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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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引き際の意味

「……は?」


アステリアは思わず顔をしかめた。


「このタイミングで、撤収指示?」


「はい。セリア様より」


伝令は淡々と答える。


「……何考えてるんだ?」


思わず呟く。


「このタイミングで、か……」


視線がわずかに揺れる。

納得は、していない。

だが――


「……姉さんの事だ」


小さく息を吐く。


「何も考えずに出す指示じゃない」


それは分かっている。


「……よし」


顔を上げる。


「撤収準備に入れ!」


「おう!」


即座に動き出す配下。迷いは無い。

アステリア隊は、速やかに撤収を開始。

装備をまとめ、負傷者を運び、隊列を整える。

無駄な動きは一切ない。

そして――数時間後。全員が乗船し、王都港を離れた。


さらに数時間後。

船は、セリアの元へと戻る。


「到着しました」


「ご苦労様」


セリアは静かに頷いた。


「配下には休憩を」


「了解」


アステリアが指示を飛ばす。

ひとまず、一区切り。

だが――


「……で?」


腕を組む。


「一体、このタイミングで何故に?」


真正面から問う。


「このタイミングだからよ」


セリアは即答した。


「私の忠告を無視して打って出て――」


一拍。


「負けてる」


短く、断定。

アステリアは、わずかに苦笑した。


「……まあ、否定はできないな。見捨てるのか?」


率直に問う。

その言葉に、セリアは少しだけ間を置いた。


「……そうね」


そして。


「見捨てるつもりは無い」


はっきりと言う。


「でも――」


視線がわずかに冷える。


「王都の上の方々、まだ状況を把握してないわ」


静かな指摘。


「……確かにな」


アステリアも頷く。


「強力な私達がいるから」


セリアは続ける。


「図に乗ってる可能性もある」


一歩間違えば、依存。それは――危険だ。


「王都側の貴族は?」


話題が変わる。


「ああ……」


アステリアが思い出すように言う。


「俺ら以外の、なんだっけな……」


「木材、小麦、畜産系の連中か。そいつら」


頷く。


「俺の動きを見て、撤収を開始した」


「連絡は?」


「来るはずだ。待ってる」


「……いい判断ね」


セリアは小さく頷いた。


「少なくとも、状況は見えてる」


そして――


「王都側にも分かってもらわないとね」


視線が鋭くなる。


「私達の支持が、盤石じゃないって事」


「……なるほどな」


アステリアは小さく笑った。

ようやく、意図が見える。

これは撤退じゃない。


「……見せる為の動きか」


ぽつりと呟く。

セリアは何も答えない。


だが――その沈黙が、全てを物語っていた。

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