↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
72/73

072 ガッツ③

 フィルレインが話す特殊な目。エルフの間では精霊眼と呼ばれているらしいが、これがエルフの王族であるフィルレインが勇者パーティに選ばれた理由だ。


 もちろん、フィルレインは魔法の腕も弓の腕も超一流だ。でも、エルフの王族という貴人が魔王暗殺という危険な任務に就く理由。一番の要因は精霊眼だと聞いていた。


 オレにはよくわからないけど、精霊眼を持つフィルレインは、普通にエルフには使えない魔法を使えたり、相手の魔力が見えたりするらしい。


「あの場でも言いましたけど、あのジゼルという少女は、わたくしの十倍以上の魔力量を誇っています。エルフの中でも随一の魔法使いであるお父様と比べても、五倍ほどありました……。あんな存在がいるだなんて、想像もしていませんでしたわ……」


 俯きながら、震える右手を隠そうともせず、フィルレインは呟く。


 むしろ、話すことで思い出してしまったのか、右手の震えはひどくなっていた。


「たしかに、すごいことだとは思う。王族であるおぬしの言葉じゃ、ワシは信じよう。ワシには見えぬから何とも言えんが、それはそれほどまでに異常なことなのか? 誇り高いおぬしが、そこまで恐怖するほどまでに」


 オレたちを代表して、ベルリッヒンゲンがフィルレインに尋ねる。


 そうなのだ。オレは魔法を使わないから、フィルレインの説明だけでは、よくわからないというのが正直なところだ。


「わたくしは今年で百十八になりますが、物心ついた時から魔法の訓練を欠かしたことがありません。これは三百歳を超えるお父様も同じでしょう。その中には、当然ですが魔力量を伸ばす訓練もありました。わたくしは人間の生態にはあまり詳しくありませんが、人間は百年も生きないのでしょう? この年月の差がエルフが他種族よりも魔法が優れている理由でもありますわ」


 そこまで一気に言うと、フィルレインはオレたちの顔を順番に見渡していく。


「ハイエルフは、エルフの中でも特に魔法に優れています。ようはもともと魔法の才能のある種族。それがハイエルフですわ。そんなわたくしたちが、血のにじむような努力の末に手に入れたもの。それを嘲笑うような量の、暴力的なまでの魔力量をなぜ人間の、それも少女が持っているのですか?」


 フィルレインの質問に、誰も答えることができなかった。


 エルフが魔法が得意と言うのは、王都のスラムで生まれ育ったオレでも知っているような一般常識だ。フィルレインの言葉を借りるならば、ハイエルフはそのエルフ以上に魔法が得意らしい。


 そんなハイエルフであり、これまで努力をしてきたフィルレインが怯えるほどの魔力量。そして、その魔法技術。


 たしかに、オレよりも年下の、エルフから見れば赤ん坊のような歳の女の子が、フィルレインの十倍以上の魔力を持っていたら、それは恐怖を感じてもおかしくないかもしれない。


 フィルレインの努力を思えば、ただの才能という言葉で片付けたくない気持ちもわかる。


「じゃがのう。おぬしがそう言ったところで、実際におるのだから仕方あるまい? なぜと考えても、答えなんぞありゃせんぞ?」

「私も魔法を使う故、それがどれだけ異常なことかわかるつもりだ。だが、逆に考えれば、そのような逸材を味方にできれば頼もしいことこの上ない」

「フィルレインは、ジゼルを仲間にすることは反対なのか?」

「反対なわけないでしょ! ぜひ仲間にするべきですわ! むしろ、仲間にしないなんて選択肢はないと言ってもいいでしょう!」


 よかった。どうやら、フィルレインはジゼルを仲間に加えることに反対したいわけではないようだ。


「じゃあ――――」

「むしろ! わたくしはあなたたちがジゼルに粗相をしないかどうかの方が心配ですわ!」


 なんだか風向きが一気に変わったな?


「どういうことじゃ? 粗相したのはまな板女じゃろうに」

「ぶっ飛ばしますわよ、地底人?」

「ガハハハッ!」


 エルフとドワーフって仲が悪いって聞いていたけど、フィルレインとベルリッヒンゲンに関しては、たまに仲良さそうに見えるんだよなあ。


「はぁ。いいかしら? わたくしにはガッツの言うマフィアというものが何のかよくわかりませんが、彼らは戸惑いもなく彼らの聖女のために世界を敵に回しましたわ。あの場はガッツというよりも、ジゼルが治めてくれたと見るべきです。ガッツがどのような条件を提示したところで、ジゼルが頷かなければ、わたくしたちは本当に殺されていたでしょう」

「それは……」


 たしかに、そうだろう。フィルレインの言う通りだ。


 オレの見立てだが、あの腐蝕銀鎖というマフィアの中で、ジゼルは相当高い地位にあると思う。強面のマフィアたちが、みんなジゼルに敬意を払っていたしね。そう間違った推論じゃないと思う。


「つまり、わたくしたちはジゼルに助けられたことになります。そして、ジゼルは治癒魔法使い。決して大袈裟ではなく、わたくしたちの生殺与奪の権を握っていますわ」

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。