表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

456/494

届かなかった決定打

「……」


セリアは、額に手を当てたまま動かなかった。


「……完全に統率を失っていれば」


ぽつりと漏れる。

そうであれば、話は単純だった。

王都側と連携し、そのまま追撃戦へ。

潰し切る事も、現実的だった。


だが――


「統率は、残っている」


静かに言う。


「しかも……数は、向こうが上」


一歩踏み出せば、どうなるか。

考えるまでもない。


「追う側が、不利になる」


それは、明白だった。


「……歯痒いわね」


小さく、吐き捨てる。勝っている。

戦術的には、間違いなく優位に立っている。

それでも――決め切れない。


「……仕方ないわね」


やがて、顔を上げる。迷いは消えていた。


「方針を変える」


一言で、空気が締まる。


「王都周辺の掃討戦に集中する」


無理に追わない。確実に、削る。


「残っている“芽”を、全て潰す」


それが今、できる最善。


「……反乱の芽を、完全に断つ機会は」


一拍。


「逃した」


認める。それが現実。


「王都軍の練度不足――」


視線がわずかに逸れる。


「痛いわね」


追撃に移れなかった理由。

そこが、分岐だった。

だが――


「嘆いても、仕方ない」


すぐに切り替える。


「やれる事をやるだけよ」


静かな声。

だが、その奥には確かな意思がある。


「……次で、詰める」


完全な勝利ではない。

だが――まだ、終わってはいない。


セリアは、アステリアを伴い――

反乱軍と交戦していた王都外縁の壁へと足を運んでいた。


「……ここね」


目の前に広がるのは、戦いの痕跡。


だが――


「激戦、というより……」


セリアはゆっくりと視線を巡らせる。


抉れた地面。

焼け焦げた痕。

散乱する装備。


「一方的、ね」


アステリアも静かに頷く。


「……ああ」


通常の戦闘でこうはならない。

ぶつかり合った形跡ではなく――


「叩き潰された跡だ」


ドォン、とでも言わんばかりの痕跡が、あちこちに残っている。


「……新兵器か」


アステリアの言葉に、セリアは肯定も否定もせず。ただ、もう一度周囲を見渡した。


「……威力は、十分すぎるわね」


一目で分かる。


この戦場では、“差”があった。

技量ではない。数でもない。


「……火力の差よ」


静かに言い切る。

その結果が――この光景だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ