9話 ギルドで大騒ぎ
2018.10.24 いろいろと修正
鍛冶の国テメコナ→技術国ヴェルカー
私は無限収納に入っていた魔物素材の方を次々と出していった。
私っていうのもなんか違和感がでてきたな。
昔の一人称に直すか。
「待て待て!床が血まみれじゃねえか!そのスキルは時間まで止めるのかよ。解体所まで移動してから出してくれ」
言われてみればたしかに素材は新鮮そのものだ。
これはいいことに気づいたな、ラッキー。
ギルドの裏に回るとこれまたでかい倉庫のような建物があった。
中に入ると作業服をきた人たちが困った顔をしながらこちらにやってきたがなにかあったのか?
「バリスさん、またゴブリンの解体ですか?いい加減飽きましたよ。親方もこんな仕事やれるかって出てきませんし歯ごたえのある素材用意してくださいよ」
バリス?だれだっけ?あぁギルド長の名前だ。
バリスはそんな愚痴を聞き終えると頬をピクピクしながら黙っていた。
一見怒鳴りそうな顔で文句を言いに来た作業員もビクビクしだしたが俺にはわかる、これは笑顔を我慢してる顔だ!なにがそんなにうれしいんだよ。
「そうか、お前たちの言い分はわかった。べリルの親父にもストレスを与えているみたいで俺も現役を続け後輩たちを指導していればと反省している。今回の素材だ、ゴブリンを全部出してくれ」
言われるがままにゴブリンの死体を全て出した。
まだ血が滴る状態に驚いたのか何もない空間から出てきた事に驚いたのか、バリスに文句を言っていた作業員は「うおっ!?」と声を出して後ずさった。
他の作業員が数を数えていたが全部で225体だった。
「こんなにたくさんの素材初めてですよ。しかもまだ温かい、これならいい肥料になりますよ」
ほぅ、ゴブリンは肥料に加工されるのか。
「こんだけの量はとてもじゃないがここにいるやつらじゃ足りないな。おい、休んでるやつら全員呼んで来い!それからだれか親方の家までだれか行ってこい。またゴブリンかとか文句言うだろうけどそれでもだ」
その場が慌ただしくなるなかでバリスが「落ち着け!」と叫び作業員たちは困惑した状態になった。
「だけどこんな状態の素材、急いで解体した方がいいんですが・・・」
「フフフ、誰がこれだけといった」
作業場がザワザワと「まさか・・・」とか「これ以上のものなんて・・・」とか口々に囁き出した中まるで悪戯が成功したような顔で必死に笑顔を我慢しているバリスはとうとうドッキリを実行する。
「じゃぁ他の素材を順番に出してくれ。ただし目玉はまだな」
後半は俺にだけ聞こえるように小声で言ってきた。
まずは大蟷螂を出すとおぉっという声が。
次に岩芋虫を出すとおぉ!っという声が。
次第に高まる驚きの声に、なんかだんだんと俺も楽しくなってきた。
次々と出していくと驚きの声が大きくなっていきとどめに殺人熊を出すとボルテージがMAXになり、もはや雄たけびと化していた。
ギルド職員や冒険者たちも野太い雄たけびを聞き、何事かと覗きにきている。
この調子で色付き出したら興奮しすぎて死ぬんじゃないだろうか。
「すげぇ!すげぇよ!これなら親方も飛んでくるぜ!」
「……プッあははははは。驚くのはまだ早い!レイヌ、止めだ!」
誰に止めをさすんだよ。
だがギルド長の言葉は絶対だ、これで昇天してくれ。
ドサッと並んだ色付きの殺人熊にもはや声も失った作業員たちが見ていて滑稽だ。
「うわぁ、赤のほうはギリギリ毛皮がとれるが中身がダメそうだな。緑と黄は穴だらけじゃねぇか。どんな攻撃したらこんなになるんだよ」
確かに二体は素材としての価値はないだろうが、それでもランクBの死体は度肝を抜くには十分だみたいだ。
最後に狂気熊をだすととうとう気絶者がでてきた。
お、バリスも目を見開いてる。
「なんだこりゃ・・・・。なんだこりゃ!!ランクAの魔物がこの状態ってどんだけ余裕だったんだよ!」
そんなバリスの大声に文句を言っていた作業員が我に返った。
「お、おい。気絶したやつを叩き起こせ」
「ですがこんな素材はじめてです。我々だけで解体できるかどうか・・・・」
「バカ野郎!引退したジジイ共も全員集めろ!今後あるかないかの大仕事だ!てめぇら気合いれろ!」
「「「おう!」」」
作業をはじめる風景を見ていると外でバリスがこっちへこいと手招きしているのが見えたのでこの場を後にした。
「いやぁいいもんを見せてもらったな。色付きの素材はいい装備や薬の材料になるんだよ。こりゃ俺たちも大仕事になりそうだ」
ケラケラと笑う顔を横目に見ながらそういえば採取依頼を完了していないことに気づいた。
「それより採取素材を確認してくれよ」
「やべっ完全に忘れてた。だがなぁ、たかが青ランクの素材だしな。さっきのインパクトが強すぎて拍子抜けだぜ」
む、そんなこというなら火山で採取した素材も出してやろう。
カウンターで戻り改めて素材を渡した。
「うん、太陽草が52本と痺れ茸が30本、それから光苔が500gですね。依頼達成、おめでとうございます。ですがこっちの薬草と鉱石は私にはわかりませんね、少々おまちください」
受付嬢はバリスをつれてきてまた奥へと戻っていったが、残念。
ちらちらと隠れてこっちを見てるのがまるわかりだ。
「まったくあいつは。また鉄拳が必要なようだな」
「いいじゃないか。幸い今は人が少ないし、おおめに見てやんなよ」
「人がいない原因はお前なんだけどな。みんな解体所で見学中だ。どれ、わからない素材だったな。ふむふむ。・・・・・ハァ!?なんだこりゃ!?」
はいっ本日2回目のなんじゃこら頂きました。
なんてふざけてると血走った目でずいっと顔を近づけてきた。
「お、おまえこの薬草と鉱石はどこで手にいれたんだ?」
「薬草は森の中、鉱石は火山からだ」
「火山ってバリアムラ火山か!?あの龍がいる!しかも薬草は森の中だと。捜索隊を急いで編成する必要があるな」
「そんなに慌てることか?」
バリスは俺の言葉にまるで信じられないものを見る目で見てくる。
やめろよその目。
なんかいやだ。
「何言ってやがる!Aランク素材だぞ!こんなにあればとんでもない装備ができる!しかもこの月の滴草はハイポーションの原料だ。すごい貴重で正常な気が満ちている場所にしか生えないもんだ。急いで取りにいかなければ魔獣共に食われちまう」
なんか大事らしいが回復薬なんて必要ないし最高の武器もってるからなぁ。
でも防具は皆無だった。
これで作ってもらおう。
鍛冶のスキルは図書館で手に入れたがランクAだし体験はしたことないからな。
こんなことなら神界でへ―ルイスに誘われたときやってみるんだった。
「獄炎鉱石は悪いが防具を作りたいんだ。そっちの手取りは少なくなる」
「なに、ちっとでももらえるだけ御の字だ。しかし討伐といい採取といいおまえはびっくり箱みたいなやつだな。鍛冶師は紹介してやるがはっきり言っちまうが、あいつは気分次第で品質が天と地ほど違う。《技術国ヴェルカー》に行った方がいいぞ」
そうなのか、だがしばらく滞在する以上帝都にいる鍛冶師を試してみるのもいいかもな。
鉱石も唸るほどあるしいいだろう。
さっそく行ってみるとしよう。
これで用事は終わりだとバリスに告げてギルドを後にする。
「買取金額は相当なもんだから時間がかかる。3日後に来てくれ」
背中でその言葉を受け取り鍛冶場へと向かった。
帝都の地図には一度目を通したからすぐに着くと思ったがなかなか見つからなくて苦労した。
通りすがりの人に聞いて右往左往しながら目的の場所まで来たが、これはいったい‥‥。
そこにあったのは今にも崩れそうなボロ家だった。
到底鍛冶施設があるとは思えないし、やっぱ止めようかなと回れ右して帰ろうとすると肩を掴まれた。
「おう坊主。おめぇうちに用あんだろ」
気ままに採取したのにこんな騒ぎに。




