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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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分岐点

「距離、残り――」


伝令が息を呑む。


「およそ三千!」


「……速いわね」


セリアは静かに呟いた。

王都の先遣隊。反乱軍の主力。

双方が、ほぼ同時に近づいている。


「このままなら――接触するわ」


「時間は?」


リディアが問う。


「持って、半刻」


短い沈黙。


「……間に合わないな」


「いいえ」


セリアは首を振る。


「間に合わせる」


その一言で、空気が締まる。


「全体、前進!」


号令が飛ぶ。


「速度を上げる!王都側との間に割り込む!」


ドンッ――


再び船が動き出す。

砂を噛み、強引に距離を詰める。


「……あれは?」


王都先遣隊の前方に、異様な影が現れる。


「船……? いや、陸に――」


理解が追いつかない。


「止まれ!!」


誰かが叫ぶ。その直後。


ドォンッ!!


目の前の地面が弾けた。


「なっ!?」


「攻撃!?」


砂と土が吹き上がる。だが狙いは――人ではない。


「……警告、か?」


隊長が目を細めるとその時。


「前進を止めよ!!」


響いたのは、別の声。はっきりと、通る声。

セリアだった。


「それ以上進めば、戦場に入るわ!」


「……何者だ!こちらは制圧部隊」


一拍。


「反乱軍の補給線は既に壊滅した」


ざわめきが走る。


「何だと……?」


「あなた達が向かっている先は、“もう無い戦場”よ」


言葉が、刺さる。


「……証拠は?」


隊長が問う。疑念は消えない。当然だ。

その瞬間に地面が、震えた。


「来るぞ!」


後方。反乱軍の先頭が、視界に入る。


「突撃ぃぃ!!」


怒号と共に、雪崩れ込んでくる。


「くそっ……!」


王都兵が振り返る。


「どうする!?」


判断を迫られる。


前には“正体不明の制圧部隊”。

後ろには“突撃してくる反乱軍”。


「隊長!」


「……!」


歯を食いしばる。その一瞬。

セリアが、静かに言った。


「選びなさい」


声は冷静。だが、重い。


「ここで混乱するか」


一歩、前へ。


「それとも――整えて戦うか」


その言葉と同時に。


「バリスタ、準備」


低い指示が飛ぶ。


「射線、反乱軍先頭へ」


ギィ……と音が鳴る。


「撃てば、止まる」


セリアは言う。


「でも、撃たなければ――」


視線は、王都隊へ。


「あなた達が巻き込まれる」


沈黙。時間は、もう無い。


「隊長!!」


叫びが飛ぶ。反乱軍は、すぐそこまで迫っている。そして――


「……全隊、停止!!」


決断が、落ちた。王都兵の足が止まる。

その瞬間。


「撃て」


セリアが、短く告げた。


ドォンッ!!


炸裂。反乱軍の先頭が吹き飛ぶ。

勢いが、止まる。


「なっ……!?」


「何だあれは!?」


混乱が広がる。だが――戦線は、分かれた。

ぶつかるはずだった二つの軍は、寸前で、分断された。セリアは、それを見届けて。


「……これでいい」


小さく呟く。だが。これはまだ、“選ばせただけ”だ。本当の分岐は――これから始まる。

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