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本に結ばれた人~知識と生存の本〜(ネギを握りしめて異世界に落ちた私の、のんびりサバイバル)  作者: 式文紫
第2章 秋麗~命のぬくもりを紡いで~

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閑話 紬の異世界サバイバル図鑑

閑話 紬の異世界サバイバル図鑑


 気づけば、この世界に来てからずいぶん経った。


 最初は何も分からなかった。


 水も、食べ物も、植物も。


 見つけるたびに《知識と生存》で調べてきた。


 今では少しだけ、この森のことが分かるようになっている。


 せっかくなので、今まで見つけたものをまとめてみることにした。


 ――題して。


 『紬の異世界サバイバル図鑑』


【名称】ルーチェ

【分類】アルカンシエル(虹色の鳥)

【状態】良好

【食用】—

【用途】—

【特徴】虹色の羽を持つ鳥。光属性。雌。


紬のメモ

私の友達。


森の中でいろいろなものを見つけてくれる。


危険なキノコを教えてくれたり、魚を捕るための餌を持ってきてくれたりする。


……たまに、ものすごい声で鳴く。


「ギョェェェ!」


……声、大きいって。


【名称】アルブレーヴ

【分類】動物

【状態】良好

【食用】不明

【用途】—

【特徴】白い体毛と二本の角を持つ。光属性。温厚(個体差あり)。


紬のメモ

私が勝手に「鹿さん」と呼んでいた子。


大型犬くらいの大きさ。


まだ少し警戒されている。


アカツブを食べるのかと思ったけど、どうやら好きではなかったみたい。


いつか、もう少し近くで見られるようになるといいな。


【名称】ネギ

【分類】植物

【状態】良好

【食用】可能

【用途】食用・栽培

【特徴】独特の香りがある。


紬のメモ

元の世界から持ってきたもの。


最初は一本だけだったのに、気づいたらずいぶん増えた。


今では家の周りにも植えてある。


……この世界で見るネギは、なんだか少し不思議な気分になる。


【名称】アカツブ

【分類】植物

【状態】良好

【食用】可能

【用途】食用・種の保存・栽培

【特徴】少し酸味があり、そのあと甘くなる赤い実。


紬のメモ

森で見つけた食べ物。


そのまま食べてもおいしい。


種も取って植えてみた。


ちゃんと増えてくれるといいな。


【名称】ミナハーブ

【分類】植物

【状態】良好

【食用】可能

【用途】食用

【特徴】ミントのような爽やかな香りがある。体力を小回復する。


紬のメモ

食べると、少し身体が楽になる。


料理にも使える。


魚と一緒に蒸したら、いい香りになった。


便利なハーブ。


【名称】シャボンソウ

【分類】植物

【状態】良好

【食用】不可

【用途】洗浄

【特徴】水に浸して揉むと泡立つ。環境への影響なし。


紬のメモ

これを見つけてから、洗濯がかなり楽になった。


身体も洗える。


本当に石鹸みたい。


見つけた時はかなり嬉しかった。



【名称】フクベ

【分類】植物

【状態】良好

【食用】不可

【用途】乾燥後、容器として使用可能

【特徴】ひょうたんのような形をしている。内部は空洞になる。


紬のメモ

水筒として使える。


これ、かなり便利。


ペットボトルよりずっとそれっぽい。


「水筒っぽい!」


【名称】ウズ

【分類】植物

【状態】良好

【食用】不明

【用途】容器などの素材

【特徴】茎が渦を巻くように伸び、節がある。内部は空洞。


紬のメモ

名前の通り、ぐるぐるしている。


まっすぐじゃないから加工はちょっと大変。


でも、切ってみたら中は空洞だった。


斜めのコップにしてみた。


……意外と使える。


【名称】ポポタン

【分類】植物

【状態】良好

【食用】可能

【用途】葉・根の利用

【特徴】タンポポに似た黄色い花を咲かせる。


紬のメモ

見た目はタンポポにそっくり。


根は乾燥して焙煎すると飲み物にできるらしい。


元の世界で聞いたことがある、タンポポコーヒーみたいなものかな?


……いつか試してみたい。


【名称】クロトゲノキ

【分類】植物

【状態】良好

【食用】不明

【用途】不明

【特徴】黒い幹と鋭い棘がある。花と白い実をつける。


紬のメモ

危ない。


とにかく棘が危ない。


白い実がついていたけど、食べられるかどうか分からなかったので採らなかった。


知らないものは、無理に食べない。


これ、大事。


【名称】青い花

【分類】植物

【状態】良好

【食用】不明

【用途】不明

【特徴】光属性。青い光を放つ。


紬のメモ

最初にこの世界へ来た時に見た花。


夕方になると、ものすごく綺麗だった。


花が閉じたあと、青い光が空へ上っていった。


……あの景色は、たぶん忘れない。


今は栞にして、本に挟んである。


【名称】ドキドキデリデリキノコ

【分類】菌類

【状態】良好

【食用】可能

【用途】食用

【特徴】白い傘に赤い水玉模様。生食は非推奨。加熱推奨。


紬のメモ

見た目がすごく可愛い。


そして、おいしい。


焼くと香ばしくて、旨味がすごい。


塩すらいらない。


……もう一個食べたい。


「これ、名前通りデリシャスだ」


【名称】ドクドクゲロキノコ

【分類】菌類

【状態】良好

【食用】不可

【用途】—

【特徴】シイタケに似た姿をしている。強い毒を持つ。


紬のメモ

食べちゃダメ。


絶対。


ルーチェが止めてくれた。


知らないキノコを見つけたら、まず本。


これは本当に大事。


【名称】マガイガイ

【分類】菌類

【状態】良好

【食用】不可

【用途】—

【特徴】毒性が強く、魔素が高い。別の姿に擬態する。


紬のメモ

危険。


見た目が変わるので、かなり怖い。


赤い実みたいな姿をしていたこともある。


……この森、本当に油断できない。


【名称】レッドアトラス

【分類】魚類

【状態】良好

【食用】可能

【用途】食用

【特徴】身体に赤い線が入っている。赤身の魚。


紬のメモ

川にいる魚。


見た目は元の世界のアマゴに少し似ている。


初めて自分で捕まえた魚。


ハーブとネギと塩で蒸したら、おいしかった。


骨も炙って食べた。


無駄なし。


【名称】ミミゾリゾリ

【分類】環形動物

【状態】良好

【食用】—

【用途】釣り餌

【特徴】細長い身体を持ち、地中を移動する。湿った土や石の下に生息。


紬のメモ

……たぶん、ミミズ。


ルーチェが持ってきてくれた。


最初はちょっと……いや、かなり嫌だった。


でも魚が釣れたので、結果的には感謝している。


次からは、もう少し遠くに置いてほしい。


【名称】大木の湧水

【分類】水源

【状態】清浄

【食用】可能

【用途】飲用・生活用水

【特徴】大木の根元から湧き出る。樹木由来成分を微量に含む。


紬のメモ

毎日お世話になっている水。


飲める。


顔も洗える。


この水がなかったら、本当に大変だったと思う。


【名称】白獣の体毛

【分類】動物性素材

【状態】良好

【食用】—

【用途】不明

【特徴】柔らかく、保温性に優れる。魔素を微量に含む。


紬のメモ

アルブレーヴの毛。


すごく柔らかい。


これ、何かに使えそうなんだけど……まだ用途は分からない。


【名称】アルブレーヴの角片

【分類】動物性素材

【状態】良好

【食用】—

【用途】不明

【特徴】光属性。魔素が高い。


紬のメモ

鹿さんの角から落ちたもの。


牙みたいに見える。


何に使えるのかは、まだ分からない。


【名称】石刃

【分類】道具

【状態】使用可能

【食用】—

【用途】切断・加工

【特徴】石を加工して作った刃物。刃先を加工することで切れ味を保つ。


紬のメモ

最初は全然うまく使えなかった。


でも、少しずつ刃を加工できるようになった。


枝もツタも切れる。


自分で作った道具って、なんか嬉しい。


【名称】カチワリの木の実

【分類】植物

【状態】良好

【食用】可能

【用途】食用・容器・素材

【特徴】非常に硬い外殻を持つ大型の木の実。殻の中に四個の実が入っている。


紬のメモ

最初は食べられるか分からなかった。


とにかく殻が硬い。


でも、二つをぶつけたら割れた。


中には拳くらいの実が四個。


焼いて食べたら、焼き芋と栗の間みたいな味だった。


おいしい。


あと、殻は器にも使える。


中の繊維は屋根の隙間にも使えた。


……思ったより便利。


【名称】レッドアトラスのハーブ蒸し

【分類】料理

【状態】良好

【食用】可能

【用途】食事

【特徴】レッドアトラスをミナハーブ、ネギ、塩と葉で包んで加熱した料理。


紬のメモ

初めて作った魚料理。


思ったよりおいしかった。


食べたあと、少し身体が軽くなった気がする。


ミナハーブのおかげ……かな?


【名称】カチワリの丸焼き

【分類】料理

【状態】良好

【食用】可能

【用途】食事

【特徴】カチワリの中の実を取り出し、薄皮をつけたまま加熱する。


紬のメモ

焼き芋みたいに焼いた。


甘い。


栗っぽい。


そして、かなりお腹にたまる。


これは冬に向けて、覚えておきたい食べ物。


……ルーチェ、食べすぎ。


 こうして並べてみると。


 最初は何も知らなかった森なのに、ずいぶんたくさんのものを知った。


 食べられるもの。


 食べられないもの。


 危険なもの。


 生活に使えるもの。


 そして――。


 大切な友達。


 紬は最後に、本を閉じる。


「……結構、増えたなぁ」


 隣では、ルーチェが羽を揺らしている。


「ギョ」


「うん」


 紬は小さく笑った。


「これからも、少しずつ増やしていこう」


「ギョェェェ!」


「……だから、声大きいって」


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