境界線は見慣れたドアから③
睡魔に襲われました。
明日の朝イチ続きを書いて出します。
あと正気に戻ったら書き直すかもです。
「じゃあにーさん、ラストに映画見よ!」
「えーが?」
ピザも残り数枚になり、少しずつ片付けを始めていた頃。
彼女は座っていた隣の、ちょうど俺の死角になるぐらいのところから黒い布袋を取り出した。
「私のだーいすきな作品なんだー、...もしかしたらここまで趣味が合うかも?なんてね」
えへへ、と悪戯っぽく微笑む彼女に、俺はまた心が暖かくなる。
「まあ一理あるかもね」
「でしょー?」
そんな彼女の笑顔を横目に見ながら、俺は片付けを始め、それを見た彼女も同時に準備を始めた。
俺が彼女と、家族になった初日でもこんなに仲良くなれているのは共通項があったからだと俺は思う。
あなたはこれが好きで、私もこれが好き。
一緒の話題や共通の趣味を見つけるだけで人という生き物は環が広がって。
「じゃあ、ああすれば?」
「いいじゃん、流石だね。」
同好者だからこそ、そこから更に展げられることもある。
そしてなぜだか、家での「葉桜凪乃」は俺のパズル枠にぴったりハマるピースだった。
別にそれはゲーム中に駄々を捏ねないだとか、ピザの具の好き嫌いがないとかじゃなくて、あくまで心が暖かくなるだとか、気分が柔くなるといったプラスの影響を俺に与えていたからだ。
結局、どんなに上手く作ったりしたものでもデメリットや改善点が見つかる世の中で、彼女はそういうことを考えさせる以前にそれ以上のメリットを俺に見せていた。
接着剤がないからまだゆるゆるで動きまくるけれど、積み重なるうちに固まっていくんだと思うと、俺と彼女の行く末が俺は無意識に少し楽しみになっていた。
そんな彼女の横顔を見つめていると、ふぅ、と手で顔を拭う素振りをして彼女はソファに身を預ける。
どうやら終わったようだ。
「ん〜!出来たー」
「おつかれさま。これ、寝る前だから水ね」
「..ん、はひはほひーはん」
50cmぐらい彼女との距離を開けて腰を降ろし、隣に居る葉桜さんに水を渡す。
渡した途端に飲み始めてしまったから何を言っているのかあまりよくわからなかったが。
「あぁ、これはまた...」
テレビの画面を見て思わず感嘆の息を漏らす。
そして不意に声が重なった。
「「フィクション生活!!(...)」」
それはまさに今の俺と彼女を題材にしたような作品で。
でも監督が不人気でクラウドファンディングに大失敗をした言うなれば駄作だった。
「おかしいと思うかも知んないけど、私、この作品ちょー好きなんだ」
足を組んで頬杖を着き、だらっとした態度だったが、そのセリフにはちゃんとした気持ちが込められていたように感じた。
「うん、俺も」
「まじ?」「まじ」
ゆっくりした声でちゃんと答えた俺に、彼女は嬉しそうに再度聞いた。
「じゃあ...見ようか」
「そだね」
―――そうして、俺たちの一番好きな話を、無駄話を一切挟まずに、ゆっくりと見た。
命削って頑張っておりますので、面白いとか続きが気になった方は
☆☆☆☆☆をどうか★★★★★にしていただけると助かります。
また、コメントやリアクションだけでも励みになりますので何卒よろしうございます




