静かな不安
「……さて、と」
メイヤは窓辺に寄りかかりながら、外を眺めた。
「当面は、のんびり出来る……のかしらね?」
肩の力を少し抜く。
大きな戦いはひとまず終わった。
こちらは基盤も整ってきている。
「王都の戦いは気になるけど」
軽く息を吐く。
「……まあ、あっちはあっちで何とかするでしょ」
武器は供給している。
準備は整っている。
「王都軍に、アステリアさんもいるし」
少しだけ口元が緩む。
「負ける未来は、あんまり見えないわね」
それは、率直な評価だった。
「……でも」
ふと、表情が変わる。
「主力、取り逃したのは痛かったわね」
軽く目を細める。
完全に潰し切れていない。
それだけで――
「長引く理由には、十分すぎる」
ぽつりと呟く。
私でも、それくらいは分かる。
「どれだけの貴族が噛んでるのかしら」
視線が遠くへ向く。
「規模次第では……まだまだ続くわね」
単発の反乱ではない可能性。
裏で繋がっている連中がいるなら――
「面倒な事になるわよ、これ」
肩をすくめる。
「……そのうち、調略とかも出てくるかもね」
直接の戦いだけじゃない。
* 裏切り
* 切り崩し
* 情報戦
そういう段階に入る可能性。
「まあ」
小さく笑う。
「それはそれで、面白くはあるけど」
軽く言いながらも――
その目は、しっかり先を見ていた。
「……完全に終わったわけじゃない」
静かに呟く。
今は、ただの“合間”。
次の波は、必ず来る。
その時にどう動くか。
それだけは――もう、考え始めていた。




