19話 婚約
おまたせしました~
や、やりやがったあのおやじ!貴族にはならないっていっただろ!
それにメイトラさんと婚約?何考えてんだ!
「父上!こんなやつを王家に入れるというのですか!?それに名誉侯爵なんて聞いたことがありません!」
いいぞ!もっと言ってやれウルのお兄さん!
だが王は笑みを崩さず、むしろ更に輝きを増していった。
「我が作った階級だからな。扱いは侯爵だが基本自由な行動を許される。それからメイトラのことだが、レイヌ殿と結婚すれば国との繋がりが強くなり将来的に益になるからだ。」
「本音は?」
「これでどうどうと我が息子として迎え入れることができるからだ!」
「あきらめろよ!それにメイトラさんのどうなるんだおっさん!」
騎士たちや貴族たちは暴言を吐いたのに騒ぎ立てず、むしろ諦めの表情を浮かべていた。察するにいつものことなのだろう。
「はっはっは、レイヌ殿、いやレイヌ!お義父さんと呼んでくれ!メイトラのことは心配いらん、本人も了承済みだ。」
見るとメイトラさんは顔を赤くしクネクネと照れていた。
くそっどこにも逃げ場がない!
もう諦めてすべてを受け入れることにして後で考えようと考えを放棄した。
「わかりました‥‥。そのお話、ありがたくお受けいたします。」
「うむ。では水晶ランクであるレイヌに依頼をだす。《紅蓮の迷宮》へ赴き攻略してきてくれ!」
「‥‥‥はっ承けたまわりました。」
謁見が終わり部屋に戻りリンと二人、それぞれベットへと寄りかかり先ほどの内容を思い出す。
最高峰の冒険者になり、貴族になり、そして‥…メイトラさんとの婚約。
いろいろありすぎて頭が痛いがこれで信用と権限を手に入れたからかなり動きやすくなった。
くそ、ドタバタうるさくて考え事ができない。ん?ドタバタ?
起き上がりドアを注視すると5人がなだれ込んできた。
「すごいですレイヌさん!貴族にもなって最高峰の冒険者なんて!」
「うむ、もはやレイヌ殿とは言わず、レイヌ様であろうな!」
「ずいぶん偉くなったじゃないか!愛人になってくれるかい?」
「もう、レイヌちゃんってば!素敵ずぎ!抱いて!」
「‥…魔法教えて。」
もみくちゃにされ考え事を邪魔され、いい加減イライラが最高潮になり全員に拳骨を降ろした。
皆蹲り頭を押さえ悶えていた。いや、全員じゃないな、一人あまりの痛みに気絶してるやつがいる。
だから身体を鍛えろと言ったろうに。
ギャーギャーと騒いでいるとドアがノックされた。
「レイヌ様いらっしゃいますか?」
この声は!できれば会わずに城から去りたかったが出遅れた!
覚悟を決め部屋に招き入れるとメイトラさんが静々とその場にいた
。他のものは空気を読んで出ていってしまって、部屋に残された二人はしばらく黙っていた。
き、気まずい!
どう話を切り出すか悩んでいると向こうから声をかけてきた。
「あの‥…レイヌ様。婚約の件、怒っていますか?」
「いえ、ですがメイトラさんはいいのですか?こんな男と婚約なんて。」
「どうかメイのことはメイと呼んでください。それから堅苦しい言葉は無しです。婚約はメイから言い出したことなのですから問題ありません。」
なんと!メイトラさん、いや、メイが言い出したことなのか。
だがなぜだ?俺は特にメイになにかをした覚えがない。
「最初に会ったときまさに一目惚れでした。ウルお兄様以上の美しい顔を始めて見て心が跳ね上がりました。それからギルドでのこと、新しい鍛冶の技術を開発したこと、他にも帝都での活躍をお耳にするたびに胸が躍るようでした。そしてあの戦争での立ち振る舞いや強さ、メイはもう目が離せませんでした。」
メイはどこかこちらを見ているように見えるが瞳の奥はどこか遠くのどこかへ向いていた。
俺は彼女の言葉を遮らないよう黙って話を聞いた。
「本当は最初にお姉さまが婚約するとお父様が話していたのですが、そのとき思わず止めてと叫んでしまったのです。そしてただの憧れではなく、本当に恋をしているときずいたのです。誰にも渡したくない、大好きなお姉さまにも。こんな卑しい私ではレイヌ様には似合わないと思ったのですが、それでも繋がりを求めてしまったのです。こんなメイお嫌いですか。」
いままでかっこいいだとか美しいだとか言われてきたが所詮外見のせいであった。
だが本人は恋だと言っていたが今のを聞いているとどうやら俺を愛している。
恋と愛は似ているようで大きく違う。
恋は相手に何かを求め、愛はただそこにいるだけでいいと想う。
ここまで直球に愛を告白されたのは初めてでどう反応していいかわからなかったが黙っているとだんだんと眼に涙を浮かべ始めた。
俺は何をしているんだ。女性が覚悟を決め、大勢の前で告白のようなことをしてきたのにこれでは否定しているようではないか。
それに俺はもう彼女を気にし始めている。違うな、恋をし始めている。
ここまでの純真な想いを受け止めずしてなにが神だ!メイの頬に流れる涙を指で拭い、俺は彼女の返事をする。
「ありがとう。メイの想いは確かに受け取った。正直に言うと戸惑ったがとてもうれしかった。こんな直接的で情熱的な告白されてうれしかった。メイトラ様。」
俺は跪きメイに手を差し出し、慣れないことに頬を染め告白をした。
「どうか私と婚約を結んでください。」
メイの目からは先ほどとは違う涙がこぼれた。
「これまたでっかい家だこと。」
「お父様が用意した家なのですが、私もウル兄さまも大反対したのですよ?」
「なんでだ?‥…とは愚問か。」
俺は今メイの案内の元にとある家に訪れていた。貴族となりメイと婚約を結んだのにいつまでも宿住まいじゃ示しがつかないと貴族の家が並ぶ、通称貴族街に家を用意してくれた。
そして確認に来たのだが‥…。
「なんだこの家は。禍々しすぎるだろ。」
「なんだか鳥肌が立ってきました。」
俺とリンの言葉通り、その家は薄暗く荒れていていた。
脳内地図で確認すると何体か悪霊がいるんだが、この家なにがあったんだ?
「実はこの家は今から二代前の国王の時代に処刑された伯爵家の持ち物だったのです。その伯爵は奴隷や平民を屋敷内で快楽の為に惨殺したのです。」
「その時代にも腐った貴族がいたんだなぁ。」
「はい、お恥ずかしい限りです。怒った国王は伯爵一族を処刑し、殺された人々を一級墓地にて埋葬したのです。」
そのころから王族は民を愛していたんだな。一級墓地といえば貴族どもが入る墓だ。
それほど申し訳なく思っていたのか、それとも公向けのアピールだったのか。
それは今になってはわからないが、こんな家を寄越してどういうつもりだあのおっさん!
とりあえず住みやすいように神魔法で浄化するか。
「《神の祝福》」
天から光が降り屋敷を包んだ。
邪気が消えて悪霊も消え去ったが、確認するとこの地は聖域になっていた。
‥‥‥これ、後々問題になったりしないだろうな?
やはり神魔法はほいほい使うべきじゃないな。
3人で屋敷に入ろうとしたら邪悪な気配を感じて振り返る。
「はっはっは!本当におまえはびっくり箱のようなやつだ!」
「うむ、さすがわ我が息子となる男だ!」
「あんたらここでなにしてんだよ!」
そこにはウルと王がいたがほんとなんでいるんだよ!暇なのか!
「お父様!お兄様!なぜこんなところに!?お仕事の方はどうしたのですか!」
「そんなもの、こんなおもしろそうなことの前には些細なことだ!」
「そうだ、息子の力を見るためにな。仕事など大臣に押しつけてきたわ!」
高笑いを続ける二人を止めるものはここにはいない。どうにかしてくれこの親子。
こんなのが家族とか俺嫌だぞ!
遅れました!
完全に寝落ちです!
言い訳はしない!
嘘です!マジすんません!




