040(社長と相席)
俺は食券9枚を財布に入れて、1枚手に持ち、厨房へ行く。今日はパスタな気分だ。食券を厨房へ出す。
「スパゲッティをお願いします」
「ちょっと待っててね〜」
俺は行列から外れ、暫し待つ。ものの十数秒でスパゲッティが出てきた。
「スパゲッティの方、おまちどおさま。今日はボンゴレよ」
俺はスパゲッティの皿と箸が乗せられたトレイを両手で持ち、空いてる席を探す。窓際は埋まってるし、奥に座るか。
俺は一番奥の席に座り、スパゲッティを食べ始める。麺類は箸で食べる。これぞ日本人たい!
「松本君、そこ私の席だよ」
俺は顔を上げると、遠藤力蔵社長が居た。
「すみません、すぐ退きます」
「いや、そのまま。君とはまだ話したい事がある」
社長は向かいの席に座る。しょうが焼き定食か。
「何ですか、社長」
「噂によると、君は探偵になりたいそうだな」
「ええ、まあ」
「理由は?」
「10年前に母が蒸発してその行方を探る為です」
「警察はどうなんだい?」
「お手上げのようです。もしかしたら、アメリカに居るのかもしれません」
「なるほど、それで明暗寺に。……どうだろう、飯松ウィステリア工業の業績が回復したら、慰安旅行はアメリカにしようか?」
「ありがとうございます」
「州や地域はどこがいい? テーマパークリゾートとか」
「出来れば、ラスベガスにしていただきたいです」
「検討しておこう。お母様の蒸発した理由は解るかね?」
「さっぱり解りません」
俺はアサリを食べながら、麺をすする。社長はしょうが焼きにかぶりつく。豪快な人だ。
「2ヶ月もすれば、各部署で新入社員歓迎会が開かれる予定だったが、六道さんが亡くなった。……松本君、手が空いた時でいいから、独自調査をしないかね?」
「独自……調査ですか」
「今この会社を取り巻く諸悪の根源は、六道さんの殺人事件だ。真犯人を捕まえたら、いくらか出そう」
いくらか? 金額を聞くのは野暮だな。数十万とみておこう。
「分かりました、やります」
「頼んだよ」




