表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お弁当温めますか? ~Happy Stories~ ショートショート集  作者: 夢宇希宇


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/41

初めましての私の人生

 ねえ、聞こえる?

 ねえ、聞こえますか?

 ここは…どこなんだろう…。

 暗いような…。

 でも、…温かい。

 心までが温かくなるよ。

 あの光は何だろう。

 ん!? 誰かが私を呼ぶ声が聞こえる。

 あの声は誰?

 温かい声。優しい声。心が安らぐ声。


「ノリコ、頑張れ!」

「う、うん…タツヒコさん」


「俺が、俺がついているぞ」

「うん…」


「ノリコ!」

「奥さん、もう少しですよ」

「はいっ…」


「頑張れ、ノリコ」

「手…、離さないでね」


「当たり前だ。頑張れ、ノリコ!」

「うん、ありがとう」


「奥さん、ここです」

「はい」

「…」

「………」


 えっ!? ここから出ないといけないの?

 ここなら安心していられるのになぁ。

 でもね。大切な誰かが私を呼ぶ声が聞こえるから。

 

 何かに押されるように、私はその場所を飛び出した。

 そして、ある深夜の病院で、元気の良い赤ちゃんの声が響く。


「おぎゃぁ~~~」


 初めましてと言おうとしたのだけど…。

 口から出たのは違った。


「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」

「ノリコ、頑張ったな」

「うん、ありがとう、タツヒコさん」


 声が聞こえるのだけど、私には何を言っているのかわからなかった。

 それに、まだ良く見えないから。

 薄っすらと光と誰かの姿が見えるけどね。


「頑張ったな、サクラコ」

「タツヒコさん?」


「どうかしたかい?」

「サクラコって、誰?」


「この子の名前だよ」

「もう、私に何も言わないで決めないでね」


「…ダメ…かい?」

「ううん、嬉しい。本当に良い名前ね」


「そうか?」

「うん、ありがとうね、タツヒコさん」


「安心したよ」

「サクラコちゃん、私があなたのママよ」


「サクラコ、俺がパパだぞ」

「では、新生児室に移動しますので」

「はい」

「よろしくお願いします」

「安心してお任せ下さい。お母さんにお父さん」


 あれっ!? 離れ離れになるの?

 何かの…何だろう?

 部屋みたいなものに移されちゃった。

 どこかに行くのかな?


「お父さんだってさ、俺」

「私はお母さんよ。もう、何を笑って泣いているのよ」


「そうか? 気づかなかったよ」

「あはは、私も同じよ」


「そうだな」

「うん」


 私はこの会話を聞いていなかった。

 後になって、聞いたのだけどね。

 私、生まれたんだ。

 初めまして、ママ。

 初めまして、パパ。

 初めまして、私の人生。

 よろしくね。



初めましての私の人生

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ