13話 リングラット・ラブリカ
この薄汚れた空間の中で明らかに場違いであろう容姿の女性がそこにはいた。
髪は青く腰まで伸びているがかなり傷んでいて顔は澄んだ大きな瞳で肌は白く、ボロボロの衣服に身を包んでいて汚れているがそれでも俺には輝いて見えたが、しかし彼女からは嫌な気配がにじみ出ていた。
「彼女は?」
そう問うと男は困った顔を浮かべ嫌々説明をした。
「こいつは元冒険者です。仲間だという男たちが売ってきたのですがご覧のとおりの容姿でして二つ返事で買ったのですが、買い取り相手が次々と不幸な目にあって何度も帰ってくる厄介者です。こちらとしても勿体ないとは思いますが処分しようかと考えております。」
次々と不幸に‥‥ね。ここは鑑定さんの出番か。
―ステータス―
名前 リングラット・ラブリカ
性別 女
年齢 243
種族 エルフ
レベル 236
HP 5600/5600
MP 12000/12000
攻撃力 660
防御力 540
瞬発力 810
魔力 3900
知識 5200
幸運 320
スキル
・精霊魔法S・精霊視S・弓術B・剣術A
称号
・森の巫女
・不幸を呼び込むもの
加護
・創造神の呪い
―――――――
創造神の呪い!?あの駄女神は彼女になんか恨みでもあったのか?
おそらく-(マイナス)のリソースがたまたまこの子に多く注ぎ込まれたんだろうけどあとでルルに聞いてみるか。
リングラットは俺の視線に怯えと諦めの表情を浮かべていた。
あ~ダメだ、こんな顔見ると助けたくなる。それに部下のミスで彼女は今の境遇になっただろうからな、責任をとるのも上司の務めだ。
「彼女を頂こう。」
奴隷商の男は驚きやめた方がいい、後悔すると言っていたがそれでも買うと言った俺についに諦め売ることにした。
「では100金貨になります。ですがほんとにいいのですか?」
「しつこいな。いいから連れてこい。」
男に連れられ耳元でなにかを言われたあと、ビクビクしながらあいさつをした。
「り、リングラット・ラブリカといいます。エルフです。なんでもしますのでよろしくお願いいたします‥‥。」
あまりにも怯えていたので安心させようと頭を撫でると殴られると思ったのか一瞬身を強張らせたがすぐに顔を赤くし俯いた。彼女は俺よりも背が高いので撫でりづらい。
こうして奴隷商を後にし宿に行こうとしたがさすがにこの格好はまずいだろう。破れた部分からちらちらと肌が覗いている。まずは衣服を買おうと服屋へ向かった。
だが安物の服じゃダメだ。彼女に似合う服にしなければ!
そこで帝都でも評判の《魅惑の服店》へ行った。
もったいない、こんな高そうな店をと店へ入ろうとしないリングラットを無理やり引っ張り込み入店すると大きな眼鏡をかけたそばかすが似合う女性が出迎えてくれた。
好きなものを選んでと伝え自分も見て回っているとなにやらさっきの店員がほかの店員となにやら悩んでいた。なんか気になったので声かけてみる。
「なんかあったのか?」
「あぁお客様、騒がしくて申し訳ございません。実は第一王女様が服を注文してくださったのですが、どうにもできあがったものは今一つなにか足りないのです。」
そういう眼鏡の店員の話をききその服を見てみると白いワンピースのような服にところどころ金の糸で刺縫がしてあったが確かになにか足りない。あとワンポイントほしいところだ。
そういえばウルの家族自慢の中でアリエルさんの好きな花がどうのこうの言ってたのを思い出す。
「悪いけど花の図鑑ってあるか?」
「え?えぇあるけどなぜです?」
「少し見してくれ。」
そういうと別の店員が図鑑をもってきてくれた。調べてみると白い花だったがこれを縫ったら喜ぶと思うが少し難しそうだ。ここはスキル刺縫AとスキルデザインAをもつ俺がやるか。
「ちょっと縫わせてもらうよ。」
「お客様!?困ります!」
「やらせてみましょう。」
「店長!?」
なんと眼鏡の女性は店長だった。とにかく縫っていくと服を選んでいたリングラットも来て三人で俺の作業を見ていた。15分ほどで縫い終えて見せると店長と店員はすごい、きれいと褒めてくれてリングラットは服に見とれてポーっとしていた。
あとは周りの刺縫も合わせて手直しをしていると豪華な馬車が店の前へと止まった。
「こんにちは。服の進捗状態を見に来ました。」
入ってきたのはアリエルさんだった。
店長が出来上がった服を持っていくと彼女は口角を少し上げた。ずいぶん嬉しそうだ。
「すばらしいわ。全体の印象もそうだけど特にこの花の刺縫。わたしの好きなラベラだわ。ありがとう、やっぱりこの店に頼んでよかったわ。」
「ありがとうございます。実は大部分は我々で作ったのですがその花の刺縫と手直しはこちらのお客様が手を貸してくださいました。」
アリエルさんは俺に気づくとまた口角を少し上げた。
「あら、久しぶりですね。戦闘だけでなくこのような繊細なこともできるのね。」
「たまたまだよ。でも喜んでくれて俺もうれしいよ。」
するとアリエルの隣から執事が紙を店長に手渡しそのまま城へと帰っていった。
「店長やりましたよ!ついに印書をもらいました!!」
「うん、やったわね!私たちの苦労がついに実ったのよ!」
「喜んでるとこ悪いけどその紙はなんなの?」
二人はようやく俺の存在を思い出し、謝ってきた。
「ありがとうがざいますお客様!これは印書といいこれをもっている店は王室御用達という最高の宣伝効果があるんです!これもお客様のおかげです、お名前をおしえてください!」
「レイヌだ。お礼に服を少し値引してくれるとありがたいな。」
「そんな!値引なんてしません、無料でもっていってください!」
なんていわれたので遠慮なく4着もらいリングラットと店をあとにした。
寄り道をしながらやっとのこと宿につくとおやっさんとユーリちゃんがカウンターに座り休憩していた。
「おう、久しぶりだな。飯を食ってたのは知ってたが元気そうで何よりだ。」
「おかえりレイヌさん!」
俺は抱き着いてくるユーリちゃんを受け止めただいまといい追加の宿代を渡して身体を拭く用のお湯を部屋に持っていくよう注文をした。
「あいよ、すぐ用意する。しかし奴隷連れとはな。買ったのか?」
「その女の人だれ?」
おやっさんは笑いながらユーリちゃんはなぜか怒りながら聞いてきた。
「紹介するよ。彼女はリングラット・ラブリカさんだ。これからの活動の相棒になってもらおうと思う。」
紹介も済んだし呪いの方も何とかしよう。だが神魔法はあまり人目にさらしたくないから部屋に戻ってからにすると決め2階に上がろうとしておやっさんに呼び止められた。
「ちょいと待った。おまえの部屋は一人部屋だろ。大部屋かもう一つ部屋取るか決めな。」
「一人部屋にして!」
ユーリちゃんは一人部屋を進めてくれたが大部屋のほうが安いのでそちらにし、新しい鍵をもらい向かった。
部屋に入るとまずリングラットさんをベットに座らせ呪いを解くためにまず現状の話をした。
「さて、あの男が言うにはリングラットさんを買ったやつらは不幸なことになったらしいね。」
「はい、ですがどうぞ私のことはリンとお呼びください。なんでもやります、盾になることも夜の相手も精一杯やらせていただきます。」
おっと彼女はなにか勘違いしているな。
「違う違う、盾にする気も夜もない。ただ俺の横にいてともに歩んでほしいだけだ。」
「ですがそうしないと私には価値がありません。私のまわりでは昔から不幸になるんです。だから、だから、どうか捨てないでください。」
そう言い終えたとたんはらはらと涙を流しながら懇願した。
呪いのことを伝えたいが口で言っても信じないだろう。ステータスが自分で見られたらいいに・・・・。ルルに聞いてみるか。
ありがとうございました。




