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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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動き出す線路

数日後――


「許可、降りたわ」


セリアは書状を手に、小さく息を吐いた。


「お母様から、正式にね」


これで――動ける。だが。


「……とはいえ」


視線はすぐに現実へ戻る。


「鉄の製造量を考えれば、一気には無理ね」


無理に広げれば、どこかが止まる。


「まずは――エドラン領都まで」


指でなぞる。最も現実的で、効果の高い一本。


「その後の様子を見て」


さらに先へと線を伸ばす。


「残りの二方向へ」


だが――


「どちらを先にするかは、まだ未定」


状況を見て決めるしかない。


「……まあ」


肩をすくめる。


「何も動かないよりは、ずっとマシよね」


小さく笑う。そして。


「始めるわよ」


声が変わる。実務の声だ。


「作業員の募集を開始!それと――」


指示が続く。


「運転士、整備士も大募集」


線路だけでは動かない。

動かす“人”が必要だ。


「……人も、育てないとね」


ぽつりと呟く。数を揃えるだけでは足りない。

質も必要。


「時間はかかるけど――」


視線は前へ。


「やるしかないわね」


線は引かれ始める。戦場の外で――

もう一つの戦いが、静かに始まっていた。


それから、さらに数日後――


「……来たわね」


メイヤは報告書に目を通す。


「レールの製造量が、確定した?」


「はい」


簡潔な返答。視線を走らせる。


「……なるほど」


小さく頷く。


「この量なら――」


指先で計算するように軽く叩く。


「まずはエドラン領都までの単線分、確保できるわね」


無理はない。だが、十分だ。


「優先して回してくれる、か」


「そのようです」


「いい判断ね」


短く評価する。ならば――


「迷う理由は無いわ」


顔を上げる。


「早速、敷設に入る」


声がはっきりと変わる。


「人員を回して、準備を整えて」


「了解!」


ついに、具体的に動き出す。

頭の中の“線”が、現実へと変わる。


「……始まるわね」


セリアは静かに呟いた。

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