳を死なない程度にたたきつけると男は盛大に吐瀉して動かなくなった。
「レイヌ様!申し訳ございません、お手を煩わせまして。」
「いや、いいさ。これで今後の課題が見つかったな。これから鍛えればいい。」
リンは元気よく返事をし俺の前に移動して進み始めた。
それから数度襲われたがその都度アドバイスをしていると目に見えて動きがよくなっていった。
移動中にちょっとした授業をしていると右隣の建物から勢いよく数人の男が飛ばされてきた。
なんかよく飛ばされる光景をみるな。
バリスは歓迎のあいさつではないと言っていたが本当のことなのか疑わしいな。
中を見てみるとなにやらボロボロになった男が三人膝をついていた。
「くっ新手か!」
「いい加減理解しろ!女たちは売らない!とっとと帰れ!」
そう言うと男たちの一人が斬りかかってきた。
俺は剣を摘み少し力を入れたらキィィィンと折れてしまった。
なんとなく申し訳ないが誤解を解いておこう。
「俺たちは敵じゃない。人を探しているんだ。」
「嘘を言うな!じゃぁその後ろにいるやつらはなんだ!」
あぁ、さっきから襲ってくるやつを縛って引きずってきたが、これで誤解させちゃったか。
「こいつらは俺たちを襲ってきたから縛っただけだ。あとで衛兵に突き出す予定だから。とにかく人を探していてな、もと王宮勤めの人たちなんだがな、知らないか?」
「!?貴様!あいつらの手先か!」
「いやまて!あの縛られているやつは一味のやつだぞ。」
「本当だ!よし、おまえがやつらの仲間ではないのはわかった。だがなぜ俺たちを探していた。場合によっては相打ち覚悟で貴様を撃つ!」
こいつらが捜していたやつらか。だがなにやら追い詰められているな。早いとこ救い出すか。
「名乗るのが遅れた。俺はレイヌ名誉侯爵、メイトラ姫の婚約者だ。メイとウルに頼まれて救出とうちの使用人へのスカウトにきた。」
「なんと!メイトラ様の婚約者ですか!失礼をいたしました!」
事情を説明すると信じてくれた。
聞くと彼らは元王宮騎士らしいがそんなやつがなぜこんな状態になっているのか。
どうやらどんどん捨てられて行く仲間たちを守っていたらしいが、どんなに強くても戦えば傷ができる。治そうにも傷薬もポーションという回復薬も邪魔をされて手に入らず手当てがずっとできないでいたらしい。
そんなことが2年以上続き今の状態になっていたらしい。
回復させてやりたいが回復ができる光魔法や水魔法は調べてなかったので使えない。
早く図書館で調べる必要があるな。
しかたないから神魔法を最低出力でかけたら傷は治ったがなんか2割増で全身の筋肉が増えていた。
はい、またやってしまいましたがなにか?
回復させてから他の人たちの案内を頼むと2階へと向かった。
みないきなり来た俺たちに怯えていたが斬りかかってきた男(ロバートという名前らしい)が事情を説明すると安心してくれた。
そんななか一人のお爺さんがこちらへやってきて深々とお辞儀をした。
さきほどおじいさんと言ったが背筋がピンとしていて一見細身にみえるがかなり鍛えられた肉体だ。
「お初にお目にかかります。私は元メイトラ様のお世話係のラミスと申します。こうして我々を救っていただき誠にありがとうございます。そして‥‥そ‥して・・・」
「お、おいどうした!俺の回復魔法でなにか異常があったか!?」
ラミスはなにかをこらえるように顔をうつむかせていたがばっと顔を上げると滝のごとく涙を流していた。
「メイトラ様とのご婚約、ありがとうございます!爺は、爺は‥…感動でもはや貴方様の顔すら霞んで見えてしまいます!」
いやそれ涙のせいだから‥…。
ラミスをなだめているとリンがてきぱきと服と食料を配っていた。
あいつはほんとに気配りができるやつだな。だが気になることがある。
こいつらを今まで邪魔していたやつらと俺たちにチンピラをけしかけていたやつは仲間らしいけど、何者なんだろう。
「なぁ、下に置いてきたやつらのまとめ役はなんだ?ただのチンピラじゃないようだが。」
「ぐすっ。あやつらは闇ギルド’’ 檳榔子黒’’でございます。この国の闇ギルドを束ねているのでございます。おそらく今もここを狙っているでしょう。お気を付けを。」
とにかくこの場を離れてさっさと家に帰るか。
みな腹も満たしてちゃんとした服も着たことだし脱出するために下に降りると捕えていたやつらは全員死んでいた。
男どもと共に死体を調べてみるとすべて首を切り裂かれており、少量の毒も見つかった。
こんな場所で住んでいるやつには手の届きそうにない毒を使っているところからどうやら例の闇ギルドが口封じに来たみたいだな。
ラミスをなだめるのに集中していて周りの警戒を忘れていた。俺もまだまだだな。
「レイヌ様、どれも同じ斬り方ですが少なくとも数種類の刃物が使われております。」
「よく観察してるな、リン。だがやはりまだまだだ。辺りの警戒がおろそかになってるぞ。」
その言葉を皮切りにぞろぞろとローブの男たち(一部女もいた)が出てきた。
階段を降りる前はスラムの住人がいると思っていたけど毒の匂いがしたからすぐに闇ギルドのやつらだとわかった。
さて、片づけるか。
ありがとうございました
自分が住んでいる所へとうとう台風がやってきました
すぐに去るらしいですが雨が鬱陶しいです‥…




