火力の支配
「……これで」
セリアは、わずかに目を細めた。
「味方を巻き込まずに済む」
王都の先遣隊は停止。
反乱軍は、その先に押し出されている。
戦場は――完全に分離された。
「……好機ね」
その状況を、見逃すはずがない。
「バリスタ!」
声が鋭く走る。
「全門――発射!」
ギィィィィ――!!
弦が軋み、不快な音が響く。次の瞬間。
ドォンッ!! ドォンッ!! ドォンッ!!
炸裂弾を備えた矢が、容赦なく降り注ぐ。
爆発。爆発。爆発。
「ぐああああっ!!」
「何だこれは!?」
「伏せろぉ!!」
反乱軍の隊列が、次々と崩れる。
盾は意味をなさず、陣形は保てない。
ただ、一方的に――削られる。
圧倒的な火力。その現実を前に、兵達の足が止まり――やがて、崩れる。
「……散れ!」
誰かが叫ぶ。
「固まるな! 逃げろ!」
統制は、維持できない。一人、また一人と後退し――それは、やがて敗走へと変わる。
「……ちっ」
セリアは小さく舌打ちした。
「こちらに兵力があれば……」
火力では圧倒している。だが――数が足りない。追い切れない。
「……まあ、いいわ」
息を吐く。
「このまま逃げてくれるなら、それでいい」
視線を横へ。
「後は――王都側の兵力を使うしかないわね」
一拍。
「補給基地は潰した」
すでに、戦局の骨は折れている。
「残るは、王都外縁にいる反乱軍のみ」
あちらにも、武器は渡してある。
「……まあ、大丈夫でしょ」
冷静な判断。
その頃。王都外縁。
「何だと……?」
伝令の報告に、空気が凍る。
「補給基地が……襲撃を受けた?」
「壊滅、とのことです……!」
沈黙。そして――
「……短期決戦だ」
誰かが低く言う。
「長引かせれば、終わる」
誰も否定しない。だが――
「……問題は、あれだ」
視線の先。王都側の戦線。
ドォンッ!!
炸裂。見慣れぬ兵器が、爆発を伴って降り注ぐ。
「くそっ!」
「盾が……意味をなさない!?」
「何なんだ、あの武器は!」
混乱。損耗。攻撃に出る余裕など、もう無い。
「……攻撃能力が、削られている」
誰かが呟く。その通りだった。前に出れば、爆ぜる。固まれば、吹き飛ぶ。
「……押せない」
それは、致命的だった。だが――退けば、終わる。進めば、削られ選択肢は、すでに尽きていた。
戦場は今、“削り切る側”と、“削られる側”に分かれていた。




