決断の場
セリアとアステリアは、その足で王城へと向かった。
迷いは無い。
次に何が決まるか――それが、この戦の行方を左右する。
重い扉の前で、足を止める。
「……行くわよ」
「……ああ」
頷き合い、扉を押し開けた。
ギィ――
中には、既に人が揃っていた。
総指揮官。上級参謀。
そして、現場を知る隊長達。
張り詰めた空気。議論は、既に始まっている。
「――だからこそ、今追うべきだ!」
「無理だ! 現場は疲弊している!」
声がぶつかり合う。議題は一つ。
追撃か――掃討か。
現場の隊長達は、ほぼ一致していた。
「追撃は不可能だ」
だが。上級参謀は、意見が割れている。
そして――
「機を逃すな」
総指揮官は、追撃に傾いていた。
その場に、二人が足を踏み入れる。
本来ならば――場違い。
だが。
「……来たか」
王が、視線を向けた。
ざわめきが一瞬で収まる。
「セリア、アステリア」
名を呼ぶ。
「第三者として、意見を聞こう」
静かな声。だが、全員の視線が集まる。
セリアは、一歩前へ出た。
迷いは無い。
「……追撃は不可です」
はっきりと、言い切る。空気が揺れる。
「現状、反乱軍は統率を失っていません」
視線を巡らせる。
「数も、こちらより上」
一拍。
「この状態で追えば――」
わずかに間を置く。
「こちらの被害は、甚大になります」
沈黙。
「それでも追うなら、止めはしませんが」
その一言が、重く落ちる。
誰も、軽くは受け取れない。
王は、静かに目を閉じた。
そして――開く。
「……状況は、理解した」
短い言葉。
だが、その中に結論がある。
「王都周辺の掃討戦へ移行する」
場が、静まり返る。
「追撃は行わない」
はっきりとした決断。
「確実に、残存勢力を削る」
それが、選ばれた道だった。
セリアは、わずかに息を吐いた。
大きな流れは――ここで、決まった。




