第38話 竜の鎮魂歌
もうねえ!!胸糞描写が辛くてねえ!!
何度下ネタを挟みたいと思ったか!!!!やっと書ける!!!!!!!
※断種したブツの処理のお話があります。
プリムラの家や菜園は防護魔法と女侯爵の結界もあり無事だった。
「畑を荒らすなんて悪い竜やね」
それでも竜が暴れた為、畑の一部が抉れている。
プリムラはカンカンに怒っていた。
「まあ、一国を滅ぼす力を持っている分、まだマシだがな」
バーンベルク侯爵領の結界も相まって、被害は少ない。
キーゼルの左足はバーンベルクの護衛が回復魔法を掛けたのですぐに動けた。
とは言え、諸々の片付けは必要だろう。
「領地管理人カルミアの衣服です。プリムラ嬢や皆さまのものも」
ちゃっかり後援の護衛が全員分の服を持ってきていた。
「じゃあ、着替えてこい。カルミア、プリムラの着替えを頼む」
「ええ」
戦闘で破れた服の着替えの為、プリムラとカルミアを家に入れキーゼルは自身の服の替えを取り脱ごうとしたがルビアに止められた。
「キーゼル。あなたも中で着替えなさい」
「いや、女どもが着替えているのに、異性が入るのは駄目だろ」
「‥‥‥そう、だったわね」
ルビアはキーゼルが前世のプリムラだと言う事で、その辺で混乱しているようだ。
キーゼルは不貞腐れて呟く。
「悪かったな、やさぐれていて」
「そうじゃないの、まだ、慣れなくて。
‥‥‥ところで、どうして竜紋のある片目を閉じているの?」
「…、いや。俺のこの目はジゼル…今のプリムラの瞳を介しているから、着替えとか見えちゃう…」
ドタドタと走る音と、カルミアが制止する声と同時だった。
「ゼーちゃん、模様が無くなった!管理人さんも!!」
スパーンと戸を開け、胸を解放的にしたままのプリムラが出て来た。
秒で自身の替えの服でプリムラの胸を隠すキーゼル。
「コラッ!!そんな姿で出てくるんじゃありません!!」
(プリムラに接する姿が母親みたいだから、混同しちゃうのかしら)
「ゼーちゃんは?あるん?胸の模様」
「‥‥‥え、…は?」
キーゼルの口から間の抜けた声が漏れた。
「どうしたん? ゼーちゃん」
胸元を隠されたプリムラがきょとんと首を傾げる。キーゼルは咄嗟に自身の胸元を確認した。
「消えた…あのクソトカゲの竜紋‥‥‥。ちょっと待て」
プリムラの顔を自身へ向けさせる。翡翠色と琥珀色の瞳が交錯する。
(……在る)
互いの片目に刻まれた竜紋――ジゼルとレーヴェンの絆を象徴するそれは残されていた。
戸惑うキーゼルの背後に、着替えを終えたカルミアが歩み寄る。
「私も確認しました。偽りの竜紋は……完璧に消えています」
カルミアは自身の胸元を見せた。
……確認の為とはいえ、現世で男性のキーゼルとしてはあまり見るべきではないと、直ぐに視線を逸らしキーゼルはプリムラの衣服を整えた。
「え? でもお目目にあるんは残っとるのに? ゼーちゃんと一緒やよっ」
プリムラはキーゼルの手を取り、嬉しそうに笑う。その笑顔の奥で輝く瞳には……確かに竜紋が宿っていた。
「それはお前とレーヴェンが解消を望んでいないからだろう。
……が、あのクソトカゲが粛々と解消を望むとは思わねえ」
一瞬そう思った事はあるのだろう。
奴の論ずる『愛』を刻みまくった結果、拒んでいたから。
そこを突かれ、解消の運びに持ち込んだ者に大いに心当たりがあった。
「……アレの始末もあるし、報告しておくか」
諸々の片付けの際、燃やしたはいいがリンドバルドの去勢したブツの処分に困った。
火力が足りずに焼け爛れたそれはデカデカと鎮座している。
「‥‥‥‥‥‥」
触りたくない。プリムラにも持たせたくない。
忌々しいことに、竜紋がある琥珀色の瞳を介してじゃないと見えないので、間接的にプリムラに見せてしまうので不愉快極まる。
「小間切れにして畑の肥やしに…嫌だわ、したくねえわ」
「うちも嫌や」
その時、珍客が現れた。
数体の竜がその鎮座する魔力の残滓を嗅ぎつけて結界外に居た。
リンドバルドの死を知り、歓喜の涙を流す竜たち。
そして、キーゼルに感謝と陳謝を述べた。
キーゼルは沈思黙考の末、鎮座するそれの処分方法を決めた。
焼けた肉塊となったソレはギルドとしても価値はない。
と言うか、労働賃金にしたくねえ。
なので、告げた。
「おい、狂った黒竜は地獄に堕ちた。テメーらの同胞に伝えたいなら、証拠として持って行け」
沈痛な面持ち…というか嫌そうにはしていたが、その死を知らぬ同胞もいるので彼らに見せた後、火山に捨てると告げてきた。
「…と、言っております」
「その辺は女侯爵に報告しておくか。万が一に力の糧にしたいと文句言われても困る」
バーンベルク女侯爵は、プリムラの菜園の端に鎮座するブツを見てプルプルと身体を震わせる。
焼け焦げた肉塊――もとい、リンドバルドの元男性自身であったものは、シルヴィナ・バーンベルク女侯爵の目の前に鎮座している。
近衛兵たちはその異様な、焼き縮み、成人女性程ある物体と主君の反応に戦々恐々としている。
「ふっ……ククク……あっはっはっはっは!!なんという滑稽な形骸か!かつて傲慢の限りを尽くした竜の末路がコレか!!!」
「こんな汚いもん、プリムラにもルビアにも持たせられねえ。で、だ。
竜のチンコの処理、溶岩にぶち込んで問題無いか確認したい」
キーゼルはそう陳述した。
「私が?」
「ああ。あんたが連中に一番詳しい」
「そんな義理は無いぞ」
だがシルヴィナは愉快そうに笑った。
「まあ、ここの作物の肥料にされては困るし、良いだろう。
竜の死骸や身体の一部は、悪竜ならば高位の術式を施した後、完全に消滅させる。
だがこれは……」
シルヴィナは肉塊を品定めするように見下ろす。
「魔力も殆ど抜けているし、危険性は皆無だろう。だが、放置するのも悪趣味だな。
お前の言う通り、リンドバルドに恨みを持つ者が納得する形で処理するのが妥当だろう」
「なら、結界の外の野良竜に預けとくよ」
「……好きにするがいい。ああ、そうそう。
お前、地獄の統括者に気に入られたぞ?そうそう出てはこないだろうが、勧誘に来るかもね」
「ああ!?」
「安心して良い。アレは武人故、女子供を人質にとる下衆ではない」
腕試しに来るやもしれないが、その辺りは信頼できるとのこと。
女侯爵はまだ笑いながら踵を返した。
「クククッ、ご立派なモノだけは透明にならなかったか。キーゼルには見えぬようだが。
まあ、早々に灰塵となるがね」
キーゼルは竜と交渉し、陳述通り竜たちはその証拠を持ち帰りたいと申し出た。
リンドバルドの死を信じきれない仲間たちのために、という理由だった。
キーゼルは肩をすくめてブツを渡した。
数日後――
火山の麓。
夜空に向かって巨大な火柱が上がり、巨大な影たちがその炎の周りを旋回していた。焼却中の熱気が周囲の空気を揺らめかせている。
「オォォォォオン!」
「グオォォォン!」
竜たちの歓喜の咆哮が山脈に木霊する。
彼らにとっても、ようやく長年の悪夢が終わったのだ。
キーゼルはリンドバルドに殺された者達の鎮魂を兼ねてルビアと互いの剣をぶつけ音を奏でた。
ガチン、と音が鳴り響く。
「カッコイイなぁゼーちゃんもお姉ちゃんも」
プリムラもやると言って来たので、流石に危ないのでキーゼルとお玉で叩かせておいた。
使い物にならなくなったが、まあいいだろう。
かつての恐怖の権化であるリンドバルドの身体の一部は、こうして溶岩へと沈降していった。




