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本に結ばれた人~知識と生存の本〜(ネギを握りしめて異世界に落ちた私の、のんびりサバイバル)  作者: 式文紫
第2章 秋麗~命のぬくもりを紡いで~

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第53話 小さな家族

第53話 小さな家族


 朝。


 紬は、いつものように目を覚ました。


 外から聞こえてくる鳥の声。


 風の音。


 そして――。


「……あ」


 昨日まで眠っていた小鳥が、目を開けていた。


 白い羽毛を小さく震わせながら、辺りを見回している。


「おはよう」


 紬がそっと声をかける。


 小鳥は紬を見ると、首を傾げた。


「体調、大丈夫?」


「ピィ」


 小さな声。


 もう一度。


「ピィ、ピィ」


 元気そうな鳴き声に、紬の顔がほころぶ。


「よかった……」


 昨日まで苦しそうにしていたのが嘘みたいだ。


 小鳥は羽を広げる。


 そして、ぱたぱたと部屋の中を飛び回った。


「ちょ、ちょっと……」


 紬が慌てて目で追う。


 けれど、小鳥は元気いっぱいだった。


 ルーチェも嬉しそうに、


「ギョ!」


 と鳴く。


「ふふ。元気になったね」


 アルブレーヴも、いつものように静かに小鳥を見つめている。


 その角に――。


 小鳥が、ちょこん。


「……あ」


 角の間に、小さな白い身体がとまった。


 そして、もう一羽。


 ルーチェまで反対側の角へとまる。


「ふふっ」


 なんだか、妙に似合っている。


 アルブレーヴは気にする様子もなく、そのまま立っている。


「仲良しだね」


「ギョ」


 ルーチェが嬉しそうに鳴いた。


 紬は二羽を眺めながら、ふと思う。


「今日は……外に出てみようか」


 小鳥の体調も良さそうだ。


 紬は準備をして、外へ出る。


 一人と三匹。


 ゆっくりと、いつもの森へ歩いていく。


 けれど。


 紬は、まだ気づいていなかった。


 家の屋根に。


 白い小鳥が三羽、とまっていることに。


「……?」


 ふと、上から声が聞こえた。


「ピィ、ピィ」


 紬が顔を上げる。


「……あれ?」


 屋根の上に、白い小鳥がいる。


 三羽。


 小さな身体を寄せ合うようにして、こちらを見ていた。


「……シロエナガ?」


 昨日助けた小鳥と、同じ姿。


 紬が見上げていると。


 三羽が一斉に飛び立った。


 白い羽が、秋の空へ舞い上がる。


「わっ……」


 そして、そのままアルブレーヴのところへ。


 一羽。


 二羽。


 三羽。


 アルブレーヴの角へ、次々ととまっていく。


「……ふふ」


 今度は四羽。


 小さなシロエナガたちが、アルブレーヴの角の間を行ったり来たりする。


「ピィ、ピィ」


「ピィピィ」


「ピィ!」


 元気な鳴き声が重なる。


 昨日まで眠っていた小鳥も、その声に応えるように鳴いた。


「ピィ!」


 紬は、しばらくその様子を見つめていた。


「……家族が迎えに来たのかな」


 誰かが答えたわけではない。


 でも。


 きっと、そうなのだろう。


 そう思った。


 ルーチェも嬉しそうに、


「ギョ!」


 と鳴いた。


 そして、四羽のシロエナガが身体を寄せ合う。


 ぎゅーっと。


 小さな身体が、ひとつにまとまる。


「……かわいい」


 紬の口から、自然に言葉がこぼれた。


 しばらくすると。


 一羽が羽を広げた。


 続いて、二羽。


 三羽。


 そして、最後に昨日まで眠っていた小鳥も羽を広げる。


「ピィ、ピィ!」


 四羽が一斉に飛び立った。


 白い羽が、秋の空へ舞い上がっていく。


 くるり。


 くるり。


 四羽はしばらく空を旋回してから、森の向こうへ飛んでいった。


「……いってらっしゃい」


 紬は、空を見上げた。


 もう、白い姿は小さくなっている。


 それでも。


 胸の奥から、じんわりと嬉しさが込み上げてきた。


「元気でね」


 小さく手を振る。


 隣では、ルーチェが空を見上げている。


「ギョ……」


 その声も、どこか嬉しそうだった。


 アルブレーヴも、静かに空を見つめている。


 秋の空は、高く澄んでいた。


 白い小鳥たちは、その青の中へ溶け込むように飛んでいった。

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