8話 初めての色付き
2018.09.28 いろいろと編集しました。
「いや~助かった!礼を言うぜレイヌ」
「助けになって何よりだおやっさん。でもいいのか?宿代銅貨5枚までまけてもらって」
共に戦場から帰還した私たち二人の間には友情が芽生え、おやっさんと呼び合う仲になっていた。
「いいんだよレイヌさん。こっちはすごく助かったんだから」
ユーリちゃんとも仲良くなり笑いながらおしゃべりしている。
今年で11歳になるらしいがよくいままで二人でやってきたものだ。
今夜の報酬として宿代をまけてもらい、ついでにこの店の名物であるラード牛のステーキもごちそうになった。
食事には満足し、二人におやすみを言った後、明日やることをリストアップしながら夜のまどろみへと溶けていった。
ここ数日の行動は単純なものだった。
朝から晩まで図書館に入りびたり夜は宿の手伝いそして眠る。
実に充実した時間でスキルも火魔法はAとなり洗濯はSS,掃除はSとなっていた。
他にも土、水、風の魔法をAまで手に入れ称号もいろいろと増えた。
深夜になりユーリちゃんから教わった掃除テクを試しているとついに掃除スキルもSSとなっていた。
私は世界を救いに来たのに、なにをしているんだろう?
ベットに横たわり明日は討伐に出るかと思っていた。
条件が満たされました。《掃除》《料理》《洗濯》のスキルが合併し《家事》スキルを入手
しました
なんと、スキルが合体するのか。
なんかスキル集めが楽しくなってきたが、こんな摂理がこの世界にあったか?
翌日私は帝都外壁の外に出ていた。
さぁ冒険者として働くか。
帝都に入る際は昔の知識があるだけに当たり前だと思っていたが、改めて見ると二重に建つ外壁は修繕の跡だらけで、元の形が分からないほどだ。
帝都には犬や猫、鹿や狸などの比較的無害な動物など様々な生き物が詰まっている。
それほど寄り添わなければ生きられない世界になってしまったんだなと、何度目かの謝罪をそれに向かい呟いた。
外側の外壁(どうやら犠壁と呼ばれているようだ)から5kmほど離れたところまで移動し、森の中へ入って採取クエストをこなしていく。
森はどこか静かで動物たちの鳴き声も聞こえない。
いやおかしい、動物の音’’さえも’’聞こえないのだ。
都市に入れないが、それなりに力のある動物や魔獣は障害物がある場所を住処にしているはずなのに、である。
周りの状態がわかればよいのだが。
考えているの脳内に周辺の地図が現れた。
これが脳内地図作成かな?
この世界のスキルはルルが作るので、始めて見るスキルは使いに困るな。
しばらく地図をみていると奥の方から白い点が10個ほどこっちへ向かってきている。
なんだこれ?
待っていると点はどんどん近づいてくる。
すると目の前から魔物がすごい勢いでこちらへやってきた。
【大蟷螂】ランクD
【殺人熊】ランクC
【岩芋虫】ランクD
どんどんくるな。
とりあえずさくっと斬り倒してから後続の団体を待ってみる。
2時間後
まだやってくるよ魔物が。
さっきから先の三種類と
【殺人針鼠】ランクC
【肉食蝶】ランクD
そして【小鬼】らが絶え間なくやってくるがどうも様子がおかしい。
まるで何かから逃げているようだ。
切った魔物が300を越したころピタッと魔物たちが消えた。
その代わり木々の踏み倒されるがだんだんと近づいてくる。
なんだろう、なにか違和感を感じる気配だ。
《気配察知》のスキルを入手しました
バキバキとへし折れた大木がこちらへ飛んできてそれを腕ではじき飛ばすと、気配の主たちがのっそりと現れた。
【殺人熊(赤)】ランクB
【殺人熊(緑)】ランクB
【殺人熊(黄)】ランクB
おいおいあれが色付きか、あのような魔物を作らせた覚えがないが危険だな。
しかもギルド長の話し方からするとそうそう会うものじゃないと思ってたんだが一気に3匹か。
正面で見つめ合っていると殺人熊(赤)が真正面から突進してきた。
それを軽く飛び背中に手を置きそのままやりすごそうとしたら手をおもいっきり火傷した。
あっつ!色から言って火の属性か。
属性に適した効果が魔物には現れるらしい。
それだけではない、さっき斬った種と同じはずなのにスピードも力も桁違いだ。
こりゃ普通の人間には倒すのが困難だな。
火傷の方は瞬く間に治っていく。
そうだ、魔法使ってみるか。
殺人熊(赤)に狙いをすませ発動させる。
図書館で読んだ本には詠唱が書いてあったが調べているうちに一つの仮説が浮かんだ。
この世界の魔法が発動するために大事なことはイメージだと思う。
詠唱自体が魔法のイメージを固定化させるためのものだとすると、イメージがより強固であれば詠唱無しで放てるのではないだろうか。
宿の裏庭で初級魔法を発動させてみると案の定変わりなく発動できた。
いや、むしろ無詠唱のほうが威力が高かった。
それがなぜかわからなかったがとにかく詠唱無しなら戦闘の幅がかなり広がる。
そしてコンマ数秒のタメを使い魔法が発動する。
「《水嵐》」
殺人熊(赤)の下から水の竜巻があらわれ飲み込んだ。
水の水圧で身体が潰されていき赤い竜巻となり最後にはひしゃげた残骸だけが残った。
一体片づけたがまだ2体いるのを忘れてはならない。
殺人熊(緑)と(黄)は左右に分かれて挟み撃ちをする気だ。
(黄)の方は弱点の属性魔法を覚えてないし、昔の知識をあてにもできないからおもいっきりの魔法を叩きこむ。
「《岩礫》」
攻撃を飛んでかわし、真上から2体まとめて放つ。
飛び出した石の礫はやすやすと強化したはずの身体を突き抜け穴だらけにしておく。
一通り戦闘を終え気づいたら素材など取れるような状態じゃなかった。
やっちまったなぁ、もっときれいに倒すんだった。
だが不穏な気配はまだ消えない。
パキリと音が聞こえ振り返ると、さっき倒したものよりも2回りもでかい熊がこちらをにらんでいた。
【狂気熊(黒)】ランクA
図体に見合わず薄い気配、普通なら完全にビビる場面だろうが私からみればいい飯の種だ。
今度はきれいに殺そう。
そんな態度が気に食わなかったのか怒りをあらわにした狂気熊が雄たけびをあげ襲ってきた。
それを寸前のところでかわしすれ違いざまに神剣術の技を決める。
「GuAaaaaa!!」
「おそい。初撃壱之型《三日月》」
着地しこちらに向かって唸っていた狂気熊はやがて黙りズルリと首を落とした。
攻撃から決着までのタイムラグは相手が死に気づいていなかった証拠。
私は大太刀に付いた血糊を払うと満足のいく結果についニヤニヤとした。
初撃壱の型《三日月》
それは瞬速の抜刀術。
そのあまりの速さに相手は死んだことにも気づかずにいるまさに神業。
まぁ神界で私が作った型なので、神業は当たり前だが。
地図をみてもこれ以上魔物はいないようなので帰りはゆっくりと素材を集めながら帝都へと帰っていった。
「おかえりなさいレイヌさん!怪我はありませんか?顔は?顔は無事ですか?」
やたらと私の顔をきにしてくる受付嬢を見てるとさっきまでの戦いが嘘のように気が抜けてしまった。
「ただいま、とりあえずクエストの確認だけ頼む。あと途中で魔物を倒したんだが素材を提出すれば討伐証明になるか?」
「えぇ!魔物ですか!?本当に怪我はないんですよね!?さぁ奥の部屋でじっくり検査を‥‥イタッ!」
受付嬢が頭をおさえおそるおそる振り返るとそこには鬼のような形相のギルド長が睨みつけていた。
「おまえこそ奥にひっこんで仕事しろ!!」
「はいぃぃぃぃぃ!」
ああかわいそうに、泣きながら本当にひっこんじゃったよ。
「もう少し優しくしたらどうだ?」
「ふん、あれくらいでいいんだよ。で討伐確認と採取確認か、素材はこっちで確認と査定をする。討伐の方は冒険者証に魔物の魔力が登録されるからカードを出すだけでいいぜ」
そう言って渡した冒険者証を別の魔道具に差し込むと空中に画面が投射され日付とリストが書かれていた。
「おいおい。青クラスが魔物300体以上撃破かよ。さすが金色の5000は違うな。っておいまて!色付きだと!?しかも殺人熊3体に狂気熊1体!?おまえよく無事だったな」
「こんなの準備運動にもならんかった。素材みるか?」
「もちろんだ!」
かなり食い気味に即答してきたので若干引きつつ無限収納から素材を取り出した。
魔物の名前って考えるの大変だね。




