蒼宮波無莉③
あまりその後の事は覚えていない。
初恋の余韻に脳が浸り続けていたんだ。
でも最後の彼の印象的な姿は頭に残っていた。
「ほんっとうにありがとうございました!!!」
通り雨の後に咲くひまわりのような笑顔を彼は僕に向ける。
キメ顔で渡そうと思っていた僕はいつの間にか逆の立場になっていた。
「あぁ..うん、気をつけてね」
僕はきっとぎこちない笑顔を向けていた。
今となっては悔やんでも悔やみきれない。
その後彼は僕の言葉に律儀に、はい!ありがとうございます!と返して集合5分前の教室へとかけていった。
僕は彼の背中を、見えなくなったあとも目で追い続けていた。
きっと彼と出会う前だったら、
余裕があったら名前だけ教えて「あの時の先輩!!」なんて尋ねてきたら「あれ、君名前なんだっけ笑」とか軽くあしらおうと思っていたのに。
きっとあの顔を見る前だったら、
後輩と年下との関係はこんくらいで良いと思っていたはずなのに!
「あはは...なんだこれ」
そんなものを薙ぎ払っていくような感情が、心の底から芽生えて、伸びていく。
つまらない、くだらない、しょうもない。
所詮はフィクション。
結果はパターン化されている。
そうやって見て見ぬふりをしてきた概念に僕は自ら踏み込んでしまった。
堪えきれない笑みは隠さずに、僕は空を見上げる。
僕は...彼が好きなんだ。
包み隠さずにこの事実と向き合って。
必ず彼を手に入れてみせる。
僕の右手が太陽を覆った。
短いですが、一旦区切りなのでこうさせてください。
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