告白とヒロインNo.2
誰に見られている訳でもないのに、息を殺してその状況を上から覗いていた。
モブ視点で見れば光が強すぎてサングラスを要するぐらい、輝かしいふたりが並んでいる。
(いや、まさか...)
本当のことを言うと、こんな場面に出くわして起こることと言えば1つしか頭に思い浮かばなかったが、素を見ている自分からするとどこか肯定できない感情があった。
王子の方も緊張しているようで、どぎまぎしている。
ああ、これは確定のやつか...。
誰も居ない屋上で一人逃げ出したくなった。
別にヒロインが王子様と結ばれることなんて普通のはずなのに。
たまたま俺がここにいて、たまたまセンパイは彼女に告白する。
偶然とは運命とも言うけれど、なぜか神が憎らしくてしょうがなかった。
今まで過ごしてきた一人の時間は何もそんなこと思わなかったのに。
多分今の俺は凄く複雑な顔をしている。
感情を表面に出すと同時に、俺は荷物をまとめてそこから逃れようとした。
だが....
ドアの向こうから駆け足でドドドド、と階段を凄まじく早いスピードで登る音がした。
???
「ほら!!早く来て!!!」
「待ってよーこはるぅ」
ドン!と勢いよくドアが開けられ、俺は思わず後ろに尻もちを着いた。
「う...」
「ご、ごめん!!大丈夫??さっきー..」
「さっきー??」
心配したように俺にそう手を差し伸べてきたのは、一体誰だろう。
後ろからギャルっぽい人の声も聞こえる。
誰だろう、さっきーって。
「あ、すいません。ありがとうございます」
丁寧にその手を受け取る。
白くて綺麗な爪をした女性らしい手だ。
いや、ちょっとキモイか今のは。
「ほんとごめん!告白さっきーも見に来たの?」
「?」
...もしかしてさっきーって俺の事??
冬咲の咲からさっきー...??
ダメだ、あだ名なんて久しぶりで...涙が...。
「ねえ、こはる。なんでこの人泣いてんの?」
「ごめん、私にもわかんない」
...?こはる?
恐る恐る、顔をあげるとそこには美しく長い金髪をなびかせたクラスのヒロイン2人目、倉科胡春と
不思議そう、というか引きつった顔をした茶髪のボブヘアーの女子生徒がいた。
「あ」
「ん?どうしたの?」
体の内側から少しずつ汗が噴き出す。
俺の右手は...今...。
俺はすぐさま手を離した。
「ご、ごめん!!えと...倉科さん」
「え、何?そこ知り合いなん?」
俺も名前を知っていたことに驚く茶髪女子(こう呼ばさせていただこう)。
「何言ってるの、ひなちゃんてば。同じクラスの冬咲亜樹くんでしょ?」
ああ、まさかの下の名前も知ってる人だった。
しかし、俺が見た時にはこの2人も彼女と購買に行くと言っていたはずだが...どうしてここに?
「とにかく!今はそれどころじゃないんだよ2人とも!ほら、運命のthatが来るよ」
相変わらず不思議そうな顔をして俺と倉科さんを交互に見つめる茶髪女子改めてひな?さん。
そしてそんな俺たちを本来の目的(俺は違うが)に戻すため、腕を掴んで柵ギリギリまで近づく倉科さん。
「あ、またやっちゃった...ごめんさっきー」
「いやまあ...いいけど」
身体的な接触(言い方に難アリ)を謝る彼女。
大丈夫です。案外慣れてますからね、こういうの。
...いやそんなことよりも。
「あの!葉桜さん!」
どうやら、俺は義妹の告白シーンを確定イベントで干渉しなければならないらしい。




